今回は、離職率について詳しく解説します。
この記事を読めば、「就業業態別」「最終学歴別」「業種別」の離職率が分かるようになります。
ぜひ、他社と比較して離職率が高いかどうかが気になる方は、この記事を参考にしてみてください。
目次
◆ 離職率とは
離職率とは、ある時点で働いていた人数のうち、一定期間で退職した人の割合をいいます。
企業では「期首から期末までの1年間で退職した人の割合」として使われることが多いです。入社後3年以内の退職者の割合などと設定することで、目的に見合う離職率が計算できます。
・離職率の計算方法
離職率は、以下の計算式で求められます。
離職率(%)=離職者数/1月1日現在の常用労働者数×100
例:2022年1月1日時点で100名の従業員が在籍しており、2022年7月31日時点で10名の従業員が退職した場合の離職率
離職率(%)=10人÷100人×100%=10%
(※年度の途中で入社してきた従業員の数は含めずに計算します)
・離職率と定着率の関係性
離職率と似た指標に定着率があります。
離職率は、一定期間内にどれだけの従業員が離職したかを示す指標です。職場環境を改善する必要があるかの判断材料になります。
その一方で、定着率とは、どれだけの従業員が定着しているかを示す指標です。定着率は「100%―離職率」で計算できます。定着率は、従業員が満足して働けているかの判断材料になります。
◆ 離職率の平均値
離職率の計算ができても、平均値より高いか低いか判断できなければ意味がありません。そのため、離職率の平均値を把握しておきましょう。
・全体の離職率
離職率と深い関連性のあるものとして「定着率」が挙げられます。
定着率とは、入社した従業員がどれだけ定着しているかを表す指標です。
定着率が高ければ高いほど、従業員の離職による流出が少なく、働きやすい環境が提供できていることを意味します。
離職率は、職場に問題があるかを把握するために必要な指標です。その一方で、定着率は働きやすい環境が提供できているかの指標となります。どちらも重要な指標のため、意味を覚えておきましょう。
厚生労働省「令和3年上半期雇用動向調査結果の概況」によると、全体の離職率は8.1%です。
従業員が退職してしまう主な原因は以下の通り。
・1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
・2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
・3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
・4位:給与が低かった(12%)
・5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
(引用元:リクナビNEXT「転職理由と退職理由の本音ランキングBest10」)
職場の人間関係に悩み、退職する人が多いことが伺えます。
・就業業態別の離職率
厚生労働省「令和3年上半期雇用動向調査結果」によると、全体の離職率は8.1%となっています。就業業態別に見た離職率は以下の通りです。
・一般労働者:6.3%
・パートタイム労働者:12.9%
パートタイム労働者の離職率の高い理由は、さまざまな人と働くことになり、職場の人間関係の悩みが生じてしまうためです。また、家庭の事情で転勤をしなければいけず、パートが続けられなくなったが離職の原因となっています。
・新入社員の3年以内の離職率
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」によると、2020年における入社3年以内の離職率は、大学卒が31.2%、短大卒が41.4%、高卒が36.9%、中卒が55.0%です。新入社員の離職率は3割程度で推移しています。
新入社員が離職してしまう原因は、企業への期待と現実のギャップが生じてしまうこと。また、学生から社会人になり、納期の遵守や目標達成などのプレッシャーが与えられ、ストレスを抱えやすくなっていることも原因として挙げられます。
◆ 業種別の離職率
自社の離職率が高いかどうかを調べたい場合は、業種別の離職率を参考にすることをおすすめします。その理由は、離職率は業種により異なるためです。厚生労働省「令和3年上半期雇用動向調査結果の概要」によると、離職率が高い業種は以下の通りとなります。
・宿泊業:15.6%
離職率が最も高い業種が「宿泊業」で、15.6%を記録しています。
宿泊業の離職率が高い理由は、24時間365日営業で早朝や深夜に働かなければいけないなど、ハードワークなことです。
また、宿泊施設は大型連休中も営業しており、カレンダー通りに休めません。基本的にシフト制で不規則な勤務形態で働かなくてはいけないため、生活リズムが乱れやすくなり体調を崩してしまいます。
・飲食業:15.6%
宿泊業と同等の離職率の高さである「飲食業」も、15.6%を記録しています。
飲食業の離職率が高い理由は、賃金の安さです。厚生労働省「令和3年度 賃金構造基本統計調査」によると飲食業の平均年収は317万円となっています。
また、飲食業は業界の中でも利益率が低いため給与が上がりにくくなっています。努力をしても給与に反映されないと、将来に期待が持てません。
さらに、シフト制で働く必要があるため、土日休みの家族や友人と予定が合わせられないなどの悩みを抱えることが多いです。
・教育支援業:12.4%
学校、学習塾、英会話スクールなど教育支援業の離職率は12.4%です。
教育支援業の離職率が高い理由は、労働時間の長さです。fabcros for エンジニアの「1万人の残業調査」では、11時間以上残業している比率が最も高い業界が学習支援業という結果になりました。平均の残業時間は31.6時間です。
教育支援業の中でも、教育機関の先生は優良な職業のイメージがありますが、保護者対応など学習指導以外の業務をこなさなければいけず激務になりがちです。労働時間が長く、心身の不調をきたして、離職を招いてしまうのです。
・生活関連サービス業:11.0%
旅行や美容、ブライダルなど生活関連サービス業の離職率は11.0%です。
生活関連サービス業の離職率が高い理由は、ハードな労働環境と賃金水準の低さです。厚生労働省「令和3年度 賃金構造基本統計調査」によると生活関連サービス業の平均年収は340円で2番目に低い水準となっています。
労働に見合う対価が得られないことでモチベーションが下がり、離職につながっています。
・医療・福祉業:8.6%
医療・福祉の離職率は8.6%です。
医師や看護師は社会貢献が高く待遇面も良いものの、どの仕事も重労働で責任が重たいです。そのため、女性の割合が多い看護師は、出産・育児などのライフイベントを機会に離職する方が多くいます。
ライフワークバランスがとりにくい原因が離職につながっています。
◆まとめ
今回は、離職率の計算方法から平均値までご紹介しました。離職率を計算して、平均値と比較することで職場環境を改善すべきかどうかの判断ができます。ぜひ、これを機会に離職率を計算してみてください。
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