
仕事を辞める際、できる限り円満に退職したいと考える方は多いのではないでしょうか?実際に丁寧な引き継ぎや誠実な対応を心がけることで、退職後も良好な人間関係を築けて転職活動にも良い影響を与えられます。そのため、円満退職を目指しましょう。
今回は円満退職を成功させるための伝え方・タイミング・方法をわかりやすく解説します。
目次
円満退職とは
円満退職とは、職場の上司や同僚との関係を悪化させずに、お互いの合意の上で雇用関係を終了することを意味します。円満退職を通じて、退職後も良好な人間関係を保てれば、情報交換や業務提携などビジネスチャンスに恵まれやすくなります。
また、円満退職することで自己肯定感も上がり転職への自信につながり、次のステップへ進むための大事な土台となるため、退職日まで誠実な対応を心がけて円満退職を目指しましょう。
円満退職が必要ないケース
基本的に円満退職は望ましいとされていますが、円満退職が必要ないケースもあります。
例えば、明らかなハラスメントや長時間労働、給与未払い、後任者が見つかるまで退職を認めないといった問題がある職場には配慮する必要はありません。
また、心身の不調など健康を害している場合は、ご自身の状況を最優先に考えましょう。憲法では働く人の権利が守られているため、必要であれば労働基準監督署や専門機関へ相談することを検討してみてください。
円満退職のメリット
円満退職は必須ではありませんが、多くのメリットがあります。
転職活動で有利に働く
円満退職は、転職活動で有利に働きます。円満退職することで社会人と信頼されるだけでなく、前職での経験や人脈を活かして活躍してくれると期待されるためです。
また、企業側が転職を応援してくれるようになり、転職活動で使用できる推薦状を作成してくれるようになります。推薦状は必須ではありませんが、応募先企業に提出すれば転職活動で有利に働くことがあります。
元職場との関係性を維持できる
円満退職をすることで、職場の人達と退職後も良好な関係を保つことができます。
OB・OGの飲み会などで、情報交換や業務提携などビジネスチャンスが生まれることがあります。もし、転職先の仕事が上手くいかなかったときも「もう一度、一緒に働かないか?」と再雇用のお誘いをしてもらえるなどキャリアの選択肢を広げられます。
退職手続きがスムーズに進む
円満退職を心がけることで、退職時の手続きがスムーズに進みやすくなります。
会社との関係が良好であれば、離職票や雇用保険被保険者証などの書類発行、有給休暇の取得、備品の返却などもスムーズに対応してもらえるようになります。
会社側も協力的な姿勢をとってくれやすく、転職先への入社準備も円滑に進められ、良いスタートが切れるため、円満退職を目指しましょう。
自己肯定感が高まる
円満退職することで、「最後まで責任を果たせた」「人間関係を大切にできた」と自己肯定感が高まります。退職という選択は後ろめたさや不安を伴いますが、丁寧な引き継ぎや感謝の気持ちを伝えることで、自分の行動に自信を持てるようになります。
また、周囲から「一緒に働けてよかった」「今までありがとう」といった言葉はポジティブな原動力になり、転職活動に意欲的になれるでしょう。
円満退職を成功させるためのポイント
円満退職を実現するためには社会人としてのマナーを押さえて行動することが重要です。ここでは、円満退職を成功させるためのポイントを紹介します。
退職の意思表示は早めにする
円満退職を実現するには、転職したい気持ちが決まったら早めに退職の意思を伝えることが大切です。会社側が後任者の選定、社内外への調整ができるように1~1.5ヵ月前に申し出るのが理想とされています。
特にプロジェクトマネージャーや顧客対応など責任ある業務を担っている場合は、計画的な引継ぎ業務が求められます。
突然の申し出は上司や同僚に迷惑をかけるだけでなく、業界内の評判やリファレンスチェックで不利になる恐れがあるため、退職の意思表示は早めにしましょう。
繁忙期は避ける
