求人広告や人材紹介サービスを利用しても、自社に見合う人材が採用しづらくなってきました。このような時代で注目を浴び始めているのが「イグジットマネジメント」です。
今回は近年話題を集めるイグジットマネジメントについて、わかりやすく解説します。この記事を読めば、取り組み方までわかるようになるため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
イグジット・マネジメントとは
イグジット・マネジメント(Exit Management)とは、直訳すると「退職管理」です。退職希望者と良好な関係を築き、円満退職を目指すことをいいます。
社員が退職後も良好な関係を築いておき、再雇用を促したり情報交換したりするために、円満退職を目指していくのです。
イグジットマネジメントの効果
イグジットマネジメントに取り組むと、3つの効果が見込めます。
企業価値を高められる
入社してきた社員を大切に育て、キャリア形成のために転職を希望する社員を応援していけば、会社の良い噂を流してくれるようになります。
- 「自分はキャリアアップのために転職してしまったけど、とても働きやすい職場だった」
- 「仕事と家庭の両立が難しくて退職したけど、上司や同僚は信頼できた」
- 「他にやりたいことができたけれど、キャリア支援をしてくれる職場だよ」
このような良い噂を流してもらえると、企業の印象が良くなります。
人材が確保しやすくなる
退職する理由は人それぞれですが、全てがネガティブな退職とは限りません。退職者の中には「仕事と家庭の両立が難しかった」「パートナーの転勤で働けなくなった」など、仕方のない理由で退職してしまうことがあります。
このような退職者に対して、再雇用制度があることを伝えれば、お互いのタイミングが合えば再雇用できるようになります。以前、一緒に働いた社員を再雇用すれば、事業や職場の雰囲気を熟知しているため、採用ミスマッチが起きることもなく長く働いてもらえます。
ネットワークを構築できる
イグジット・マネジメントとは、退職希望者と円満退職をして、退職後も良好な関係を構築して定期的に連絡を取り合うことをいいます。
定期的に連絡を取り合えば、退職者の転職先が新たな取引先になることもあります。
また、人材不足で悩んでいることを伝えておけば、リファラル採用に協力してもらえるかもしれません。このように、強固なネットワーク(アルムナイネットワーク)を構築できることが、イグジットマネジメントのメリットです。
イグジットマネジメント(1)退職面談の実施
イグジットマネジメントとして、最初に退職面談を実施します。
退職面談とは
退職面談とは、人事担当者と退職者が退職当日に行う面談をいいます。退職面談は、以下のような目的のために行います。
[退職面談の目的]
- 退職理由を聞いて職場環境を改善していくため
- 円満退職をして会社の評判を落とさないようにするため
- 退職者に再雇用制度があることを伝えるため
再雇用制度について詳しく知りたい方は、下記の記事を読んでみてください。
関連記事:『約2割の企業が取り組み始める出戻り雇用!制度の整え方を解説!』
退職面談の流れ
退職面談は、以下のような手順で進めていきます。
- 会社に貢献してくれたお礼の言葉を述べる
- 転職状況を聞いて、できる限りサポートする
- 退職者に職場に関する評価をしてもらう
- 出戻り雇用制度があることを伝える
- アルムナイネットワーク(※)に加入してもらうことを伝える
大切なことは、退職希望者を尊重することです。最初に退職者に労いの言葉をかけることで、職場で改善すべきポイントを聞き出せたり、アルムナイネットワークに加入してもらえたりします。
(※)アルムナイネットワークとは、OB・OGを含めた社内ネットワークをいいます。
退職面談のポイント
退職面談で退職者と良好な関係を築くためのポイントは2つあります。
- お互いに気軽に話せるようにカジュアルな形式で面談を行う
- 退職者の意見を尊重して話を引き出すことに集中する
退職面談で社員から本音を聞き出せないなどの悩みが出てきたら、第三者機関に相談するのも1つの選択肢です。そのような要望が出てきたら、エグジットインタビューいっとを利用してみてください。
退職面談のやり方について詳しく知りたい方は、下記の記事を読んでみてください。
関連記事:『人事担当者向け退職面談のやり方!職場改善に役立つ本音の引き出し方』
イグジットマネジメント(2)職場環境の改善
退職面談で職場の改善ポイントを聞き出せたら、職場環境を改善していきます。
職場改善とは
職場改善とは、社員が仕事に意欲的に取り組めるように、職場環境を改善することをいいます。職場環境を構成する要因は以下のようなものがあります。
職場改善の流れ
職場環境を構成する要素はさまざまですが、職場改善のコストは決まっています。そのため限られたコストで最大の効果を出すために、正しい手順で職場改善するようにしましょう。
[職場改善の流れ]
- 職場の問題点を把握する
- どの箇所から改善するか優先順位を立てる
- 職場改善の施策を打つ
- 職場改善の施策の効果を測定する
職場改善のポイント
職場改善を行うときは、自社に必要な施策を打つことが大切ですが、どのように進めていくかも大切です。そのため、自社に見合う方法で職場改善をしていきましょう。
- 経営層主導型:経営者が指揮をとり、職場改善を行うため工数がかからない
- 管理監督者主導型:部署別の課題を解決したいときに最適な方法
- 従業員参加型:従業全員で問題を解決したいときに最適な方法
職場環境の改善方法、取り組み事例について詳しく知りたい方は、下記の記事を読んでみてください。
関連記事:『職場環境の改善方法を手順に沿って解説!問題が起きる原因まで紹介』
イグジットマネジメント(3)OBとの交流
次に、会社を退職したOBと定期的に交流をしていきます。
アルムナイネットワークを構築する
OBと交流をしていくために、退職面談の際にアルムナイネットワークに登録してもたいます。
アルムナイネットワークとは、退職者を含めた社内ネットワークです。社内ネットワークでは、会社の最新情報や求人情報、イベント情報を発信していき、OBと交流をしていきます。
また、OBが現在どのように働いているかを取材して、社内報で知らせるなどして、既存社員とOB社員を交流させていきます。
社内イベントを実施する
アルムナイネットワークを構築できたら、OBも含めて社内イベントを実施していきます。どのようなイベントであれば、OBも参加してもらえるか考えましょう。
社内イベントの運営方法について詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『社内イベントの成功事例3選!参加率が高いイベント運営のコツを紹介』
求人情報を流す
アルムナイネットワークでOBと交流を深められたら、求人情報を流します。
求人情報を流せば、「やっぱり、前職の方が楽しく仕事ができた」という理由で、退職者が再雇用を希望してくるかもしれません。
また、お互いに関係が構築できていれば「良い会社だし、求職者に会社を紹介してみよう」と思ってくれることもあるでしょう。このように、再雇用による採用やリファラル採用(社員による紹介)で人材確保がしやすくなります。
まとめ
イグジット・マネジメント(Exit Management)とは、直訳すると「退職 管理」です。退職希望者と良好な関係を築き、円満退職を目指すことをいいます。社員が退職後も良好な関係を築いておき、再雇用を促したり、情報交換したりできるようになります。イグジット・マネジメントの手順は以下の通りです。
- 退職面談を実施する
- 職場環境を改善する
- OBとの関係を構築していく
この記事では、それぞれの手順について詳しく解説しました。ぜひ、この記事を参考にしながらイグジットマネジメントに取り組んでみてください。
退職者は退職理由として本音を話すとは限りません。そのため、本音を聞き出せないという悩みを抱えたら「エグジットインタビューいっと」をご利用してみてください。エグジットインタビューいっとにご相談して頂ければ、社員の本音を聞き出せます。