退職面談や退職アンケートを実施しているけれど、離職防止の効果が得られずに苦戦していませんか?
退職者が退職に至るまでには、複数の理由が複雑に絡まっています。本質を捉えるために、退職者に聞くこと&質問術をマスターしましょう。
今回は、退職面談を研究してきた『いっと』が、退職者に聞くこと&質問術をご紹介します。
この記事を読み終えたら、退職に至った本当の理由が聞き出しやすくなります。そのため、退職面談に課題を感じている方は、記事を読んでみてください。
目次
面談と退職アンケートの使い分け
退職理由が聞き出すためのツールには「面談」と「退職アンケート」があります。これらは、目的に応じて使い分けることが大切です。
面談
- 職場の課題を特定できおらず、潜在的な問題まで明らかにしたいとき
- 優秀な人材を引き止めたいとき
退職アンケート
- 職場の課題が特定できており、正解であるか確認したいとき
- 自社に貢献できなかった人材の面談を省略したいとき
職場の課題を特定できている企業は稀です。職場に潜む問題を洗い出して離職防止したい場合は、退職面談を実施することをおすすめします。
退職面談で聞くこと~面談編~
退職に至るまでには、複数の理由が複雑に絡まっています。
例えば、退職理由が「人間関係」の場合でも、
- 指示内容が悪くて腹が立った
- 評価内容に納得できなかった
- 感情的で付き合いづらかった
など、さまざまな理由で関係が悪化したと考えられます。つまり、入社から退社に至るまで時系列の質問を行い、一緒に振り返りながら複雑に絡まる退職理由を特定していかなければなりません。入社から退社に至るまで時系列の質問術をご紹介します。
(※全ての項目をヒアリングする必要はありません。事前準備を入念にし、入社から退社に至るまで時系列で質問して気になる点を深堀りしていくことが大切です。)
退職理由
まずは、退職に至った原因を明らかにします。
冒頭でも説明した通り、退職理由が「人間関係」の場合でも「マネジメント」「人事評価」「ハラスメント」など、さまざまな理由が複雑に絡まっています。そのため、表面的な理由ではなく、潜んでいる問題が何かを考えながら聞くようにしましょう。
- 退職を決意したきっかけは何ですか?
- 退職したいと思い始めた具体的なエピソードを教えてください。
入社(動機)
入社時と退職時の期待値を照らし合わせて、ギャップがなかったかを確認します。入社時と退職時にギャップがある場合、採用プロセスに問題があります。
- 入社理由(動機)は何でしたか?
- 入社時に期待していた業務内容や職場環境はどのようなものでしたか?
- 入社前の会社の説明と実際は一致していましたか?
オンボーディング(サポート)
新入社員が定着するためのオンボーディングが十分であったかを質問します。オンボーディングが不十分であれば、早期退職のリスクが高まります。早期退職が多い場合は重点的に質問してみると良いでしょう。
- 入社直後のサポートについてどう感じましたか?
- 同僚や上司のフォローは十分でしたか?
- 入社直後の不安はどのように乗り越えましたか?
業務内容
本人のスキルや希望と合致していたかどうかを質問します。本人のスキルや希望と合致していた場合は、業務負担や人間関係の悪さなどが退職理由となります。
- 業務内容は、入社前に想定していたものと違いがありましたか?
- 業務で最も満足感を得られたのはどのような瞬間ですか?
- ストレスを感じることはありましたか?
人事評価
自分の努力や成果が適切に認められていたかどうかを質問します。自分の努力や成果を適切に認められていると感じられない場合、不満が溜まりやすくなります。
そのため、評価制度が透明性に欠けている、上司とのコミュニケーションが不足しているなど、どこに課題があるかを特定していきましょう。
- 成果が評価されていると感じていましたか?
- 人事評価の基準について納得できない点があれば教えてくれますか?
- 評価理由について詳しく説明を受けていましたか?
キャリアアップ
長期的なキャリアプランが築けていたかどうかを質問します。成長機会や挑戦の場が不足していると感じた場合、他の会社でのキャリア形成しようと考えます。
自社に足りないヒントを得るためにも、転職先での仕事について聞いておきましょう。
- キャリアアップの可能性についてどう考えていましたか?
