
退職面談は、職場で改善すべき点を客観的な視点で理解できる機会です。
職場で改善すべき点を聞けるのは①退職面談②人事コンサルティングの2通りの方法しかありません。人事コンサルティングは費用がかかります。
一方で退職面談で貴重な情報を得られれば、費用はかかりません。離職対策、組織改善に役立つ貴重な情報が得られるとして、さまざまな企業が退職面談に取り組み始めている状況です。(※1)
しかし、退職面談は浸透しておらず、自社で取り組んでも効果が得られないと悩む方も多く見受けられます。そこで、今回は退職面談で陥りがちなミスをご紹介します。いくつ該当するか、ぜひ照らし合わせてみてください。
(※1)パーソルホールディングス『退職に関する市場調査』では、人事面談は30~40%程度の実施率と発表している。
目次
退職面談の落とし穴(失敗)~準備編~
退職面談の準備をする際の落とし穴(失敗)は3つあります。
- 退職面談の日程調整でミスをする
- 退職面談の準備を疎かにしてしまう
- 現場に委譲して退職因子を発見できない
退職面談の日程調整でミスをする
退職面談は従業員から退職願を提出されてから1~2週間がおすすめです。
なぜなら、1~2週間後であれば冷静的に話し合うことができるためです。また、退職日までの猶予があるため、職場をどのように改善していくかを説明して引き止めることができます。
退職願の直後は感情的になり、退職日は働く意欲がなくなっているため、十分なフィードバックが得られません。そのため、退職面談は退職願を提出されてから1~2週間を目途に調整するようにしましょう。
退職面談の準備を疎かにしてしまう
退職面談の準備は入念にしましょう
例えば、面談場所により退職者の気持ちが変わります。
中小企業では面談場所が用意できない場合もあるでしょう。このような場合は、リモート面談を行うことが多いですが、貸会議室もおすすめです。
貸会議室を予約しておけば、退職面談の重要性に気づいてもらえて情報提供してもらいやすくなります。
入念に準備することで、退職が惜しい気持ちを伝えることができ、信頼関係も築きやすくなります。そのため、退職面談の準備は入念にするようにしましょう。
現場責任者に退職面談を任せてしまう
全国に店舗がある場合、人事部で退職面談を行うことが困難になり、現場責任者に退職面談を任せてしまう方がいます。
現場責任者が退職面談を行うと、言いにくい本音は聞き出すことができるかもしれません。しかし、組織改善に役立つ無自覚な本音を聞き出せなくなります。
例えば、退職理由が「給与・待遇が低い」の場合には、次のような退職理由が潜んでいることがあります。
- 給与体系が不透明だった
- 昇進・昇給の機会が得られなかった
- 人事評価に納得できなかった
- 業績不振で賞与が出なかった
これらは、退職者にヒアリングしなければ聞きだすことはできません。現場責任者には難しく感じてしまいます。
退職面談の落とし穴(失敗)~面談編~
退職面談の面談をする際の落とし穴(失敗)は4つあります。
- 従業員の引き止めに必死になってしまう
- 退職者が認めたくないホンネを聞けない
- 時系列でヒアリングしない
- 本音を聞き出せない
従業員の引き止めに必死になってしまう
退職面談は、従業員を引き止めるために行うものです。
しかし、退職面談で引き止めてしまうと、従業員は企業に対して不信感を募らせます。
従業員に信頼してもらうためには、退職面談後に関係者を集めて職場の改善案、期日を考え、その上で引き止めることが大切です。
①退職面談②引き止めと2段階でアプローチすることで従業員に期待を与えらえます。そのため、必ず①退職面談②引き留め交渉と2段階で考えるようにしましょう。
退職者が認めたくないホンネを聞けない
従業員が退職に至る原因は、全て企業側に問題があるとは限りません。従業員側に問題があることもあります。
例えば、退職理由がパワハラの場合でも、従業員の態度が悪くて上司が厳しく指導しただけということもあります。このような場合、パワハラ防止策を打っても離職対策となりません。
そのため、どちらに非があるのか調べる必要があります。
社内の人が、従業員側に問題があると判断すれば関係が悪化してしまうでしょう。そのため、どちらに非があるのか細かく知りたい場合は第三者機関を活用することをおすすめします。
時系列でヒアリングしない
退職理由を聞くと矛盾が生じることがあります。退職に至るまでを時系列でヒアリングしていくと、最初に話していた退職理由と異なる理由が出てくるのです。
例えば、退職理由が「給与・待遇が低い」の場合には、次のような退職理由が潜んでいることがあります。
- 給与体系が不透明だった
- 昇進・昇給の機会が得られなかった
- 人事評価に納得できなかった
- 業績不振で賞与が出なかった
これらは「入社」「教育」「業務」「評価」を時系列で振り返ることで、把握できる退職理由です。
たった1つの理由で退職を決断する人は稀です。さまざまな要因が絡み合って退職に至ります。
退職理由を聞き出して深堀りするのではなく、時系列で振り返りながら、なぜ退職に至ったのかを突き止めるようにしましょう。
