部下の仕事に対する意欲を上げるために動機付けをしたいけれど、どのような方法で行えばよいのか悩む方が多くいます。また、効果的な動機付けについて模索している方も多いです。
一体どのように動機付けすれば、部下の仕事の意欲を上げていけるのでしょうか?今回は、部下の仕事のやる気を引き出す動機付けの方法について詳しく解説します。
目次
◆動機付けとは
動機付けとは、仕事の目標、目的を成し遂げるために持続的に行動できるように促すことをいいます。動機付けには「外発的動機付け」と「内発的動機付け」があります。
・外発的動機付け
外発的動機付けとは「報酬を与える」「罰を下す」など外部の働きがけによる動機付けをいいます。「報酬が欲しい」「罰を受けたくない」などの心理に働きかけられて、短期間で従業員の仕事の意欲を上げられます。
しかし、外部の働きがけに慣れてしまうため、動機付けの効果が長く見込めません。従業員の中には「罰を受けたくないから仕事をする」という人が出てきて、自主性や創造性を妨げてしまう恐れがあります。
・内発的動機付け
内発的動機付けとは、従業員が仕事に対する興味・関心を持てることで生まれる動機付けをいいます。「自分の能力を発揮しながら働ける」という感覚を抱きながら働ける職場だと、内発的動機が生まれやすくなるのです。
内発的動機付けの効果が出るまでには時間がかかりますが、成功すると従業員が主体的に仕事に取り組めるようになります。
・自己決定理論でわかる内発的動機付けの有効性
自己決定理論とは、アメリカ心理学者エドワード・デシとリチャード・ライアンが提唱した動機付けに関する理論です。2人は物事に対する意欲を6段階に分類しており、外発的動機付けより内発的動機付けの方が効果を発揮すると述べました。
◆動機付けが上手くいかない原因
従業員が意欲的に働けるように、動機付けをする必要があります。しかし、動機付けが上手くいかないと悩む企業も多いです。なぜ、動機付けが上手くいかないかを把握しておきましょう。
・仕事の目標がなくてやる気が出ない
仕事の目標を設定しておかないと、従業員のやる気を引き出せません。その理由は、どのような方向に向かって仕事を取り組むべきかわからなくなるためです。
複数の仕事を引き受けている場合、どちらを優先すべきか判断できなくなります。従業員の中には「仕事でやりたいことがわからない」と悩んでいる方も多くいます。このような悩みを払拭しないと、仕事のやる気は引き出せません。
・高い目標を設定されて不安を抱いている
従業員の動機付けで高い目標を設定しないように気をつけましょう。なぜなら、従業員のスキルや経験値に相応しくない高すぎる目標を設定すると、不安や無気力に陥らせてしまうためです。目標を達成できずに「社内の中で無能だ…」と自信喪失させてしまうかもしれません。その結果、仕事が楽しめなくなります。
・劣等感が強くて仕事に自信が持てない
職場で同期より出世が遅かったり、ミスを連発してしまったりすると劣等感を抱くようになります。劣等感が強い従業員は、仕事に自信が持てません。上司が目標を定めても「自分に達成できるのだろうか?」と不安を抱き周囲を不安にさせます。
◆従業員の動機付けでやる気を引き出す方法
動機付けが上手くいかない理由をご紹介しましたが、どのように仕事のやる気を引き出せばよいのでしょうか?ここでは、従業員の動機付けでやる気を引き出す方法をご紹介します。
・従業員の価値観を把握する
従業員に動機付けをするために、相手が大切にしている価値観を把握しましょう。なぜなら、相手が意欲的に仕事に取り組むための動機は価値観に紐づいているためです。そのため、どのような場面でイキイキと働いているかを観察してみましょう。
例えば、目標達成思考の方には裁量を増やしてあげると、意欲的に働いてもらえるようになります。働きがいを重視している方には評価、感謝をしてあげると働く意欲を上げられるでしょう。このように、相手が大切にしている価値観を把握して、正しくアプローチすることが大切です。
・仕事の目標を設定する
意欲的に仕事に取り組んでもらうために、仕事の目標を設定しましょう。なぜなら、仕事の目標を設定することで、どのような方向に向かって仕事を取り組むべきかわかるようになるためです。
仕事の目標を設定する場合は、努力すれば達成できるレベルにして、具体的に提示してあげましょう。目標達成のための行動計画を組んで、振り返られるようにすることが大切です。
・フィードバックをする
仕事の目標を設定したら業務を任せつつ、定期的にフィードバックするようにしましょう。なぜなら、定期的にフィードバックすると、部下が上司に対して「きちんと自分を見てくれている」と安心できるためです。また、ポジティブなフィードバックをすれば、部下のやる気に火を付けられます。
・仕事の意義を教える
部下のやる気を引き出すには、会社の存在意義や仕事をするための意義を教えてあげることが大切です。なぜなら、入社年数が浅い従業員は、業務の一部を担うことが多いです。そのため、自分の仕事がどのような意味を持っているのか理解しづらくなり、モチベーション維持が難しくなってしまうのです。
そのため、1on1面談などで、部下が取り組んでいる仕事が、どのような貢献をもたらしているかを教えてあげて実感させてあげることが大切です。
1one1面談のやり方について知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。
関連記事:『1on1ミーティングの目的とは?キャリア支援につながる正しい手順を紹介』
・小さな成功体験を積ませる
仕事に対して自信がなく劣等感を抱いている従業員に対しては、小さな成功体験を積ませてあげて自信を付けさせましょう。なぜなら、仕事に自信が持てないと意欲的に働けないためです。部下のレベルでも達成できる目標を与えて、達成できたときに褒めることで自信を付けさせられます。
・補足:5段階欲求説を満たす
従業員の5段階欲求を満たせているかを確かめながら、マネジメントすることが大切です。
マズローの5段階欲求設とは、欲求を「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」の5つの階層に分かれているという理論です。
5つの階層はピラミッド状になっており、低い階層の欲求が満たされることで、次の欲求を求めるという内容になっています。そのため、従業員の状況に応じた欲求を満たしてあげましょう。
◆まとめ
動機付けとは、仕事の目標、目的を成し遂げるために持続的に行動できるように促すことをいいます。動機付けには「外発的動機付け」と「内発的動機付け」があります。動機付けは、上司と部下の信頼関係、正しいマネジメントが必要不可欠です。
この記事では、動機付けが失敗に終わる理由から正しい方法まで解説しました。ぜひ、これをキッカケに部下の仕事に対する動機付けをしてみてください。
従業員の動機付けには、各自が大切にしている仕事の価値観を聞くことが大切です。ぜひ、従業員のホンネを聞きたいという方は、株式会社フォロアスが提供する「エグジットインタビュー」を利用してみてください。