- 自分のスキルや成長が活かせるポジションがありましたか?
- 次の会社で、どのような仕事をする予定ですか?
退職面談のやり方について詳しく知りたい場合は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『退職面談のやり方!人事担当者向け本音の引き出し方』
退職面談で聞くこと~アンケート編~
退職面談は「準備」「面談」「レポート作成」と大きな負担がかかります。
退職者の情報を整理しておかなければ、時系列の質問が行えません。複雑に絡まっている退職理由を聞き出して、レポートにまとめるのも一苦労です。そのため、次のような場面では退職アンケートを利用することをおすすめします。
- 職場の課題を特定できており、データを集めて正解であるかを確認したいとき
- リソースが足りず、自社に貢献できなかった退職者の面談を省略したいとき
退職アンケートでは、網羅的に質問しておきましょう。網羅的に情報を収集することで、組織や部署における共通課題を見つけやすくなり、組織改善の方向性を定めやすくなります。
退職理由は何ですか?
退職理由を把握して課題を特定します。選択式+自由記述を用いて背景まで拾いあげます。「人間関係」が理由だとしても、上司の対応、同僚との摩擦、組織文化など細分化できるため、可能な限り拾いあげましょう。
- 選択肢:「業務内容」「評価制度」「人間関係」「労働条件」「家庭の事情」など選択肢を与える
- 自由記述:「具体的なエピソードを記載してください」と明記する
会社の良かったところはありますか?
退職者からポジティブな意見を収集すれば、採用や広報に活かせます。
例えば「部署メンバーの人たちは優しい人ばかりだった」と意見があった場合は、採用ページに従業員の写真を掲載すると人が採用、定着しやすくなるでしょう。
退職者は冷静に会社を評価する立場にあります。そのような立場でありながらポジティブな意見を述べた場合は、会社の強みと捉えられます。
職場改善すべき点はどこだと思いますか?
現場の改善点を特定して、改善していきます。退職アンケートは気軽に調査できることがメリットです。
多くの人に職場改善点を質問して、どのような傾向があるかを特定すれば、どこから改善すべきか優先順位を付けられるようになります。
上司からサポートは得られましたか?
上司と部下のコミュニケーション状況を把握してマネジメントの質を確認します。
上司のサポートは、従業員満足度や定着率に大きく影響を与えます。そのため「どのような支援が必要でしたか?」と補足的な質問をして、管理職のトレーニングのヒントを得ましょう。
キャリアアップの機会は得られましたか?
従業員が成長機会を十分に得られていたかを把握します。キャリア支援や研修制度に問題がないかを評価するための質問です。「キャリアパスが見えなかった」という回答が多い場合は、昇進基準やスキル開発プログラムの改善を検討する必要があります。
次の会社では、どのような仕事をする予定ですか?
退職者がどのような環境や条件を求めているのかを把握し、自社で提供できなかったものを特定しましょう。
転職先情報を収集し、業界や職種、条件の傾向を分析すれば採用、定着の施策に役立てられます。転職者が重視している条件を知った上で、働き方改革すればエンゲージメント向上、離職防止ができます。
退職アンケートの使い方ついて知りたい場合は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『【サンプル付き】退職アンケートとは?メリット・デメリットを解説!』
まとめ
退職者と話す目的に応じて「退職面談」と「退職アンケート」を使い分けることが大切です。
退職面談
- 職場の課題を特定できおらず、潜在的な問題まで明らかにしたいとき
- 優秀な人材を引き止めたいとき
退職アンケート
- 職場の課題を特定できており、データを集めて正解であるかを確認したいとき
- 自社に貢献できなかった人材の面談を省略したいとき
退職に至るまでには、複数の理由が複雑に絡まっています。退職面談では入社から退社に至るまで時系列の質問を行い、一緒に振り返りながら複雑に絡まる退職理由を特定していかなければなりません。聞くことを間違えると、複雑に絡まる退職理由を紐解くことはできないため注意してください。
この記事を読み、退職面談のやり方を見直してみたいと思った方は、代行サービス&内製化支援サービスを提供している『いっと』までお気軽にご相談ください。