円満退職を目指すうえで、退職のタイミングを考慮することも大切です。
特に繁忙期に辞めると、業務に大きな負担をかけることになり、上司や同僚との関係が悪化するリスクが高まります。
繁忙期を避けて後任者の教育を落ち着いて進められるように配慮すれば、お世話になった人に迷惑かけずに退職できます。
上司に口頭で伝える
退職の意思は、まず直属の上司に口頭で伝えるのが社会人としてのマナーです。
メールやチャットで済ませるのは避け、誠意を持って伝えることが、円満退職への第一歩となります。
事前にアポイントを取り、会議室や応接室など落ち着いた場所で伝えます。上司に退職の意思を伝える際は感情的にならず、退職理由や今後のスケジュールを簡潔に説明しましょう。
上司はその後、社内での調整や後任者の検討、引き継ぎ体制を整えることになります。
円満退職を実現する!上司への退職理由の伝え方
円満退職を実現するためには、「どのように退職理由を伝えるか」が重要です。伝え方次第で、相手の受け止め方やその後の関係性が大きく変わります。ここでは、円満に退職するための退職理由の伝え方をご紹介します。
退職の意思ははっきり伝える
退職の意思を曖昧に伝えてしまうと、上司に本気度が伝わらず話が先延ばしになったり引き止めが長引く原因になったりします。円満退職を目指すなら「決意は固まっている」という姿勢を示し、納得してもらえる退職理由を伝えることが大切です。
「キャリアを見直して、新しい仕事に挑戦したいので○月末で退職したいと考えています」といったように、時期を具体的に伝えましょう。このように伝えることで、スケジュール調整や後任者の選定を進めてもらえます。
職場への不平不満は避ける
退職理由を伝える際、現職に対する不満があったとしても、そのまま伝えるのは避けるべきです。人間関係の悪化や待遇への不満、残業の多さの話題は、聞き手にネガティブな印象を与える可能性があります。
特に直属の上司が原因である場合、関係が悪化するリスクが高まります。そのため、ネガティブな理由でも、ポジティブな表現に言い換える工夫が必要です。
一方的に退社日を伝えることは避ける
退職の意思を伝える際、あらかじめ「○月○日に辞めます」と一方的に退社日を決めて伝えるのは避けましょう。
会社側にも引き継ぎや後任者の調整、業務スケジュールなどがあるため、柔軟な姿勢を見せることが円満退職には欠かせません。「○月末を目安に退職を考えているのですが、ご相談させていただけますか?」といった言い回しを用いることで、相手の立場を尊重しながら双方合意の上の退職を目指しましょう。
転職先を具体的に伝える必要はない
退職の場面で「転職先はどこか」と尋ねられることもありますが、企業名や職種を伝える義務はありません。情報を明かすことで、社内で噂が広がったり、上司や同僚が無用な感情を抱いたりする恐れがあります。
また内定が確定していない段階では、トラブルにつながる可能性もあるため、転職先を伝えるのは控えるようにしましょう。
円満退職の理由別おすすめ例文4選
退職理由は、伝え方次第で印象が大きく変わります。ここでは、シーン別に円満退職におすすめの例文をご紹介します。
職場に不満がある場合
職場の不満が退職理由であっても、円満退職を目指すなら、そのまま伝えるのは避けた方が無難です。相手に与える印象を和らげるためにも、前向きな表現に言い換える工夫が必要になります。
NG例:「残業が多すぎてプライベートの時間が取れないため退職します。」
変換例:「働き方を見直し、より自分らしいワークライフバランスを実現できる環境にチャレンジしたいと考えるようになりました。」
このように不満を直接伝えるのではなく、自分の価値観やキャリアに焦点を当ててポジティブな退職理由にすることで、相手に好印象を与えることができます。
体調不良による退職の場合
体調不良を理由に退職する場合、無理に詳しい事情まで説明する必要はありません。大切なのは、誠実な姿勢で業務への影響を簡潔に伝えることです。
