Exit interviewエグジットインタビュー

2023.3.30

業務過多で従業員が退職!人間関係や労働環境の悪化を解消する方法とは

社員の退職理由で多いのが「人間関係の悪さ」や「労働時間の長さ」ですが、その根底にあるのが「業務過多」です。

長時間働くことが常態化すると疲弊し、思考や感情のコントロールが上手くいかなくなり、人間関係が悪化してしまうのです。また、仕事に集中できなくなり労働時間が長くなります。このように、さまざまな悪影響が出るため、業務過多の状況を改善しましょう。

今回は業務過多について解説します。業務過多の状況なのかチェックする方法から改善する方法までご紹介しているため、皆さまのお役に立てれば幸いです。

 

[はじめに]業務過多とは

業務過多とは

業務過多とは、従業員1人1人の仕事量が過剰であり、勤務時間内で終わらすことができない状況を指します。時間が足りない状況のため、休憩時間が取りにくいです。休日出社を強いられることも多いです。従業員はリフレッシュする時間が確保できず疲弊してしまいます。業務過多には3の特徴があります。

  • 仕事の量が過剰である
  • 締め切りや納期の圧力がある
  • 休憩や休日が取れない

人間関係やの悪さや労働時間の長さは最も多い退職理由ですが、その根底には業務過多が潜んでいる可能性があります。

業務過多が社員の退職原因となる理由


業務過多は、人間関係と労働環境の悪化に関連しています。その理由は、業務過多の環境では以下の内容を招くためです。

  • 仕事でミスをしてしまう
  • 労働時間が長くなる
  • 人間関係が悪くなる
  • ストレスで体調不良に陥る

ここでは、業務過多が社員の退職原因となる理由について分かりやすく解説します。

 仕事でミスをしてしまう

残業続きで睡眠不足に陥ると思考力、判断力、記憶力が低下します。そのため、仕事上のミスが増えます。例えば、見積もり作成など数字を扱う業務では、計算ミスが頻繁に起こりがちです。また、上司の指示を誤って解釈してしまいます。

仕事でミスを繰り返してしまうと、周囲の人に迷惑をかけているダメな人間だと自信を失ってしまいます。そして、仕事に向いていないのではないかと退職に至ってしまうのです。

仕事で迷惑をかけたから退職する人は想像以上に多いため、ミスを繰り返す従業員はフォローするようにしましょう。

関連記事:『「仕事で迷惑をかけたから退職」を防ぐための企業の取り組みとは?

労働時間が長くなる

業務過多は、仕事の量が大量にある状況を指します。仕事が大量にあると、どれから処理すべきか判断がしにくくなります。勤務時間内に終わらせる仕事が多くあるため、休憩時間を削って作業しがちです。

そして、疲弊してしまい仕事でミスをして手直しが発生します。業務の遅延を取り戻そうとする焦りから、またミスをしてしまうなど悪循環に陥り、毎日残業する、休日出社で返上など労働時間が長くなります。

 人間関係が悪くなる

仕事が忙しいと業務連絡をメールで済ますなど、直接的なコミュニケーションを取らなくなります。そのため、お互いに信頼関係を築けなくなってしまうのです。

また、業務量が多くてストレスを抱えると言葉遣いが強めになってしまいがちです。例えば、上司が部下に仕事を依頼する際に「この業務をしてくれ」と命令形になってしまいます。

気持ちに余裕がなくなると「ちょっと、助けてくれないか」と相手を気遣いながら指示が出せなくなります。その結果、職場の人間関係が悪くなってしまうのです。

 ストレスで体調不良に陥る

残業続きで睡眠不足だと思考力が失われて、気持ちも億劫になります。仕事に対する意欲が減退するため、ミスを連発してしまうのです。

また、相手に気遣いをする余裕がなくなり、職場の人間関係も悪化してしまいます。仕事のミスや職場の人間関係など、さまざまな悩みで頭が一杯になり余裕がなくなり、段々と追い詰められて体調不良に陥ってしまうのです。

退職原因となる業務過多が発生する原因


業務過多を放っておくと社員が退職してしまうため対策が必要です。そもそも、業務過多になる原因は何なのでしょうか?ここでは、退職原因となる業務過多が発生する原因をご紹介します。

人材が不足している

人材不足で社員1人当たりの業務量が多い場合は、定時で業務の処理をしきれません。慢性的な長時間労働となり、最悪の場合は体調を崩してしまいます。

体調不良の社員が休職して人員を補充できなければ、他のメンバーの業務量が増えてしまいます。その結果、また1人の社員が休職に追い込まれてしまうなど負のループに陥ってしまうのです。

