会社を退職した社員(アルムナイ)とのつながりは貴重な資産です。アルムナイは、多様な業界で活躍しており、その経験と知識を貸してもらうことができればビジネスを優位に進めていけます。
そこで、今回はアルムナイについて解説します。企業がアルムナイと繋がる方法までご紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
アルムナイとは
アルムナイ(Alumni)の意味は「卒業生」や「同窓生」です。人事分野では定年退職以外の退職者を指します。
ジョブ型の雇用システムを採用している欧米企業は、アルムナイを貴重なリソースと捉えており、退職後もコンタクトを取り続けています。
日本企業の雇用システムは、終身雇用制度(年功序列)です。同じ会社に一生勤務することが当たり前の時代では、退職者は裏切り者扱いをされていました。しかし、終身雇用制度が崩壊し始めて働き方も多様化してきたことから、日本企業もアルムナイを貴重なリソースと捉えられるようになってきています。
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アルムナイが注目される背景
アルムナイが注目される背景には、人材採用難があります。人材採用難を解決するために、アルムナイ採用を取り入れる企業が増えてきました。
アルムナイは社内の事情に精通しています。企業文化や企業理念、事業内容、人間関係などを熟知しているため即戦力として働いてもらえることから出戻りを許可する企業が増えてきました。
また、経済産業省「人材版伊藤レポート2.0」でアルムナイが提言されたことにより、自社の資産と捉える価値観が浸透してきました。
出典:経済産業省ウェブサイト
アルムナイと繋がるメリット
企業がアルムナイと繋がるメリットは6つあります。
- 副業人材を獲得できる
- アルムナイ採用が行える
- リファラル採用が行える
- 社外視点の意見を聞ける
- ビジネス協業の機会が得られる
- 企業ブランディングが行える
ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
副業人材を獲得できる
近年、働き方が多様化してきて1人1人希望するワークスタイルが異なってきました。
例えば、複数の仕事を兼業して多くの収入を得たいと考える人がいたり、会社に出社しないテレワークを希望する人がいたりします。アルムナイに副業や兼業で働かないかと誘えば、副業人材を獲得できるかもしれません。社内に精通したアルムナイに働いてもらえれば業務が回しやすくなります。
アルムナイ採用が行える
アルムナイと良好な関係を築けており、双方のタイミングが合えば再雇用が行えます。
求人広告や人材紹介会社を経由せずに採用が行えるため採用コストを抑えられます。また社内事情を知っているため即戦力として期待でき、採用後のミスマッチも起きにくいです。
アルムナイ採用の詳細情報はコチラ
>>アルムナイ採用とは?フロー・ステップから成功事例まで徹底解説!
リファラル採用が行える
アルムナイが企業に対して好感を抱いてくれれば、良い口コミ・評判を流してくれます。
また、アルムナイに人材採用活動を行っていることを説明すれば、友人や知人に周知してもらえてリファラル採用に繋がります。
リファラル採用もアルムナイ採用同様に、求人広告や人材紹介会社を経由せずに採用が行えるため、採用コストを抑えられます。
社外視点の意見を聞ける
アルムナイと良好な関係を築いておけば、社外視点の意見を聞けるようになります。
例えば、会社を退職して他社に転職したからわかる自社の強みを聞き出せるかもしれません。また、新商品を発売する際にモニターになってもらえるかもしれません。このように、アルムナイを貴重な社外リソースとして活用することも可能です。
ビジネスの機会が得られる
アルムナイが転職先で決裁権を持つ地位を掴めば、パートナー企業として取引が行えるようになります。
新規顧客は既存顧客より獲得が難しいです。しかし、アルムナイと良好な関係を築ければ、ビジネス協業や顧客化などの機会が得られやすくなります。
企業ブランディングが行える
企業とアルムナイが良好な関係を築ければ、信頼や愛着を寄せてもらえるようになります。
例えば、企業とアルムナイでイベントを開催して「元の職場の人達は本当に良い人ばかりだ」「元の職場の人達と楽しい時間を過ごせた」とSNSで口コミを発信してもらえれば、退職した人が素敵だと思える会社だとイメージアップを図れます。
アルムナイと繋がるデメリット
アルムナイと繋がるデメリットは5つあります。
- 現役社員に再雇用条件を説明する
- 情報漏洩のリスクが発生する
