職場環境の改善は、従業員のモチベーションを高めて生産性向上を狙うために必要です。また従業員が意欲的に働ける職場環境を用意すれば、離職防止もできるでしょう。このように、さまざまな効果が見込める職場環境の改善は、どのように行うべきなのでしょうか?
今回は、職場環境の改善方法を手順に沿ってご紹介します。この記事を読めば、職場環境の問題が起きる原因まで理解できるため再発防止もできるはずです。ぜひ、職場環境を改善したい方は、この記事を参考にしてみてください。
目次
職場環境とは
職場環境とは、働く場所の環境を指します。オフィスの明るさや騒音などの物理的なものから、働く人同士の人間関係など精神的なものまで含まれています。
職場環境を整えることは大切です。なぜなら、職場環境が良いと、従業員は仕事に集中できるようになり生産性が上がります。その一方で、職場環境が悪いと、従業員は仕事に集中できなくなり生産性が下がります。そのため、職場環境を構成する要素を理解して整備しましょう。
■職場環境を構成する要因
職場環境に問題が発生する原因
職場環境には物理的なものや精神的なものが含まれていると説明しましたが、なぜ、職場環境の問題が起きてしまうのでしょうか?職場環境を改善する前に、再発しないように職場環境に問題が発生する原因を把握しておきましょう。
職場をコントロールできていない
管理者が職場をコントロールできていない場合は、職場環境で問題が発生してしまいます。
例えば、管理職の人が不明瞭な指示を行うと、部下は作業しにくさを感じてしまうでしょう。また、総務部がオフィスレイアウトを間違えると作業しにくさを感じてしまいます。このように、管理者が職場をコントロールできなければ、問題が発生して生産性が落ちてしまうのです。
従業員に裁量権を与えていない
職場環境の問題の原因となる可能性が大きいのが、仕事に対する裁量権の有無です。一般的に、仕事の裁量が大きければ大きいほど、従業員はストレスを感じにくくなります。そのため、裁量権を与えるようにしましょう。
しかし、裁量権が大きすぎると負担が掛かり、小さすぎると遣り甲斐を感じられなくなります。従業員に見合う裁量権が与えられず、問題が発生してしまうのです。
組織活性化に投資をしない
日本の企業が事業投資をしない理由は、国内の人口が減少して製品を販売しても売れなくなってきているためです。売上が見込めないため、事業投資のコストを渋るようになりました。
事業投資をしなければ、従業員は「働く人を大切に扱ってくれない企業だ」と感じてしまいます。このような事業投資を渋ることも、職場環境の問題に繋がっています。
職場環境の改善方法
職場環境の問題が起きている主な原因を理解し再発防止ができると感じたら、次に職場環境の改善方法を学んでいきましょう。職場環境の改善方法は主に以下の通りです。
1.職場の問題を把握する
2.職場の問題を改善する
3.改善施策の効果を測定する
ここでは、各手順について詳しく説明していきます。
職場の問題を把握する
どのような箇所を改善すべきなのか、職場の問題を把握しましょう。
職場の問題を把握する場合は、オフィスの状況を確認したり従業員の声を聴いたりする方法があります。リアルな声や体験は人事戦略を考えていく上で重要です。
しかし、複数の問題がある場合は優先順位を立てなければいけません。この優先順位を立てるためにも、サーベイツールを活用して定量的データも取得するようにしましょう。
近頃は、データ分析できる退職アンケートツールが登場してきています。このツールを活用すれば、定量的データと数量的データが取れます。
関連記事:『【サンプル付き】退職アンケートとは?メリット・デメリットを解説!』
職場の問題を改善する
職場の問題を把握できたら改善していきます。職場改善は主に3つの方法があります。
改善施策の効果を測定する
職場環境の改善施策をしたら効果を測定しましょう。離職率が下がった場合は職場環境の改善が有効であると判断して問題ないでしょう。また、従業員サーベイを活用して、職場の満足度を調査して施策前後の数値を比較する方法も有効的です。
離職率の計算方法を知りたい方は、下記の記事を読んでみてください。
関連記事:『離職率とは?就業業態別・業種別・新卒の離職率の平均値まで紹介』
職場環境の問題を改善すべき理由
職場環境の改善方法をご紹介しましたが、職場環境の問題を改善すべき理由は以下の通りです。
