退職理由には本音と建て前があり、これには大きな違いがあります。企業は、従業員の退職理由の本音を聞いて、職場環境を見直していかなければ離職率を下げられません。
なぜ、従業員は退職理由を建て前で述べるのでしょうか?どのように従業員から本音を聞き出せば良いのでしょうか?今回は、退職理由を聞き出す必要性から調査方法まで解説します。
目次
◆ 退職理由の本音と建て前には違いがある
リクナビNEXT「転職理由と退職理由の本音ランキングBest10」によると、退職理由には本音と建て前があります。そのため、従業員に退職理由を聞いても本音で応えてもらえないかもしれません。退職理由と本音には、どのような違いが見受けられるのでしょうか?ここでは、退職理由の本音と建て前をご紹介します。
・ 退職理由の本音
退職理由の本音には、以下のようなものが挙げられます。
・1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
・2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
・3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
・4位:給与が低かった(12%)
・5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
・6位:社長がワンマンだった(7%)
・7位:社風が合わなかった(6%)
・7位:会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
・7位:キャリアアップしたかった(6%)
・10位:昇進・評価が不満だった(4%)
本音では、給与や労働時間などの条件よりも、上司や同僚との人間関係が退職の引き金になっていることが伺えます。
・ 退職理由の建て前
退職理由の本音には、以下のようなものが挙げられます。
・1位:キャリアアップしたかった(38%)
・2位:仕事内容が面白くなかった(17%)
・3位:労働時間・環境が不満だった(11%)
・3位:会社の経営方針・経営状況が変化した(11%)
・5位:給与が低かった(7%)
・6位:雇用形態に満足できなかった(4%)
・6位:勤務地が遠かった(4%)
・6位:仕事に対する責任がなく物足りなかった(4%)
・9位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(2%)
・9位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(2%)
建て前では、キャリアアップや面白い仕事に就きたいから転職するという前向きな意見が多く挙げられていることが伺えます。
・ 退職理由の本音を伝えない理由
退職理由の本音と建て前に違いがある理由は、円満に退職したいという気持ちを抱いているためです。人間関係の悪さや労働環境の悪さなど、ネガティブな内容を伝えてしまうとトラブルになる可能性があります。
トラブルが発生すると退職日に手続きをしてもらえなかったり、競合他社に転職したときに悪い噂が流れたり、転職後の仕事に影響が出てしまう恐れがあります。このようなトラブルを懸念して、退職理由を本音で伝えられずにいるのです。
◆ 退職理由の本音を聞き出す必要性
退職理由には本音と建て前があると説明しました。企業は退職理由の本音を聞き出して、職場環境を改善していき、離職防止に努めましょう。ここでは、退職理由の本音を聞き出す必要性について解説します。
・ 採用コストがムダになる
従業員が早期離職をしてしまうと、採用コストがムダになります。株式会社マイナビの独自調査によると、新卒の採用コストと中途の採用コストは以下の通り。
参考資料:「2018年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」
参考資料:「年間採用経費は353万円、1人当たりの求人広告費は機電系の「64万円」が最高」
採用コストをかけて人材を採用したにも関わらず、退職されてしまうと費用がムダになってしまいます。採用コストをムダにしないためにも、従業員の退職理由を聞き出して職場環境を見直していく必要があります。
・ ノウハウが流出する
従業員が競合他社に転職してしまうと、自社で得たノウハウが流出してしまいます。
また、勤務歴が長い従業員には信頼関係を築いてきた顧客や取引先がいるケースが多いです。
その従業員が退職してしまうと同時に、顧客や取引先との繋がりがなくなってしまう恐れがあります。そのため、職場環境を改善して従業員の定着率を上げていき、ノウハウが流出しないように努めていく必要があります。
・ 従業員に負荷がかかる
退職前に業務引き継ぎが十分に行われなければ、他の従業員が上手く業務を行えず、納期遅延などのトラブルが発生してしまいます。新たな人材を採用するまで、残りの従業員に業務を行ってもらわなければいけません。
通常の業務の他に、退職者から引き継いだ業務を行うため、ストレスや疲労が蓄積されていきます。
退職者が出た場合は、他の従業員に負荷がかかるなど悪影響が出てしまうため注意しなければいけません。そのため、退職理由を聞き出して職場環境を改善し、従業員の定着率を上げていく必要があります。
・ 企業競争力が低下する
優秀な人材が退職してしまうと、経営に大きなダメージを受けることになります。また、自社のノウハウが流出してしまったり、顧客や取引先との繋がりを失ってしまったりするかもしれません。
このように、従業員の離職は企業競争力の低下を招いてしまいます。そのため、従業員から退職理由を聞き出して、職場環境を改善し離職防止に努める必要があります。
・ 職場環境が改善できない
従業員から退職理由の本音を聞き出せないと、職場環境の改善ができません。従業員の退職理由を憶測で判断して、職場環境を改善しても離職率が改善されないことが多いです。
また、施策に取り組んだ費用がムダに終わってしまいます。職場改善のための労力をムダにしないためにも、従業員の退職理由を聞き出し原因を特定する必要があります。
◆退職理由を把握する方法
従業員の退職理由を聞き出す必要性は理解して頂けたと思いますが、どのように把握していけば良いのでしょうか?次に従業員の退職理由を把握する方法をご紹介します。
・部下との面談時に聞き出す
部下から退職したいと意向を聞いたときは、きちんと時間を取り、真剣に話を聞くようにしましょう。
真摯に向き合い理解したいと思う姿勢と話しやすい環境づくりをすることで、退職理由の本音が聞き出しやすくなります。
部下との面談時に退職理由の本音を聞き出し、改善できることは即座に対処すれば会社に残ってもらえるケースが多いです。離職を防止したい場合は、会社に必要な人材であることを正直に伝えましょう。
・エグジットサーベイを活用する
エグジットサーベイを導入して、定期的に従業員満足度を調査して職場の問題を把握していく方法もあります。一般的な退職理由として、最も多く挙げられるのが人間関係の悪さです。
このような問題を抱えている場合は、部下との面談時に本音を聞き出せない恐れがあります。面と向かって相談しにくい内容でも、エグジットサーベイを活用すれば聞き出せるケースがあります。
・第三者機関の調査を活用する
部下との面談時に退職理由の本音を聞き出せるとは限りません。また、エグジットサーベイで精度の高いデータが取れないことがあります。そのような場合は、第三者機関に依頼をして、従業員の退職理由の本音を聞き出してもらいましょう。
近頃は、第三者機関が退職理由の本音を聞き出すエグジットインタビューと呼ばれるサービスも登場してきています。自社で従業員の本音を聞き出せない場合は、エグジットインタビューを活用してみてください。
退職理由を聞き出せたら、職場環境を改善していきましょう。どのような施策があるかは、下記の記事を参考にしてみてください。
◆ まとめ
退職理由の本音と建て前には大きな違いがあります。企業側は従業員の退職理由の本音を聞き出し、職場環境を改善していくことで離職防止ができます。離職防止をすると「採用コストの損失防止」「ノウハウの流出防止」「働きやすい職場環境の実現」などの効果が期待できるため、退職理由を聞いて職場環境を見直していきましょう。
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