退職面談を正しく行えば、優秀な人材の退職を思いとどまらせたり、職場に対する不満を聞けて改善すべき箇所を把握できたりします。しかし、退職者の本音を聞き出せないと悩む企業も少なくありません。どうすれば、退職者から本音を聞き出せるのでしょうか?
今回は、退職面談のやり方をご紹介します。この記事を読めば、退職面談の流れやポイントだけでなく、退職者から本音を引き出す方法まで分かるようになります。ぜひ、退職面談を予定している方は、この記事を参考にしてみてください。
目次
◆ 【はじめに】退職手続きの流れ
最初に、いつ退職面談を行うべきか退職手続きの流れを把握しておきましょう。一般的に、退職手続きの流れは以下の通りになります。
【退職手続きの流れ】
・退職の意思表示をされる
・上司による退職面倒が行われる
・退職願(退職願)を受理する
・業務の引き継ぎを進める
・退社の挨拶をしてもらう
・身の回りの整理をしてもらう
・退職手続きに関する書類を渡す
・会社の貸与品を返却してもらう
・人事担当者が退職面談を実施する
退職面談は、以下の2つの面談に分けられます。
1.部下を引き止めるために上司が行う面談
2.職場改善に役立つ情報を収集するために人事担当者が行う面談
ここでは、それぞれの退職面談のやり方について解説していきます。
◆ 上司が退職面談を行う場合のポイント
部下を引き止めるための上司による退職面談は、次のポイントを踏まえて行いましょう。
・ 他の人に情報が漏れない場所で行う
上司による退職面談を行う場合は、他の人に情報が漏れない場所を選びましょう。その理由は、退職の意思表示が社内に広まると撤回しにくくなるためです。
その結果、優秀な社員の退職を撤回できなくなります。このような問題を防ぐためにも、他の人に情報が漏れない場所で行いましょう。具体的に説明すると応接室など、他の人が出入りしない部屋がおすすめです。
・ 相手の話に耳を傾ける
退職面談では、部下の本音を聞き出すためにも議論せず、相手の話に耳を傾けましょう。その理由は、部下に本音を喋ってもらい、一緒に悩みを解決していけば慰留を検討してもらえるためです。
真摯に向き合い話を聞いてあげることで、職場の悩みを聞き出せます。優秀な社員の流出を避けるためにも、退職面談では相手の話に耳を傾けるようにしましょう。
・ 自己開示をする
退職面談の場を設けても、部下が積極的に話をしてくれるとは限りません。その場合は、上司から自己開示をしてください。なぜなら、上司が自己開示することで部下も話しやすくなるためです。
例えば、自分自身のキャリアビジョンを語ったり、職場を選んだ理由を語ったりしてみてください。上司に共感できる部分があれば、その話をきっかけに本音を話してくれる場合があります。そのため、部下の話を聞くだけでなく自己開示しましょう。
・ 退職者の本音を引き出す
退職面談では、退職者の本音を引き出すようにしましょう。その理由は、退職者の本音を引き出せないと、部下が抱える悩みを解決してあげられないためです。その結果、部下の引き止めも失敗に終わってしまいます。
例えば、「家庭の事情」や「体調不良」などの自己都合による理由を述べていたにも関わらず、本当は「職場の人間関係に悩んでいた」などのケースがあります。いかに本音を引き出して、部下の悩みを解決してあげられるかが慰留に関わってくるため、退職者の本音を引き出すようにしましょう。
・ 悩みの解決方法を提案する
退職面談では、部下が抱えている悩みを聞いた上で一緒に解決していきましょう。その理由は、部下の悩みを解決できれば、慰留を検討してもらえるためです。
例えば、業務量の多さが大きな負担になっている場合は、業務量の調整やフォロー体制の整備を提案してください。もし、職場の人間関係の悩みを抱えている場合は、部署の配置替えが提案できるでしょう。このように、部下が抱えている悩みの解決方法を提案することが引き止める上で重要となります。
・ キャリア形成を支援する
退職面談を実施して、現在の職場ではキャリアアップが見込めないと言われたら、キャリア形成を支援すると提案してみましょう。終身雇用制度が崩壊してきたことにより、自分自身でキャリア形成をしていきたいと考える人が増えてきています。
退職面談で「どのようなキャリアプランを描いているのか?」「どのようなスキルを習得したいのか?」とヒアリングをしてください。その上で、部下が希望するキャリア形成を支援することで、慰留を検討してもらえるようになります。
◆ 人事担当者が退職面談を行う場合のポイント
人事担当者が行う退職面談は、従業員の退職日に職場改善するための情報収集として行います。人事担当者が退職面談を行う場合のポイントは以下の通りです。
・ 労いの言葉を伝える
退職面談を始めるときに、これまで働いてくれたことに対して労いの言葉を伝えましょう。その理由は、自社に貢献をしてくれたためです。
退職者は退職を決意するほどの不満を抱きながら、働いてくれていたため、感謝の気持ちを伝えてあげてください。また、労いの言葉を伝えることで、面談の雰囲気が和らぎます。雰囲気が和らげば、退職者から本音が聞きやすくなります。
