「従業員から12連勤はきついと不満を持たれて退職されてしまったけ…」「上司が部下に100連勤を強いて精神的・体力的に追い込んでいた…」など、きつい労働環境による退職は非常に多いです。
人事担当者の中には「12連勤は違法なの?」「何連勤であれば合法なの?」と気になっている方もいるでしょう。
そこで、今回は何連勤まで合法であるかを解説します。法律違反のリスクまでご紹介しているため、連勤が多い職場に不安を抱いている人事担当者は記事を参考にしてみてください。
目次
[はじめに]連勤に関する法律「労働基準法」を知ろう
連勤に関する法律として「労働基準法」があります。労働基準法は労働者の権利を守るための法律です。労働基準法の第35条と第37条に連勤に関する規定が記載されています。
第35条1項
労働基準法第35条1項には「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない。」と記載されています。
人は働き過ぎると仕事に対する集中力やモチベーションが低下すると言われています。業務過多で心身を壊す人もいるため、少なくとも週一回の休日を与えるようにしましょう。
業務過多の恐ろしさについて下記の記事で詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。
関連記事:『業務過多で従業員が退職!人間関係や労働環境の悪化を解消する方法とは』
第35条2項
労働基準法第35条2項には「労働基準法第35条1項は四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。」と記載されています。
つまり、変形週休制(4週間に合計4回以上の休日を与える制度)を採用している場合は、週1回の休日を与える必要はありません。変形週休制を採用する場合は就業規則に4週間の起算日を定めておく必要があります。
法律上は最大12連勤が可能
労働基準法の第35条1項の内容を説明しましたが、最大12連勤が可能です。
第1週目の初日、第2週目の最終日を休日にすれば最大12連勤させることができます。連勤をさせる場合は週40時間に収まるように所定労働時間を設定したり、36協定を結んだりしておく必要があります。
従業員の心身の健康のために推奨はできませんが、12連勤させても法律違反になりません。
変形労働時間制の場合は24連勤まで可能
労働基準法の第35条2項のように、変形労働制を採用する場合は最大24連勤させることができます。
4週間(合計28日)の中で4連休を取得してもらえば24連勤させることが可能です。
連勤をさせる場合は週40時間に収まるように所定労働時間を設定したり、36協定を結んだりしておく必要があります。
あくまでも法律観点の話です。従業員の立場を踏まえると24連勤にならないように配慮してあげた方がよいでしょう。
連勤に関する法律に違反するリスク
労働基準法上、12連勤または24連勤までさせられると説明しました。労働基準法第35条を違反するとどうなるのでしょうか?ここでは、通勤に関する法律に違反するリスクをご紹介します。
罰金・懲役刑となる
労働基準法第35条を遵守せずに連勤させた場合は「法定労働時間を超えた労働」とみなされて、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。労働基準法に違反した疑いが発覚してから、懲役または罰金が科せられる流れは以下の通りです。
[罰金・懲役刑となる流れ]
- 労働基準監督署による調査
- 労働基準法違反が認められたら是正観光
- 司法処分(送検・起訴)
労働基準法違反が指摘されれば、罰金・懲役刑となるだけでなく企業名が公表されて企業イメージが低下してしまいます。
従業員が体調を崩す
連勤をすると疲労が蓄積されていき、従業員が体調を崩す恐れがあります。頭痛や腰痛、肩こりなどの体調面の不調を感じるようになったり、小さなことにイライラするようになったりします。
長時間労働でメンタル不調に陥り自殺する事件に発展すれば、ニュースで取り上げられ民事裁判に発展していまい、莫大な慰謝料を支払わなければなりません。
労災と認定されてしまう
連勤で従業員が体調を崩した場合は、労災認定されてしまう恐れがあります。労災認定された会社の労災保険料は非常に高いです。
労災保険料は4.5/1000から118/1000分まであり事故発生率で変わります。つまり、従業員に連勤させて労災認定されると高い労災保険料を支払わなければなりません。
従業員のモチベーションが低下する
