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2023.1.24

[人事向け]男性の育児休暇制度の完全ガイド!取得までの流れを解説

2022年10月に改正育児・介護休業法が施行されて、男性の育児休暇が義務化されました。男性の育児休暇が義務化されるとどうなるのでしょうか?なぜ、義務化されたのでしょうか?

今回は、男性の育児休暇制度について解説します。この記事を読めば、男性社員に育児休暇を取得をさせるための手続きの流れまで分かるようになります。そのため、男性の育児休暇制度を導入したいと思っている人事担当者は、この記事を参考にしてみてください。

◆ 育児休暇とは


育児休暇とは、1歳を満たない子供を養育する従業員が申し出ることで利用できる休暇制度です。女性・男性の性別に関係なく、雇用期間などの要件を満たせば育児休暇を取得できます。男性の場合は、配偶者の出産予定日から子供が1歳の誕生日を迎える前日まで育児休暇を取得できます。

・ 男性育児休暇の取得率

男性の育児休暇の取得率は、女性と比較すると低い水準です。厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」によると、2021年度の育児休暇の取得率は85.1%に対し、男性が13.97%となっています。

男性の育児休暇の取得率が低い理由には「育児休暇を取得しにくい雰囲気である」「収入を減らしたくない」などが挙げられます。

・ 男性育児休暇の必要性

男性が育児休暇を取得して夫婦で家事・育児を協力すれば、女性も育児と仕事を両立しやすくなります。夫婦共働きで働ければ、経済的にも安定するでしょう。

一般的に出産や育児は女性に偏っていることが見受けられます。とくに、産後8週間以内の育児は女性の負担が多くなり、産後うつで自殺に至ることもあります。それだけでなく、出産や育児をキッカケに仕事を離れる女性は多いです。

このような女性の現状を変えるために、男性育児休暇は必要だと考えられているのです。

・ 男性育児休暇制度の内容

男性が利用できる育児休暇制度には、以下のような権利が含まれています。

育児休暇中の男性の給与事情

育児休暇を取得する男性で一定の条件を満たせば、育児休業給付金が支給されます。

育児休業給付金の金額は休業開始時の賃金の67%(休業開始から6か月経過後は50%)が支給されます。育児休業給付金は非課税で所得税や住民税はかかりません。また、社会保険料も免除されます。

さらに、給与所得ではないため、雇用保険料も免除対象です。そのため、手取り賃金を比較すると休業前の約8割が支給されます。

◆ 男性の育児休暇の義務化とは


2022年10月に改正育児・介護休業法が施行されて男性の育児休暇が義務化されました。男性の育児休暇の義務化の内容は以下の通りです。

・ 産後パパ育休を創設する

一般的な育児休暇とは異なり、産後パパ育休が取得できるようになりました。産後パパ育休とは、出生後8週間以内に4週間分の育児休暇を2分割で取得できる育児休暇です。育児休暇を取得する2週間前までに申出ることが必要になります。

産後パパ育休は、産後8週間以内の育児をする配偶者を支えるために設けられました。

・ 育児休暇を取得しやすい環境を整備する

男性も女性と同様に育児休暇を取得できる環境を整備することも義務付けられました。環境整備として以下のようなものが挙げられています。

  • 育児休業・出生時育児休業(産後パパ育休)に関する研修の実施
  • 育児休業・出生時育児休業(産後パパ育休)に関する相談窓口の設置
  • 育児休業・出生時育児休業(産後パパ育休)取得事例を開示する
  • 育児休業・出生時育児休業(産後パパ育休)制度と取得促進を周知させる
  • ・ 育児休暇を周知させる

    男性が育児休暇を取得しやすくするために、配偶者の妊娠や出産の申し出があった従業員に対して下記の内容を周知させることが義務付けられました。

    【周知させる内容】

  • 育児休業・出生時育児休業に関する制度
  • 育児休業・出生時育児休業申出の申し出先
  • 育児休業給付金に関すること
  • 社会保険料の取り扱いに関すること
  • 周知の方法は「面談」「書面交付」があります。

    ・ 育児休暇の取得状況を公表する

    従業員数1,000人以上の事業者は、育児休暇の取得状況について公表することが義務付けられました。育児休暇の取得状況の公表方法は、自社が所有するコーポレートサイト上に記載する方法のほか、厚生労働省が運営するサイト「両立支援のひろば」で公表できます。