・ 退職面談はカジュアルな形式で行う
人事担当者が行う退職面談はカジュアルな形式で行いましょう。アイスブレイクをして緊張感をほぐすなどして、カジュアルに話し合う場だと認識してもらうことが大切です。
その理由は、カジュアル形式の面談を行うことで、退職者から本音を聞き出せるようになるためです。そのために、退職者に質問をするだけでなく自己開示をするようにしましょう。
・ 退職者の意見を素直に受け入れる
退職面談の目的は、退職者の本音を引き出して、職場環境の改善に役立てることです。有益な情報を得るために、退職者の意見を素直に受け入れましょう。
退職面談では企業の不満を聞かされたり、職場の人の悪口を聞かされたりするかもしれません。このような話を聞いていると、人事担当者は不快に感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、人事担当者が退職面談する目的は、職場環境を改善するための情報収集です。。そのため、退職者の意見を感情的に受け止めずに、全て受け入れるように心がけましょう。
・ 上司や同僚にヒアリングしておく
退職面談を行う前に、上司や同僚にヒアリングをして退職を選択するに至った経緯を把握しておきましょう。その理由は、退職を選択するに至った経緯を把握しておけば、その点に関して深堀りができるためです。
退職を選択するに至った経緯には「職場の人間関係の悪さ」「長時間労働の状態化」「正当ではない人事評価・報酬」などが挙げられます。
これらを理解した上で退職面談を行えば、職場環境の改善に役立つ情報が具体的に聞き出せるでしょう。そのため、事前に上司や同僚にヒアリングをしてみてください。
・ 再雇用制度について説明しておく
人事担当者が行う退職面談では、再雇用制度について説明しておきましょう。
退職者の中には、家庭の都合で退職せざるを得ない人もいます。また、転職において魅力的な企業に入ったつもりが、検討違いだったというトラブルが起きるかもしれません。このようなトラブルが発生したら、転職者は元の会社に帰りたいと思うことがあります。
近頃は、労働者不足が深刻な問題となっており、求人をかけても優秀な人材が採用できなくなってきました。このような背景により、再雇用制度を導入する企業が増えています。企業を知り尽くした従業員を再雇用できれば即戦力になります。
また、採用コストや教育コストも削減できるので、再雇用制度について説明しておきましょう。
・ 質問事項をまとめておく
退職面談を行う前に質問事項をまとめておきましょう。その理由は、質問事項をまとめておかなければ、ヒアリング不足に陥ってしまうためです。
基本的には、上司や部下から情報収集した上で質問事項をまとめていきます。下記に質問事項の例をまとめたので、参考にしてみてください。
【退職面談の質問事項】
・退職の理由を教えてもらえますか?
・仕事にやりがいを感じることはありますか?
・研修や教育は適切に行われていましたか?
・キャリアアップのサポートはできていましたか
・転職先の魅力を教えてもらえませんか?
・会社に対して改善できることを教えてもらえますか?
・職場環境が改善したら再雇用させてもらえますか?
◆ 退職面談を行う上でよくある質問
最後に退職面談を行う上でよくある質問をご紹介します。
・ Q.部下と上司の関係が悪い場合の退職面談はどうすれば良いですか?
部下と上司の関係が悪い場合は、上司が退職面談を行う必要はありません。人事担当者が代理で退職面談をしても良いでしょう。また、退職希望者が優秀な人材で引き止めたい場合は、代表が退職面談を実施することもあります。
・ Q.退職希望者の本音が組織改善につながった事例はありますか?
退職者から本音を聞き出して、データを蓄積していき、定量×定性分析をして離職率を改善した事例があります。また、どのような人材が自社とマッチするかを可視化できたことから、採用時のペルソナも明確にできて定着率を上げることに成功した事例があります。
>>お客さまの声「定量×定性分析から離職率改善」
・ Q.退職希望者の本音を聞き出せない場合の対処法はありますか?
退職希望者の本音を聞き出せない場合は、代行サービスを利用する方法があります。プロのインタビュアーが退職者にヒアリングしてくれるサービスです。第三者がヒアリングすることで、本音を話すハードルが下がり、抱えていた悩みを聞き出しやすくなります。
退職者の本音を聞き出したい方は、業界初のホンネインタビューシステム「いっと」を検討してみてください。
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◆ まとめ
今回は退職面談のやり方を説明しました。退職面談は「部下を引き止めるために上司が行う面談」「職場改善に役立つ情報を収集するために人事担当者が行う面談」の2つに分類できます。
この記事では、それぞれの退職面談のやり方をご紹介しました。ぜひ、これを機会に退職面談のやり方を見直してみてください。
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