業務管理が下手である

上司の業務管理が下手で、仕事の振り分けが均等にされていなければ、一部の社員が業務過多となります。一般的に優秀な社員ほど仕事量を割り振られることが多いです。

残業時間を把握せずに仕事を割り振ってしまうと、社員を追い込んでしまうことになります。また、各社員のスキルを把握しておらず、スキルに見合わない業務を割り振り、業務時間内に終わらなくなっている場合も多いです。

ムダな作業が多い

仕事上では、以下のようなムダな作業が多いです。

  • 無駄な会議への参加
  • 相手の到着の待ち時間
  • 社内向けの資料の作成
  • 同じ作業の繰り返し
  • 上司や同僚からの誘い
  • 資料の探索時間

このようなムダな作業で仕事の時間が奪われてしまい、残業をしなければいけなくなってしまうのです。

業務過多を見分ける方法

業務過多の状況なのか見分ける方法は3通りの方法があります。

業務量を確認する

従業員1人1人の業務量を把握して、仕事の量が多くないかを確認してみましょう。

業務の進捗状況を確認して、どのタスクが遅れているか問題を見つけた上で、従業員と1on1を実施します。

1on1を実施した上で、従業員のスキルを踏まえて業務を再分配するようにしましょう。

近年、ワークライフバランスが注目を浴びているため、仕事とプライベートのバランスが取れるような業務配分をしてあげてください。

残業時間や連勤状況を確認する

タイムカードや勤怠管理システムを活用して、従業員1人1人の残業時間、連勤状況を確認しましょう。

労働時間を把握するだけでなく、業務の進捗状況や負担感を確認することが大切です。従業員と1on1を実施して、労働時間や残業の実態を把握します。

部下が「忙しい」と話してきた場合は、その理由や業務内容を具体的に掘り下げて聞き出すことが重要です。

業務過多の場合でも、上限を超える連勤は許されていません。法律違反を起こさないためにも、連勤に関する法律を理解しておきましょう。

関連記事:『きつい12連勤は違法?法律上は何日まで合法かを解説

ストレス状態をチェックする

従業員のストレス状態をチェックすることで、業務負荷がかかり過ぎていないかをチェックできます。匿名性のアンケート調査ツールを使用して、従業員が仕事をする上での悩みを抱えていないか調査します。

特定の部門、特定の業務で問題が発生していることが判明した場合は、関係者1人1人にヒアリングして、悩みを抱えていないか尋ねてサポートしてあげるようにしましょう。

業務過多を特定するためには、1on1の実施が欠かせません。1on1の実施方法については、下記の記事でご紹介しています。

関連記事:『1on1ミーティングの目的とは?キャリア支援につながる正しい手順を紹介

退職原因となる業務過多を改善する方法


退職原因となる業務過多が発生する原因をご紹介しましたが、以下の取り組みで状況を改善できます。

  • 業務をマニュアル化する
  • 整理整頓をする
  • 人材採用を行う
  • 仕事の振り方を見直す
  • 業務効率化を目指す
  • テクノロジーを活用する
  • アウトソーシングを活用する

ここでは、業務過多を改善する方法をご紹介します。

業務をマニュアル化する

業務をマニュアル化すれば、業務ルールによる業務が標準化されて、ミスがなくなります。業務が進めやすくなるため、業務効率化が図れます。

会社に入社してきたばかりの従業員も、業務マニュアルを見て作業が進められるため指導する必要がありません。つまり、業務をマニュアル化すれば、業務過多の状況を抑制できます。

整理整頓をする

デスク周りやPCのデスクトップを整理整頓すると、欲しいデータに瞬時にアクセスできるようになります。つまり、データの探索などムダな時間を減らせて、業務を効率的に進められます。

デスク周りやPCのデスクトップが煩雑していると、「探す時間」や「整理する時間」が発生し、それが積み重なると業務過多の原因となってしまうのです。そのため、業務過多の状況で悩んでいる場合は整理整頓をしましょう。

人材採用を行う

社員1人当たりの業務量が多い場合は、人員の補充が必要不可欠です。そのため、人材採用を行い人員を補充しましょう。

優秀な人材に募集してしまうためには、会社で働く魅力を感じてもらわなければいけません。そのため、求人を出す前に労働条件や職場環境を見直しましょう。

業務過多の悩みを抱えている場合は職場環境の改善は難しいため、労働条件から見直します。給与や福利厚生など待遇面を見直してみてください。また、人材採用で求める人物像の幅を広げてみても良いでしょう。

