優秀な社員を引き止めるためには、従業員が仕事を辞める前兆を察知して適切な対応を行うことが大切です。
そこで、今回は従業員が仕事を辞める前兆について解説します。この記事では、どのような前兆を発見した際に引き止めをすべきか、逆に引き止めをすべきでないかまで紹介しています。そのため、退職の引き止めをする際にお役立てください。
目次
仕事を辞める人の前兆
仕事を辞める人の前兆には「引き止めが可能なもの」と「引き止めが難しいもの」に分類できます。
引き止めが可能な前兆
引き止めが可能な前兆には、次のようなものがあります。
上司や同僚が異変に気づく
仕事を辞めたいと人は心身に変化が見られるため、上司や同僚が異変に気づくケースが多いです。
例えば、いつも会議で積極的に発言していた人が消極的になったり、小さなミスを多発するようになったりします。また、身だしなみがだらしなくなるなどの異変があります。このような変化は、周囲から見ても明らかなため気づきやすいです。
本人が退職の意思表示をする前に、どのような悩みを抱えているかを聞き出して改善してあげることで退職を食い止めることができます。
ネガティブな発言が増えた
従業員が仕事に不満を持ち始めると、ネガティブな発言が増えます。会社の悪口を言ったり、仕事の愚痴を漏らしたりします。
仕事の不満は「仕事内容」「人間関係」「待遇」など、人によりさまざまです。
「一生懸命に働いていて会社の業績にも貢献しているのに、給与に反映されない。」「同僚が仕事を手伝ってくれない。」など悩み、精神的に落ち込んでいる可能性もあります。このような場合は、相手の気持ちに共感して最後まで話を聞いてあげるなどし、ストレス発散させてあげると退職を防げます。
会社の悪口を言う社員の特徴について知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『会社の悪口を言う社員の特徴は?企業がやるべき対策方法まで紹介』
人事評価後にモチベーションが落ちた
期末の人事評価後にモチベーションが落ちた場合は、人事評価に不満を抱いている可能性が高いです。
「昇給・昇進されなかった」「ボーナスが想像以上に低かった」などの場合は不満を抱きます。とくに、人事評価が不公平で「会社に貢献しているのに、他の人が高く評価された」などがわかると企業に不信感を抱き始めます。そのため、人事評価は透明性を担保するようにしましょう。
また、自己評価と他己評価が異なる場合、丁寧にフィードバックしないと不満を持たれやすいです。そのため、人事評価後にモチベーションが落ちた従業員は1on1面談の場を設けてフォローするようにしましょう。
人事評価の見直し方について知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『人事評価が不公平になる5つの理由!人事評価の見直し方法まで解説』
飲み会など付き合いを避ける
ランチや飲み会などの付き合いを避けるようになったら仕事を辞める前兆かもしれません。職場の人間関係に悩んでいる場合は、積極的に関わりたいと思えなくなります。
また、転職活動に専念するため、社内での付き合いを控えている可能性も高いです。このような状況になったら、本人に「なぜ飲み会などの付き合いを避けるのか?」を聞き出してみましょう。
身だしなみが変わる
キチンとした身だしなみをしていた人が、だらしない恰好をするようになったら、メンタルヘルス不調の恐れがあります。心の余裕がなくなっている可能性が考えられるため声をかけてあげましょう。
必要に応じて産業医のカウンセラーを受けてもらい休職してもらいます。休職してもらい健康になってもらうことで退職を防げます。
会議での発言が減った
会議で積極的に発言をしていた従業員が全く意見を述べなくなった場合は、他に興味のあるものを見つけてしまった恐れがあります。
なぜなら、そのことが気になってしまい、会議に集中できなくなるためです。会議のメモを取るフリをして他のことを考えているかもしれません。そのため、相手に声をかけてみましょう。
笑顔を見せる回数が減った
従業員が職場で笑顔を見せる回数が減ったら、深刻な悩みを抱えている恐れがあります。
笑顔が減る理由はさまざまですが、仕事のプレッシャーが大きくなって緊張や責任に押しつぶされてしまいそうな場合や、職場の人と仲が悪く悩んでいる場合に笑顔が減るケースが多いです。このような悩みは1人で抱え込ませないようにしましょう。
引き止めが難しい前兆
引き止めが難しい前兆には、次のようなものがあります。
不満を言わなくなった
会社の悪口を言ったり、愚痴を零していたりした人が不満を言わなくなったら仕事を辞める前兆かもしれません。なぜなら、仕事を辞めることが決まると、もう我慢しなくて良いとスッキリするためです。既に転職先が決まっている人は全く不満を言わなくなります。
新しい仕事に消極的になる
仕事を辞めることを考えている人は、新しい仕事に消極的になり関心を示さなくなります。なぜなら、会社に長く勤めようと考えなくなるためです。