従業員の離職を防止するため
職場環境を改善すると仕事のストレスが軽減されます。例えば、職場の人間関係が良くなれば協力し合うことができて気持ち良く仕事ができるでしょう。
近頃は、仕事のストレスが原因で鬱病になって働けなくなる方もいます。従業員のメンタル不調で離職してしまうケースも珍しいことではありません。このような問題は職場環境を改善することで解決できます。
生産性の低下を招かないため
職場環境を改善すると、従業員が作業に集中しやすくなります。
例えば、仕事の量が多い場合は能力が高い人でも仕事の質が落ちてしまいます。また、業務量が肉体的・精神的な負担となり、集中力が持続できなくなってしまうかもしれません。このような問題も職場環境を改善することで解決できます。
組織を存続していくため
従業員が職場に対して不満を持てば、離職率が上がってしまいます。従業員が職場に不満を持てば、悪い評判は広まり、企業のイメージダウンにもつながるでしょう。労働時間を管理せずに過重労働させた結果、過労死に至った事件が報道されています。
このような問題が起きたときには、企業の信頼が落ちてしまうでしょう。そのため、会社を存続していくために職場環境を改善していく必要があるのです。
職場環境の改善事例
職場環境の改善について説明してきましたが、企業ではどのような取り組みをしているのでしょうか?職場改善のヒントを得るためにも職場環境の改善事例をご紹介します。
株式会社丸井グループ
株式会社丸井グループは、2016年にストレスチェックを開始しました。同社の従業員1人1人が健康に対する意識が高いことに加えて、各事業所に「健康管理委員」という役割の管理職を在籍させることで、ストレスチェックの受験率98%を実現しています。
また、ストレスチェックは回答しやすいものを用意しています。この調査結果を参考にして職場環境の改善に努めているため、従業員も回答したら要望を叶えてもらえるという良い循環が起きています。
元々は従業員のメンタル不調の防止で始めた取り組みですが、現在では、従業員が生き生きと働くための取り組みになっています。
株式会社FinT
ライフスタイルメディアを運用する株式会社FinTは、新型コロナウイルス感染の影響でリモートワークを導入しました。リモートワークで仕事を始めて、各メンバーの顔色が分からず、雑談も減り従業員のモチベーションが下がっていたことを課題に抱えていました。
モチベーションが下がっている従業員の状態に気づけず、フォローしてあげられないと離職されてしまうのではないかと不安を抱いていたのです。この問題をAI搭載型の従業員サーベイで解決しました。
従業員の自己申告による報告だけではなく、コミュニケーションツールやPCの利用履歴からAIが状況を分析するサーベイを活用して、体調不良が起きていないかを把握したのです。数値に変動があった従業員に声をかけることで、リモートワークの慣れない環境でも体調を崩さずに快適に働けています。
株式会社トヨタ自動車
株式会社トヨタ自動車は、2018年にモビリティカンパニー宣言をして自動車以外の領域のビジネスに挑戦し始めました。そのため、多様で専門性を持つ優秀な人材を確保するために、リファラル採用(職場の従業員による人材紹介)を導入し始めたのです。
トヨタは社内のコミュニケーションを大切にしており、会社の経営に関する部分もオープンにしています。事業内容を包み隠さずに伝えることで従業員の仕事に対するモチベーションを上げ、風通しの良い職場を作っているのです。
このように社員が生き生きと働ける職場づくりをして、リファラル採用に成功しています。キャリア採用は10%程度でしたが、職場改善により35%程度に上がりました。
まとめ
今回は職場環境の改善方法をご紹介しました。職場環境を構成する要素や問題が起きる原因を把握した上で改善策を打てば、問題が再発する心配もありません。この記事では、職場の問題の改善方法の手順を紹介したため、これを機会に職場環境を見直してみてください。
職場環境の改善にはまず、的確な原因の見極めと、改善策の選定が不可欠です。
しかし、自社のヒアリングでは「タテマエ」に回答が集約され、
一般的な定量分析のアンケートでは、適切な改善策の選定が難しいのが実状です。
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