    ◆ 男性の育児休暇を促進するメリット


    男性の育児休暇を促進するメリットは、主に3つあります。

  • 助成金が受け取れる
  • 働きやすい職場が作れる
  • 企業イメージアップが図れる
  • それぞれのメリットについて解説します。

    ・ 助成金が受け取れる

    男性の育児休暇を取得させれば「両立支援等助成金(子育てパパ支援助成金)」が受け取れます。男性に育児休暇を取得させた企業は助成金20万円(代替要員を雇用した場合は助成額が加算される)を受け取れます。

    また、男性の育児休暇の取得率を30%以上上昇させた場合は、最大75万円の助成金を受け取ることが可能です。このように、企業側も助成金を受け取れることが大きなメリットです。

    ・ 働きやすい職場が作れる

    男性の育児休暇を促進すれば、働きやすい職場が作れるようになります。とくに、大きな効果が見込まれるのは女性社員の職場復帰です。産後復帰がしやすくなり、育児と仕事を両立させたい女性のモチベーションを上げることができるでしょう。従業員のモチベーションが上がれば、意欲的に働いてもらえて離職防止もできます。

    ・ 企業イメージアップが図れる

    男性の育児休暇を促進すれば、企業のイメージアップができます。その理由は、男性の育児休暇の取得率が高ければ「従業員が働きやすい職場だ」と他社との差別化ができるためです。このような差別化をしておけば、働きやすさから優秀な人材が入社を希望してくれるかもしれません。また、対外的イメージを上げれば取引先や投資家からも好印象を与えられます。

    ◆ 男性の育児休暇に向けて取り組むべきこと


    男性の育児休暇の取得を促進させるために、以下の内容に取り組みましょう。

  • 配偶者の出産による育児休業予定届を用意する
  • 業務が円滑に回る職場づくりをする
  • 管理職に男性育児休暇の啓発を行う
  • ここでは、それぞれの内容について詳しく解説します。

    ・ 配偶者の出産による育児休業予定届を用意する

    産後パパ育休を取得する場合は、2週間前に休暇取得を申告しなければいけません。そのため、配偶者の出産による育児休業予定届を用意しておきましょう。育児休業予定届を提出してもらえば、その日が近づく頃に企業側からフォローできるようになります。

    また、育児休業予定届を提出してもらう際に、男性育児休暇に関する情報提供を「面談」と「書」類のどちらで行って欲しいかを確認しておくと手続きが円滑に進められます。

    ・ 業務が円滑に回る職場づくりをする

    男性が育児休暇を取得しても、他の従業員の負担にならないように業務が回る職場を造らなければいけません。そのため、以下の内容に取り組んで業務効率化をしましょう。

    【業務が円滑に回る職場の特徴】

  • ムダな会議を減らす
  • 社内情報をデータで共有する
  • 社内書類の整理整頓をする
  • 業務のマニュアルを作成する
  • 労働時間を適切に管理する
  • 業務分担をさせる
  • 担当以外の業務を覚えさせる
  • 全員のスケジュールを共有する
  • 業務に集中する時間を設ける
  • 仕事効率化のためのノウハウを共有し合う
  • ・ 管理職に育児休暇の啓発を行う

    管理職が育児休暇に理解がなければ、部下は休暇取得に前向きになれません。そのため、管理職向けに育児休暇の啓発を行いましょう。啓発の仕方として、以下のような内容があります。

  • 男性の育児休暇を推進する必要性
  • 男性の育児休暇の取得を推進していくこと
  • 子育て中の従業員が利用できる制度について
  • ハラスメントに該当する事項
  • 管理職向けの研修を行って、育児休暇について理解を深めてもらいましょう。

    ◆ 男性の育児休暇の取得の流れ


    男性の育児休暇を取得するための準備ができたら、一連の流れを覚えましょう。

    【男性の育児休暇の取得の流れ】

    1.男性育児休暇の申し出を受ける
    2.男性育児休暇に関する面談を実施する
    3.男性育児休暇に関する社内手続きを行う
    4.社会保険等の手続きを行う
    5.業務の情報を共有する
    6.復職前の面談を実施する
    7.制度利用の社内手続きを行う