本音を聞き出せない
日頃から相手とコミュニケーションをとり、心理的安全性を確保できていれば、本音で答えてもらいやすくなります。
しかし、本音を聞き出せるのは僅かです。なぜなら、従業員は企業に直接ネガティブな内容を伝えることに抵抗があるためです。
大半の人が、円満に退社するためにタテマエを言うことが調査結果からも判明しています。
その一方で「職場のストレスを誰かに話して発散したい」「自分の経験を役立てて欲しい」という気持ちもあります。
第三者の立場であれば、本音を話せるという方も多いです。そのため、本音を聞き出せない場合は第三者機関を利用してみてください。
退職面談の落とし穴(失敗)~分析編~
退職面談データの分析を行う際の落とし穴(失敗)は2つあります。
- 退職理由の分析が難しい
- 退職理由の共通点が見つけられない
退職理由の分析が難しい
退職面談でヒアリングした内容を分析すれば、次のようなことができます。
- 退職理由の共通点の把握
- 離職対策の優先順位付け
- 離職しやすいグループの特定
- AIを活用した離職率の予測
- 組織内に発生している異常検知
しかし、AI活用方法、多変量解析やクラスタリング分析などの知見が必要です。
退職理由の共通点が見つけられない
退職理由を分析して共通点を見つけることで、効率的に改善していけるようになります。
例えば、「給与待遇の不満」「キャリアの機会」「人間関係」が退職理由で挙げられた場合、マネジメント不備が共通点と上がる場合があります。
- 上司との人間関係が悪い
- 上司に評価してもらえない
- キャリアの機会も与えてもらえない
- 不機嫌そうに当たられる
これらは「上司」が原因です。上司に対して管理職研修などを実施すれば、複数の問題が改善されます。しかし、共通点を見つけるためには、退職面談で情報を引き出さなければなりません。情報不足により共通点が見つけられないと悩む方もいます。
退職面談の落とし穴(失敗)~施策編~
退職面談を活かして職場改善する際の落とし穴(失敗)は2つあります。
- 先入観に囚われてしまう
- アルムナイの取り組み方を間違える
先入観に囚われてしまう
退職理由を聞いて先入観に囚われて無駄な施策を打ってしまうことがあります。
例えば、退職理由に「人間関係が希薄で仕事がしづらかった」と聞いたとき、ピアボーナス、サンクスカードを導入したりしがちです。
しかし、現場責任者のマネジメント不足が原因であれば、このような施策を打っても無意味となります。先入観に囚われて施策を打つと効果が見込めなくなるため、必ず問題を特定するようにしましょう。
アルムナイの取り組み方を間違える
近年、アルムナイネットワークを構築する企業が増えてきました。アルムナイネットワークとは、退職後も関係を持ち続けてビジネスに発展させようという取り組みです。
しかし、退職者と関係を持ち続けてビジネスに発展させるためには、円満退職が大切です。
形式的にアルムナイコミュニティを案内しても、円満退職ができていなければ、コミュニティに参加してもらえないでしょう。そのため、アルムナイネットワークは円満退職がベースにあると捉えてください。
円満退職を目指したい方には「オフボーディング」の強化がおすすめです。
退職面談の落とし穴(失敗)~委託編~
退職面談代行サービスを利用する際の落とし穴(失敗)は2つあります。
- 退職面談代行サービス選びを間違える
- 退職面談と退職アンケートを使い分けられない
退職面談代行サービス選びを間違える
退職面談代行サービスを利用する場合は、目的に合ったサービスを選ぶことが大切です。
例えば、自社の課題を明確に把握できている場合は、アンケート調査でサンプル数を増やした方が良いでしょう。
一方で、自社の課題がどこにあるかを把握したい場合は、退職面談がおすすめです。
このように、目的に応じて使い分けることが大切です。そのため、自社の状況を振り返ってみてください。
※退職面談代行サービスを利用する場合、退職者の情報を共有しなければなりません。そのため、Pマークの保有、セキュリティ対策を必ず確認してください。
退職面談と退職アンケートを使い分けられない
全員に退職面談を実施すると、人事部門のリソースが足りなくなるでしょう。このような悩みを抱えた場合は、退職面談と退職アンケートを使い分けることをおすすめします。
企業で活躍していた人が退職する場合は退職面談を使いましょう。自社で活躍は難しかっただろうという人、アルバイト・パート形態の方々は退職アンケートの調査をおすすめします。このように使い分けることが大切です。
まとめ
退職因子を発見したり、優秀な人材を引き止めたりするために退職面談に取り組む企業が増えました。各社で退職面談の行い方はさまざまです。しかし、退職面談のやり方を間違えると意味のないものになってしまいます。
この記事では、ご紹介した内容に該当するものがあった方が、これを機会に退職面談のやり方を見直してみませんか?
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