「どうせ辞めるから評価に関係ない」「頑張る必要がない」と投げやりになっている可能性があります。また、転職が決まっている場合は、新しい仕事を覚えると退職しにくくなることを懸念して、あえて引き受けなくなります。
他にやりたいことがあると発言する
「他にやりたいことがある」と発言し始めたら、今の仕事に対する嫌気がピークに達してしまっています。仕事に対する嫌気により、ルーティン業務の繰り返しで情熱が薄れてダラダラと仕事をしがちです。このような状態の従業員を引き止めても、良いパフォーマンスを発揮してもらえません。
遅刻・早退が増えた
従業員が遅刻・早退するようになったら、転職活動を優先しているかもしれません。転職活動の面接は、面接先の営業時間に行われていることが多く、業務より転職活動を優先すると遅刻や早退が増えます。
誰でも遅刻や早退をすると、周囲に迷惑がかかると理解しているはずです。それにも関わらず、そのような配慮ができなくなっている人は退職に気持ちが動いていると考えた方が良いでしょう。
仕事中に私用電話に出ている
仕事中に私用電話に出るようになったら、面接先や転職エージェントと連絡を取っている可能性があります。先方が仕事中であると理解しているにも関わらず連絡してきているということは、最終選考の連絡や内定通知の連絡でしょう。
そのような連絡が入ってくると、従業員はソワソワして業務時間に席を外して電話に出てしまいます。
退職の意思表示をする
従業員が退職の意思表示をする際には、既に転職が決まっているケースが多いです。気持ちが固まっているため、従業員の退職を引き止めることはできません。従業員の退職を引き止めたい場合は、退職の意思表示を出させる前のフォローが必要になります。
真面目な人ほど仕事を辞める前兆がない理由
仕事に真面目な人ほど仕事を辞める前兆がありません。突然、仕事を辞めるため驚く方もいます。なぜ、真面目な人は仕事を辞める前兆がないのかを理解しておきましょう。
断れない性格のため
真面目な人は周囲の人の期待に応えたいという気持ちが強いため、頼まれごとを断ることができません。仕事を引き受けて負担が増えても、不満を漏らさずにやり遂げようとします。そのため、1人で仕事を抱え込みがちになります。自分のプライベートの時間を削るなど無理をして、ストレスが爆発したときに突然退職してしまうのです。
完璧主義なため
完璧主義で真面目な人は、高い目標を設定して成果を求めます。自分自身に厳しく、高い目標を達成しようと努力します。
しかし、目標が達成できない場合は、ギャップに苦しみ自己評価が低くなってしまいがちです。目標達成できないことに対して自信を失うと、健康を害すなど心身に異変が現れて退職してしまいます。
ストレスをため込むため
真面目な人は、周囲に迷惑をかけたくないという思いが強いため、ストレスをため込みがちです。業務過多でストレスを感じているにも関わらず、周囲に対して無理矢理でも笑顔を作ろうとします。そのため、ストレスをため込み体調を崩してしまいます。
真面目で優秀な人を退職させないためには、ストレスチェックを定期的に行うことが大切です。
仕事を辞める前兆を発見した際の対処法
従業員の仕事を辞める前兆を発見した際の対処法は3つあります。
1on1面談を実施する
まずは、従業員と1on1面談を実施して「何かお困りのことはありますか?」など質問を投げかけてみましょう。従業員が話をしてくれたら、相手の話を遮らずに最後まで聞いてあげます。話を聞くときは、相手の気持ちに共感して理解を示し、安心して話せる雰囲気を作りましょう。そして、従業員が悩んでいる原因(仕事・人間関係・キャリアパス・待遇・プライベート)を特定します。
解決策を一緒に考える
1on1面談で悩みの原因を特定できたら、具体的な解決策を考えてあげます。上司や人事部門が連携して、可能な限り、従業員の要望に応えてあげましょう。従業員と約束したことは、すぐに実行に移すことで誠意を伝えられます。もし、従業員の要望に応えられない場合は、理由を伝えましょう。
改善策の効果を確認する
従業員の要望に応えられているか定期的に確認することが大切です。誠意を持って対応することで、会社は従業員を大切にしていることを理解してもらえて所属意識を高めることができます。
1on1面談のやり方について、詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『1on1ミーティングの目的とは?キャリア支援につながる正しい手順を紹介』
まとめ
仕事を辞める前兆を発見したら、引き止められるタイミングであるかを見極めましょう。その上で適切な対応をすれば、従業員の退職を引き止められます。
また、退職者が出た場合は退職理由を聞いて職場改善することが大切です。
イグジットインタビューいっとは、退職者から本音を引き出して、職場にどのような問題があるかを特定し改善策までワンストップで提供するサービスです。
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