内定辞退されてしまい、計画していた採用人数を下回ってしまったら混乱してしまうかもしれません。計画通りに採用計画が進まないと、事業計画まで狂ってしまいます。このような場合、「内定辞退者に対して損害賠償を請求できるないのかな?」と思うこともあるでしょう。
今回は、内定辞退に対して損害賠償を請求できるのかを解説します。この記事を読めば、内定辞退が出ないようにするための対策方法まで理解できるようになります。そのため、内定辞退で悩んでいる方は、この記事を参考にしてみてください。
目次
内定辞退で損害賠償は請求できるのか?
結論から説明すると、内定辞退で損害賠償の請求はできません。まずは、内定辞退で損害賠償が請求できない理由をご紹介します。
損害賠償請求はできない理由
内定辞退で損害賠償請求ができない理由は、企業と内定者の間には、始期付解約権留保付の労働契約が成立しているためです。この労働契約により、入社日までに病むを得ない事由が発生した場合には内定を取り消せます。この労働契約に関しては「労働基準法第627条1項」で守られています。
損害賠償請求ができるケース
例外的に、内定辞退で損害賠償請求できるケースがあります。それは、約束を守り務めを果たすことを放棄したときです。
具体的に説明すると、新入社員の研修に参加しておきながら、その後に内定辞退をするようなケースが該当します。このような場合は、債務不履行として損害賠償請求ができます。損害賠償の範囲は、研修や採用にかかった費用です。
[補足]内定辞退を引き止められる
内定辞退されて賠償金額を請求できませんが、相手を引き止めることはできます。内定辞退前に説得すれば、入社を決意してくれるかもしれません。誰でも、自分を必要としてもらえたら嬉しくなるものです。周囲から必要とされたら、期待に応えようという気持ちが芽生えます。そのため、内定辞退に揺らいでいる人を発見したら、引き止めてみましょう。
内定辞退を引き止める方法
内定辞退は引き止めで回避できると説明しましたが、手順を覚えておきましょう。
[内定辞退を引き止める方法]
- 入社に対する懸念点を聞き出す
- 懸念点を解消する
- 入社後のイメージを持ってもらう
ここでは、各手順について詳しく解説します。
入社に対する懸念点を聞き出す
内定者が入社を決意してくれない理由は、職場に対する懸念点があるためです。中途採用者の中には、企業に懸念点が伝えられないのが嫌でエージェントを利用する人もいるぐらいです。そのため、入社の意思を固めてくれない人に対しては連絡を取り、入社に対する懸念点を聞き出してみましょう。懸念点を聞き出すときは、フランクな姿勢で本音を引き出していきます。
懸念点を解消する
入社に対する懸念点を聞き出せたら、それを解消してあげましょう。例えば「自分の理想通りのキャリア形成ができないのではないか?」という懸念点に対しては、内定者の意見を尊重して業務を割り振るなどです。懸念点を解消すれば、自社より好条件の他社が出てこない限り、入社をしてくれるでしょう。
入社後のイメージを持ってもらう
内定者は入社前に内定ブルーに陥ります。その理由は、「職場の人間関係が上手くいくだろうか?」という悩みを抱えるためです。また、新入社員の場合は「スキル不足や迷惑をかけてしまうのではないか?」という不安を抱えがちです。
このような不安を払拭するために、内定承諾書を渡した後にも、定期的にコンタクトを取るようにしましょう。定期的に連絡をして、職場の雰囲気や先輩社員を紹介して「あなたなら大丈夫」と自信を付けてあげれば内定辞退されません。
内定辞退を引き止めるために、入社後のイメージを湧かせましょう。
内定辞退を防止する方法
内定辞退の原因を把握できたら、どのように防止するかを考えていきます。具体的に内定辞退を防止する方法には、以下のような方法があります。
- 内定辞退の原因を把握する
- 給与や福利厚生の条件を見直す
- 働きやすい職場をつくる
- 自社に合う人材を把握しておく
- 求人情報に透明性をもたらす
