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2024.6.15

アルムナイネットワークとは?人材獲得競争時代の採用方法を解説

企業が退職した従業員とコミュニケーションを取り、良好な関係を築こうとする動きが出ています。このような退職者との繋がりを「アルムナイネットワーク」といいます。なぜ、企業は退職者と良好な関係を築こうとしているのでしょうか?

退職者と交流すると、どのような効果が見込まれるのでしょうか?今回はアルムナイネットワークについて詳しく解説します。

◆アルムナイ・ネットワークとは

アルムナイ・ネットワークとは、従業員が閲覧できるサイトを作り情報交換し合うことをいいます。このネットワークには退職した人も含まれます。何らかの事情で退職した人とも定期的に情報交換し合うことで、さまざまな効果が見込めるとして注目を浴び始めてきました。 

[アルムナイ・ネットワークの効果]

  • 退職者の勤務先や職種など把握できて再雇用を促せる
  • 退職者と良好な関係を築ければ、取引先を紹介してもらえる
  • 退職者と良好な関係を築ければ、優秀な社員を紹介してもらえる 

上記のように、退職者の再雇用やリファラル採用ができるとして、アルムナイ・ネットワークを構築する企業が増えてきました。

退職者の再雇用に関しては、下記の記事を参考にしてみてください。

関連記事:『ブーメラン社員の採用は全体の4.5%!再雇用のポイントは職場改善!

◆アルムナイ・ネットワークが注目される理由

アルムナイ・ネットワークを構築する企業が増えてきたと説明しましたが、なぜ注目されているのでしょうか?ここでは、アルムナイ・ネットワークが注目される理由をご紹介します。

・人材不足の問題を解決できるため

退職者と企業が良好な関係を築けていれば、タイミングが合えば再雇用を促せます。また、リファラル採用を適用すれば、優秀な人材を紹介してもらえるため、人材不足の問題を解決できます。

パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2030」によると、2030年度には644万人の人手不足に陥ると述べられています。したがって、求人広告サービスや人材紹介サービスを利用しても、自社に合う人材を採用しにくくなるのです。

このような状況に陥っても人材を確保するために、アルムナイ・ネットワークを構築する企業が増えてきています。

・広報的役割を期待できるため

退職した人と良好な関係を築けて、お互いに良き理解者になることができれば、企業の商品やサービスを広めてくれる可能性があります。

退職者の新たな勤務先が新規取引先になる場合もあるでしょう。退職者と良好な関係を築くことによって、新規開拓にも効果を発揮します。このように候補的役割を期待できることもメリットです。

・ビジネスに役立つ情報が得られるため

自社を退職した人は、新たな職場でスキルを磨いています。自社を退職して従業員と定期的にコミュニケーションを取れば、仕事に活かせる有益な情報を得られることもあります。

自社を退職したことを理由に関係を途絶えてしまうと、有益な情報は二度と得られません。このような点に注目をして、退職者と交流する企業が増えてきています。

◆アルムナイ・ネットワークの構築方法

アルムナイ・ネットワークが注目される背景を説明しましたが、適切な方法で取り組まないと失敗してしまいます。失敗すると、既存社員が不満を抱いたり退職へのハードルが下がるため注意しましょう。ここでは、アルムナイ・ネットワークの構築方法をご紹介します。

・就業規則に再雇用の規定をつくる

アルムナイ・ネットワークを構築して退職者の再雇用を検討している場合は、就業規則にアルムナイに関する規定を作りましょう。その理由は、再雇用の規定を作らないと既存社員が不満を持ったり、退職へのハードルが下がる恐れがあるためです。再雇用の規定には、以下の内容をまとめておきましょう。

再雇用制度の目的

  • 適用範囲
  • 資格要件
  • 再雇用の手続き
  • 再雇用の選考方法
  • 再雇用時の処遇・賃金
  • 再雇用後の配置
  • 再雇用者への教育訓練