従業員に休日を与えずに連勤させると、モチベーションが低下してしまいます。なぜなら、オンオフの切り替えができず、惰性で仕事してしまうためです。
また「従業員の立場を考えている会社なのか?」と猜疑心が募るようになり、会社に対する愛着心が薄れてしまいます。自社に対する愛着心が薄れると、上司からの指示待ちの状態になり、積極的に仕事してもらえなくなり生産性が低下してしまいます。
従業員が連鎖退職してしまう
従業員に連勤させると「仕事とプライベートの両立が難しい…」「この職場で働き続けるのは難しい…」などの理由で従業員が退職していまいます。連勤の大変さで退職する人が出てしまうと、他の従業員も退職すべきかどうか検討するようになります。
例えば、退職した人から良い転職先を見つけられたと聞けば、次から次へと退職者が出てしまうことになるのです。実際に、数十名の従業員が退職した企業もあります。連鎖退職されると、事業運営が回らなくなる恐れもあるため注意が必要です。
連鎖退職の恐ろしさについて詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『連鎖退職とは?組織が崩壊する末路から連鎖を止める方法まで解説』
連勤に関する法律を守るための対策方法
労働基準法を守るためにどのようなことに取り組めるのでしょうか?次に連勤を防ぐための対策方法をご紹介します。
人材を確保する
人材不足で連勤させている場合は人材確保しましょう。求人広告や人材紹介会社を利用料が負担となる場合は、下記のような人材採用手法がおすすめです。
[採用コストを抑える方法]
アルムナイ採用
リファラル採用
自社サイト採用
SNS採用
ヘッドハンティング採用
ミートアップ採用
インターンシップ採用
外注・業務委託の採用
選考プロセスや求人広告、内定者フォローを見直すことで採用コストを削減することが可能
です。
採用コストの削減方法について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
関連記事:『採用コストの削減方法18選!採用手法や助成金、ポイントまで解説』
また近年、注目を浴びるアルムナイ採用について詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『アルムナイ採用とは?フロー・ステップから成功事例まで徹底解説!』
労務管理を徹底する
労働基準法の違反を防ぐためには、労務管理を徹底することが大切です。
従業員の始業時刻や終業時刻、有給休暇の取得状況などを管理したり、就業規則を作成して従業員が閲覧できる場所に掲示したりすることで、法律違反を防げます。
従業員が連勤で体調不良にならないか不安な場合は、産業医によるメンタルヘルスチェックやメンタルヘルスマネジメントを実施するとよいでしょう。
メンタルヘルスマネジメントについては下記の記事で詳しく解説しています。
関連記事:『メンタルヘルスマネジメントとは?取り組み事例と効果、重要性を解説!』
勤務間インターバル制度を導入する
勤務間インターバル制度を導入すると、従業員の健康を促進できます。
勤務間インターバル制度とは1日の勤務終了後、翌日の出社時間までに一定時間以上の休憩時間を設ける制度をいいます。
つまり、前日23時まで働いていた場合は、翌日10時終業にさせるなど、始業時刻を後ろ倒しにするのです。勤務間インターバル制度は健康やワーク・ライフ・バランスの確保策として期待されています。
DX推進して業務効率化を図る
人材確保が難しい場合は、DX推進して業務効率化を図る方法も1つの選択肢です。
例えば、小売業で人材確保が難しい場合は、無人決済レジを導入すれば人件費をカットできます。
また、社内研修が負担となっている場合は研修内容を動画に録画して、映像で学習してもらえば自動化することも可能です。何度も繰り返し、指導する必要がなくなります。DX推進すれば、少人数でも負担なく業務を回せるようになります。
まとめ
労働基準法の第35条と第37条に連勤に関する規定が記載されています。労働基準法の第35条1項では最大12連勤が可能です。変形週休制(4週間に合計4回以上の休日を与える制度)を採用している場合は、最大24連勤が可能となります。
しかし、あくまでも労働基準法を違反しないという意味です。従業員の健康面やモチベーション面の観点からは、連勤はさせない方が良いです。連勤がきつくて退職される方は非常に多いため、心当たりがある場合は、これを機会に労働環境を見直してみてください。
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