例文「体調不良が続いており、現職の業務に万全の状態で取り組むことが難しくなってきました。今後は体調の回復に専念したく、退職を決意いたしました。」
上司にとっても、業務の円滑な継続は重要なポイント。あらかじめ引き継ぎの意志があることを伝えておくと、よりスムーズに進みます。無理をせず、自身の健康を最優先に考えましょう。
家庭の事情による退職の場合
家族の介護や育児など、家庭の事情による退職は企業側にも理解されやすく、比較的引き止められにくい理由の一つです。
例文「家族の介護が必要となり、現状の働き方を続けることが難しくなったため、退職を決意いたしました。今後は家庭の状況を整えたうえで、改めてキャリアを見直していきたいと考えています。」
このように、誠実な姿勢を見せつつ、今後への意欲も言葉に添えることで良い印象を与えやすくなります
キャリアアップのための退職の場合
前向きな退職理由として伝えやすいのが、キャリアアップや将来の目標を見据えた転職です。企業側にも納得されやすく、円満退職につながりやすいです。
例文「これまでの経験を活かし、より専門性を高めた業務に挑戦・活躍したいという思いが強くなり、将来のためにキャリアアップを目指して転職を決意いたしました。これまで支えていただいたことに心から感謝しております。」
このように、成長意欲やチャレンジ精神を前面に出すことで、ポジティブな印象を与えやすくなります。
円満退職するための具体的な流れと手順
円満に退職するためにはステップを踏んで進めることが大切です。
STEP1:退職日を決定する
STEP2:退職届・退職願の提出する
STEP3:業務の引継ぎを丁寧に行う
STEP4:取引先への退職の報告と引継ぎ挨拶をする
STEP5:同僚や上司への感謝の挨拶をする
まずは最初のステップから見ていきましょう。
STEP1:退職日を決定する
最初に行うべきは、退職日を決定することです。退職の意思を上司に伝える前に、転職スケジュールや有給休暇の消化状況、現職の業務状況を考慮して退職希望日を決めましょう。
企業側の都合も踏まえて柔軟に調整する姿勢を見せることで、トラブルを回避しやすくなります。一般的には退職の1~1.5ヵ月前に意思表示することを念頭に余裕を持って進めるのが理想的です。
STEP2:退職届・退職願を提出する
退職の意思が正式に受理されたら、退職届を提出します。退職届(退職願)には、退職日や所属部署、氏名などを正確に記載し、誤字脱字のないよう注意しましょう。
提出方法は基本的に手渡しがマナーで、直属の上司に直接渡します。退職届を丁寧に作成することが円満退職への第一歩です。
STEP3:業務の引継ぎを丁寧に行う
円満退職には、業務の引継ぎが欠かせません。担当している業務の進捗状況、取引先情報、対応中の顧客などを整理し、後任者がスムーズに対応できるよう準備しましょう。口頭説明と文書の両方で引き継ぐと安心感を与えられます。
また、社内外の担当者に対しても、連絡や調整を忘れずに行うことで、企業や顧客への迷惑を最小限に抑えることができます。
STEP4:取引先への退職の報告と引継ぎ挨拶をする
取引先への退職報告と引継ぎの挨拶は、ビジネスマナーの基本です。顧客や外部パートナーに対しては、退職の数週間前には直接もしくはメールで連絡し、感謝の気持ちとともに退職の旨を伝えましょう。
併せて、後任者の氏名や連絡先についても伝えることが信頼関係を維持できます。転職先で思わぬご縁につながる可能性もあるため、円滑な対応を心がけましょう。
STEP5:同僚や上司への感謝の挨拶をする
退職時には、これまでお世話になった同僚や上司への感謝の挨拶を忘れずに伝えましょう。
メールや口頭での挨拶はもちろん、一人ひとりに直接感謝の気持ちを伝えるのが理想です。「一緒に働けてよかったです」「たくさん学ばせていただき、ありがとうございました」など、前向きな言葉を添えることで、良い印象を残すことができます。
転職活動中におすすめの転職エージェント5選