・再雇用制度について周知する

アルムナイに関する規定を作ったら、従業員に周知していきます。アルムナイ・ネットワークの目的、運用方法を具体的に説明します。

従業員に説明した際に質問が寄せられるかもしれません。質問されたときは、1つ1つに丁寧に回答しましょう。大切なことは従業員に同意を得ることです。

・退職時に面談を実施する

アルムナイ制度を導入して退職希望者が現れたら、退職面談を実施します。

退職面談は退職希望者と企業が良好な関係を築けるように工夫することが大切です。例えば、これまでの活躍を感謝したり、転職で必要な推薦文を書いてあげたりしましょう。

逆に退職者から「なぜ、自社を退職するに至ったのか」の原因を教えてもらって職場改善をしていきます。退職面談の最後に、再雇用制度について説明しておきます。

・退職者の意見を反映して職場改善する

退職者から退職理由を聞いたら、その意見を反映して職場改善していきます。職場改善すべき箇所は各企業で異なりますが、以下のような箇所が該当します。

・退職者と定期的にコミュニケーションをとる

退職者とは定期的にコミュニケーションを取りましょう。退職者とのコミュニケーションの取り方には、さまざまな方法があります。 

  • SNS上でゆるぐ繋がる
  • 定期的にメールで連絡し合う
  • 会員制サービスに登録してもらい社内報を発信する
  • 退職者も参加できるイベントを運営する 

上記のような方法で交流していき、タイミングが合えば再雇用を促します。

アルムナイ・ネットワークを採用に活かしたい方は、下記の記事を読んでみてください。

関連記事:『アルムナイ採用とは?フロー・ステップから成功事例まで徹底解説!

◆アルムナイ・ネットワークを構築している企業事例

アルムナイ・ネットワークの運用方法をご紹介しましたが、取り組んでいる企業はどのような効果が見込めているのでしょうか?次にアルムナイ・ネットワークを構築している企業事例をご紹介します。

・野村ホールディングス株式会社

出典元:『野村ホールディングス株式会社

野村ホールディングス株式会社は、世界的な影響力を持つ投資銀行・証券会社です。

同社は、異なる価値観を認め合いながら協業することで、お客様の多様なニーズに応えられ、付加価値の高いサービスを提供できると考えています。中長期的な視野で、人材を確保していくために、アルムナイ・ネットワークを構築することに決めました。

同社の主な取り組みは、再雇用制度を導入して周知したことです。同社はプレリリースでも再雇用制度を導入したことを発表しました。このような制度を導入したことにより、欧米系の投資銀行やコンサルティングファームで経験を積んだ人材の再雇用に成功しています。 

・株式会社リクルートホールディングス

出典元:『株式会社リクルートホールディングス

株式会社リクルートホールディングスは、求人広告や人材紹介サービスなど多様なサービスを提供しているIT会社です。同社は従業員が退職することを「卒業」と呼んでおり、定期的に発行している社内報「かもめ」ではOB社員の退職後の活躍を掲載するページが設けられています。

かもめの掲載する取材にOB社員が応じてくれる理由は、彼らのビジネスをリクルートが応援しているためです。同社はOB社員が会社を立ち上げるなどで悩みが出たら、元上司や元同僚が相談に乗ってくれるなど良好な関係を構築できています。そのため、退職者も「リクルートが大好き」と思っており、企業ブランディングに成功しています。

・株式会社横浜銀行

出典元:『株式会社横浜銀行

株式会社横浜銀行は、横浜市西区みなとみらいに本店を置く地方銀行です。同社は2023年2月に横浜銀行グループアルムナイネットワークの運営を開始しました。

元々、元行員を再雇用する「ジョブ・リターン制度」を設けており、結婚や出産、介護なで退職した人を再雇用していました。それだけでなく、他社に転職してスキルを磨いた人を再雇用できるようにアルムナイネットワークの構築を始めたのです。

同社はアルムナイネットワークを構築するのと同時に、再び戻ってきたいと思えるように職場環境の改善や働き方改革を始めました。従業員がキャリアパスを描けるような職場をつくり、元行員が戻ってこれるように工夫しています。

◆まとめ

アルムナイ・ネットワークとは、従業員限定のサイトを設けて情報交換し合うことをいいます。このネットワークには自社を退職した人も含めます。退職した人と良好な関係を築くことで再雇用を促せたり、企業の広報活動をしてもらえたりなどの効果が見込めるようになるのです。

この記事では、注目を浴びるアルムナイネットワークの構築方法をご紹介しました。実際にアルムナイネットワークを構築している企業事例についても解説しています。成功事例を参考にすれば、どのように退職者と良好な関係を築いていけば良いかヒントが得られます。

ぜひ、この記事を参考にしながら、アルムナイネットワークを構築してみてください。

 

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