- 退職マネジメントが必要となる
- 職場を改善する
- アルムナイコミュニティ運営が負担となる
ここでは、それぞれのデメリットについて解説します。
現役社員に再雇用条件を説明する
企業がアルムナイと繋がり再雇用も検討している場合は、現役社員への説明が必要です。
現役社員へ説明せずにアルムナイ採用すると、離職率が上がる恐れがあります。そのため、アルムナイ再雇用には条件があること、簡単に出戻りできるわけでないことを説明しましょう。
情報漏洩のリスクが発生する
企業とアルムナイが良好な関係を築くために、定期的に連絡を取り合うことは大切です。
しかし、アルムナイは社外の人であることを忘れて、機密情報を漏らさないように気をつけましょう。アルムナイを信頼して機密情報を伝えると情報漏洩する恐れがあります。
退職マネジメントが必要となる
アルムナイと良好な関係を築くためには、退職時にどれだけ良好な関係で送り出せるかが重要です。
退職の予兆を感じた従業員に対して面談を実施したり、不満があれば職場を改善してあげたりしましょう。社員の意志が強い場合は尊重して温かく見送ってあげましょう。
退職の予兆を感じた従業員から本音を聞き出すことは簡単なことではありません。その際は、第三者のインタビュアーに本音を引き出してもらう方法もあります。
職場を改善する
会社を退職する理由はさまざまですが、ネガティブな理由によるものが多いです。
退職予兆がある従業員、退職者から職場改善を求める声を拾えたら、職場改善に役立てましょう。
職場改善を継続的に行うことで「昔の会社とは違うんだ」とアルムナイに興味を持ってもらえて再雇用しやすくなります。
アルムナイコミュニティ運営が負担となる
企業がアルムナイと良好な関係を築くためには、アルムナイコミュニティ内で定期的に連絡を取り合う必要があります。アルムナイコミュニティの管理、運営、イベント開催など負担となりがちです。
アルムナイ採用だけに取り組みたい場合は、退職者の情報を集めておき、求人募集の際に連絡をかけるだけでも問題ありません。そのため、アルムナイコミュニティ運営が負担とならないように効果とコストを換算して検討することをおすすめします。
アルムナイと繋がる方法
アルムナイと繋がる方法は「コミュニティ型」と「情報発信型」があります。
コミュニティ型
コミュニティ型とは、企業とアルムナイによるアルムナイコミュニティを運営することをいいます。定期的に交流を目的としたイベントを開催することで良好な関係を維持します。
コミュニティ運営コストはかかりますが、社外視点の意見を聞きやすく、ビジネス協業の機会が得られやすいです。そのため、アルムナイと繋がるさまざまなメリットを得たい方はコミュニティ型をおすすめします。
情報発信型
情報発信型とは、企業の退職者(アルムナイ)にメンバー登録をしてもらい、企業から情報発信することをいいます。
新商品のモニター募集や副業人材募集、求人募集などの情報を発信することが可能です。
また、過去に一緒に働いてくれた仲間として感謝し、セレモニーに案内するのも良いでしょう。社外の立場からの意見は広いにくくなりますが、運用コストがかかりにくいです。
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>>いっとが提供するアルムナイ採用サービスの強み
アルムナイと繋がる企業事例「トヨタ自動車」
引用:『トヨタ自動車 アルムナイ採用』
アルムナイとの繋がりで注目を集めている企業が「トヨタ自動車」です。
トヨタ自動車は自己都合退職された方のアルムナイ採用に取り組んでいます。
自動車業界ではC(コネクティッド)、A(自動化)、S(シェアリング)、E(電動化)といった「CASE」という新しい領域で技術革新が進み100年に一度の大変革の時代に突入しているため、社外で経験を積んだ人材を再雇用する必要性が出てきたのです。
トヨタ自動車は社外で知見を得た人材を獲得することで、モビリティーカンパニーへの変革を起こそうとしています。
トヨタ自動車はアルムナイ同士で交流を深めてもらい、コミュニティのアクティブユ-ザーを増やすことで運営の負担を削減しようとしています。
まとめ
アルムナイは定年退職以外の退職者を指します。貴重なリソースと捉えており、退職後もコンタクトを取り続ける企業が増えてきました。
アルムナイと良好な関係を築ければ、アルムナイ採用や社外の知見の獲得、ビジネス協業などの効果が得られます。社外の人的資本として注目を浴びているため、アルムナイと繋がることを検討してみてください。
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