転職活動を円滑に進めたい方には転職エージェントの活用が有効です。ここでは、サポート体制や実績に定評のあるおすすめの転職エージェントを5社ご紹介します。どのサービスも相談料は無料のため、ぜひ活用してみてください。
第二新卒エージェントneo
出典:『第二新エージェントneo』
第二新エージェントneo は、第二新卒や既卒、フリーターといった20代の若手層に特化した転職エージェントです。
就職未経験者や短期離職者にも理解のあるキャリアアドバイザーが在籍し、マンツーマンで就職成功までをサポートしてくれます。履歴書や職務経歴書の書き方の指導や面接対策もサポートします。
年間1万人以上の就職支援実績があり、初めての正社員転職に不安を感じる方にも安心です。特に「社会人経験が少ないことが不利にならないか」と不安な20代の方であれば、しっかりと指導してくれるため心強さを感じられるでしょう。そのため、アドバイザーと一緒に転職活動に挑戦したいという方におすすめです。
doda
出典:『doda』
dodaは、パーソルキャリアが運営する国内最大級の転職支援サービスです。求人数は常時20万件以上と豊富で、非公開求人や大手・優良企業の募集も多数。特徴は、転職サイトとエージェントサービスのハイブリッド型で、自分で求人を探しながら、キャリアアドバイザーのサポートも受けられる点です。
職種・業種別に専門チームが編成されており、経験や志向、希望年収に合った仕事の紹介に定評があります。また、dodaはITエンジニアの転職活動なども得意としています。
マイナビジョブ20’s
出典:『マイナビジョブ20’s』
マイナビジョブ20’sは、大手人材企業マイナビが運営する、20代・第二新卒・既卒に特化した転職エージェントです。利用者の約9割が社会人経験3年以内という実績があり、未経験歓迎の求人も多く扱っています。
専任のキャリアアドバイザーが、性格適性診断を活用しながら丁寧にサポートしてくれるため、自分に合った職種や企業を見つけやすいのが特徴。書類添削や面接対策のきめ細かな支援に加え、マイナビならではの信頼とネットワークを活かした独自求人の多さも魅力です。そのため、更新日に新たな求人を見たいという方におすすめです。
フォロアス
出典:『フォロアス』
フォロアスは、販売/接客経験者から異業種への転職を支援を得意とする転職エージェントです。アパレル業界で培ったコミュニケーションスキルや提案スキル、情報発信スキルを強みに異業種への転職を支援してもらえます。
ファッション・アパレル出⾝の⽅も「営業」「事務」「エンジニア」「デザイナー」など様々な業種で活躍しているため「キャリアチェンジしたいけれど、大丈夫だろうか?」「どのように接客スキル、コミュニケーションスキルを自己PRに紐づければよいのだろうか?」と不安を抱えている方は心強く感じられるでしょう。
エグジットインタビューいっと
出典:『エグジットインタビューいっと』
エグジットインタビューいっとは、アドバイザーが前職の退職理由を聞き取り、どのような会社を志願したいかを伺った上で転職先を紹介してくれる転職エージェントサービスです。
求人票には記載されていない企業の内情を知っている専門担当者が「前職と同じトラブルに巻き込まれたらどうしよう」「転職活動にネガティブになり不安に襲われてしまう」などの不安を払拭してくれます。そのため、前職と同じ想いをしたくないと転職活動に漠然と不安を感じている方や落ち着いて転職活動したい方におすすめです。
まとめ
円満退職は、単なる「辞め方」ではなく、次のキャリアへの第一歩となる大切なプロセスです。
退職理由の伝え方やタイミングに気を配り、感謝の気持ちを持って行動することで、転職活動が有利になったり、元職場との関係を良好に保てたりするなど多くのメリットがあります。これからのキャリアを前向きに進めていくためにも、誠実で礼儀正しい対応を心がけて、気持ちよく新たなスタートを切りましょう。
もし現在、「転職先が決まっていない」などを理由に気持ちに焦りがある場合は、エグジットインタビューいっとが転職活動を支援致しますので、ぜひご相談ください。