会社で働く魅力が上手く伝えられない場合は、コンサルティング会社に相談すると採用戦略のアドバイスが受けられます。

仕事の振り方を見直す

仕事を振る前に、部下のスキルと仕事の状況を把握しておきましょう。部下に他の仕事はないか、ある場合はどちらの仕事を優先させるべきかを考えてあげます。また、特定の部下にばかり負担がかからないように、チームで業務分担をしましょう。

しかし、どうしても優秀な社員に負担がかかる場合もあります。このような場合は労りの言葉をかけたり、評価を上げたりとフォローするようにしましょう。

業務効率化を目指す

業務過多な労働環境を改善するため、以下のような取り組みで業務効率化を図りましょう。業務効率化を目指す場合は、労働環境の現状把握と問題を可視化して問題を解決していきます。

[業務効率化のアイデア]

  • 無駄な業務をなくす
  • 会議時間を短縮する
  • 同じ作業は自動化する
  • 業務マニュアルを作成する
  • 業務フローチャートを作成する
  • ナレッジを共有する
  • 社内情報をシステムで管理する
  • 業務担当者を変更する
  • 職場環境を整備する
  • 社内で使用する書式を統一する

 

テクノロジーを活用する

RPAやAI、IoTなどのテクノロジーを活用すれば、業務効率化を実現できます。

・SaaS
クラウド型サービスを利用すれば、効率的に業務を進めることができます。おすすめのクラウド型サービスには次のようなものがあります。

タスク・プロジェクトの共有・管理:業務状況を把握してフォローできる状況にする
ナレッジ共有・ビジネスチャット:社内のノウハウを共有する
会議ツール:オンライン上で会議に参加できるようにする
ファイル共有・オンラインストレージ:資料の共同編集ができる状態にする
契約の電子化:承認者に申請書を提出する労力を割く

・RPA(robotic process automation)
デスクワークなど定形業務を自動で実行できるロボットをいいます。データ入力やデータ照合など日常的に行う幅広い定形業務を自動化できます。

・AI
人工知能を持ったロボットをいいます。幅広い業務を自動化できますが、代表的なものがAIチャットボットです。複雑な質問にも回答ができて、お問い合わせ窓口を自動化できます。

・IoT
モノとモノをインターネットで接続する技術をいい、IoTによって機械などの遠隔操作ができるようになります。

アウトソーシングを活用する

業務過多の労働環境を改善したい場合は、アウトソーシングを活用するのも1つです。アウトソーシングを活用すれば、自社ではカバーし切れない分野を賄えます。

近年ではクラウドソーシングが浸透しており、良質なアウトソーシングサービスをリーズナブル価格で利用できるようになってきました。そのため、アウトソーシングを活用すれば、社内の業務を減らせます。

◆ 働きやすい労働環境の整備に成功している「株式会社花王」


出典元:『株式会社花王 公式ホームページ

株式会社花王は大手化学メーカーです。同社は「休み休みWork Style 」という働き方を推奨しており、働きやすい環境づくりを推進しています。業務過多に陥らないようにテクノロジーを活用して業務効率化を図っています。

2021年4月から交通費の自動精算システムを稼働させ、年間約55,000時間の業務削減に成功しています。花王ビューティブランズカウンセリングの美容部員の約6,000名は百貨店やスーパーに勤務しており、経費精算の効率化が課題でした。この課題を解決するためにAIを導入し、勤務情報や入退館情報などから移動経路を予測、出退勤に伴う移動は「通勤費」、拠点間の移動は「交通費」といった、税制や規定上のルールにもとづいた会計仕訳を自動生成したのです。

経費精算の申請をせずに済み、各社員が業務に集中できるようになりました。このような労働環境の整備により、勤続年数17.5年と定着率の高さを実現しています。

◆まとめ

人間関係と労働環境の不満の根底にあるのが「業務過多」です。業務過多で体力的にも精神的にも余裕がなくなると、仕事でミスが増えたり、人間関係がギクシャクしてしまったりしがちです。さまざまな問題が発生して悩みが増えると体調を崩してしまうでしょう。

その結果、多くの社員が退職してしまうのです。このような問題が起きないように、業務過多の労働環境を整備しましょう。この記事では、業務効率化するための方法をご紹介しました。ぜひ、この記事を参考にしながら労働環境を改善してみてください。

いっとは、第三者の専門家がお客様に代わって、従業員の “4つのホンネ” をヒアリングするサービスを提供しています。「従業員の職場に対するホンネを聞きたい」「具体的にどのような職場環境の改善対策が有効なのか分からない」と感じたら、ぜひ『いっと』をご利用くださいませ。

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