- 面談時の対応を見直す
ここでは、それぞれの方法について詳しく解説します。
内定辞退の原因を把握する
原因を把握して職場環境を改善すれば、内定辞退される機会が減らせるでしょう。これまで内定辞退者が出ておらず対策をしたい方は、enJapan「人事のミカタ」の内定辞退の理由を参考にすることをおすすめします。
■面接前の内定辞退の理由
出典元:『en人事ミカタ 「はじめての人事講座」~辞退の心理~』
面接後の内定辞退の理由
出典元:『en人事ミカタ 「はじめての人事講座」~辞退の心理~』
給与や福利厚生の条件を見直す
給与や福利厚生の条件を見直せば、内定辞退を防止できます。その理由は、多くの人が仕事をする上で「給料が高いこと」を重視しているためです。
ベネッセ教育総合研究所「若者の仕事生活実態調査報告書」では、仕事する上で「給料が高いこと」を重視すると回答している人は、37.8%と記載されています。男性では2番目、女性では3番目と、多くの人が給料を重視していることが調査報告書から分かります。
新入社員に高い給与を支給する必要はありませんが、競合他社と比較して給与水準が低くないかは確認しておきましょう。もし、競合他社の給与水準が難しい場合は、福利厚生や職場環境などで差別化する必要が出てきます。
働きやすい職場をつくる
働きやすい職場をつくれば、社内の雰囲気が良くなり、新入社員に働いてもらいたいと思ってもらえるようになるでしょう。ベネッセ教育総合研究所の同調査では、職場の雰囲気が良いことを重視すると回答している人は35.4%と記載されています。とくに、仕事をする上で職場の雰囲気が良いことを重視する女性は多いため、働きやすい職場をつくると内定辞退を防止できるでしょう。
働きやすい職場のつくり方の詳細については、以下の記事で解説しているため参考にしてみてください。
関連記事:『職場環境の改善方法を手順に沿って解説!問題が起きる原因まで紹介』
自社に合う人材を把握しておく
内定辞退が起きてしまう原因が、自社の社風に見合う人材にアプローチできていないためです。
自社の社風に見合う人材像を定義してなかったり、雰囲気や実績で選んでいたりすると、ミスマッチが起きてしまいます。面接者も面接時に違和感を抱いてしまうかもしれません。そのため、現在の職場で活躍している人のタイプやスキルを棚卸しして、どのような人材に入社して欲しいかを明確に定めましょう。
入社して欲しい人物像を定義できれば、ターゲットに見合う求人広告が作成できます。
求人情報に透明性をもたらす
求人情報に透明性をもたせれば、どのような企業であるか明確に伝えられ、面談前後での印象が変わることもありません。ひと昔前までは、求人情報には文章や写真しか掲載できませんでした。
しかし、近年は求人情報に動画が掲載できるようになり、職場の雰囲気や経営者の人柄が伝えられるようになりました。このように、職場のリアルを伝えられれば、面談前のミスマッチを防止できて内定辞退されなくなります。
面談時の対応を見直す
採用面談に携わる人は、面接する側ではなく面接される側であることを忘れてはいけません。その理由は、高圧的な態度で面接をすると、「この上司の下で働くのは嫌だな」と思われて内定辞退される恐れがあるためです。
面接官の態度が会社の印象を左右するため、会社の代表として自覚をして、適切な振る舞いをしましょう。具体的には、応募者に興味を持ち細かな表情で語りかけると効果的です。
まとめ
内定辞退をされて採用計画が狂っても、内定者に損害賠償金額を請求できません。これは、労働基準法で守られている内容です。採用計画が狂わないようにするためには、内定辞退者を引き止めたり、入社したいと思う職場をつくったりすることが必要です。
この記事では、内定辞退者の引き止め方や、内定辞退を防止する方法をご紹介しました。ぜひ、これを機会に入社したい職場づくりを目指してみてください。
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