    ここでは、各手順について詳しく解説します。

    ・ 男性育児休暇の申し出を受ける

    まずは、男性育児休暇の申し出を受けます。

    男性の育児休暇は出産予定日に取得することは可能ですが、育児休業給付金は出産日から支給されます。つまり、出産予定日の数日後に出産した場合は、休業開始日から出産日の前日までが無給となってしまうのです。そのため、男性育児休暇の申し出を受けたら、無給になる期間が生じる恐れがあることを伝えておきましょう。

    ・ 男性育児休暇に関する面談を実施する

    配偶者の妊娠や出産の報告をしてきた男性社員に対して、男性育児休暇に関する情報提供をして、育児休暇を取得したいか聞くことが義務付けられました。面談で以下の内容を確認しておくと企業側も従業員側も育児休暇中に支障が出なくなります。

  • 出産予定日
  • 育児休業取得開始日と復帰日
  • 育児休業中の連絡先
  • 配偶者の育児休暇の取得の有無
  • 地域の保育園の入園状況
  • 育児休暇までの業務の引継ぎ計画
  • 復帰後の働き方のイメージ
  • 相談事項の有無
  • 休暇中の給与、社会保険、雇用保険などに関する説明
  • 育児休暇給付金の支給額
  • ・ 男性育児休暇に関する社内手続きを行う

    男性社員に育児休業申出を記載してもらいます。育児休業申出を受理したら、育児休業取扱通知書を発行します。育児休業申出や育児休業取扱通知書の様式は自由ですが、以下の内容を盛り込んでおきましょう。また、出産祝い金の規定があれば支給します。

    【育児休業申出の内容】

  • 申出日
  • 申出者氏名
  • 子供の氏名、性別、生年月日、続柄(出産予定日)
  • 育児休暇の取得開始日
  • 職場復帰予定日
  • 【育児休業取扱通知書】

  • 育児休暇の開始日
  • 育児休暇の終了日
  • 育児休暇の復帰予定日
  • 育児休暇の対象者として認められない場合は、その理由
  • ・ 社会保険等の手続きを行う

    男性が育児休暇を取得する場合は、社会保険の手続きは必要ありません。

    しかし、配偶者を健康保険の扶養に入れている場合や、出生した子を扶養にする場合は「被扶養者異動届」や「家族出産育児一時金支給申請書」の手続きが必要になります。

    家族出産育児一時金とは、健康保険の扶養になっている配偶者が出産したときに請求できる一時金です。

    ・ 業務の情報を共有する

    男性社員が育児休暇を取得している最中は、業務の連絡は避けたいものです。なぜなら、育児休暇を取得した男性には育児に専念する権利があるためです。その一方で、育児休暇を終えた後に円滑に職場に復帰できるようにしておかなければいけません。そのため、男性社員が職場復帰するために必要な情報を提供するようにしましょう。

    ・ 復職前の面談を実施する

    育児休暇を終えた男性社員が復帰できるように面談を実施します。面談では利用したい制度(時短勤務や出張の可否など)、復帰にあたって不安に感じること、保育園への送迎や子供の緊急時対応などを確認しておきます。

    面談を有意義に進めるために、何を確認するか事前に伝えておきましょう。

    【面談で確認すべきこと】

  • 職場復帰予定日
  • 保育園入園日
  • 保育園名(自宅、会社から保育園の距離)
  • 夫婦の役割分担
  • 家族の協力体制
  • 復帰後に利用する制度の有無
  • 配慮してほしいこと
  • 不安なこと
  • ・ 制度利用の社内手続きを行う

    男性社員が時短勤務や時間外労働の制限を希望する場合は社内手続きを進めます。男性社員に申請書を作成してもらい、必要に応じた社会保険の手続きを進めていきます。

    【社内手続きの例】

  • 育児休暇の期間の変更
  • 短時間勤務制度
  • 所定外労働の制限
  • 時間外労働の制限
  • 深夜労働の制限
  • 子供の看護休暇
  • ◆ まとめ

    男性の育児休暇は、出産・育児の負担が大きい女性をサポートして女性に活躍してもらうために創設されました。従業員側は出産・育児を夫婦で行えるというメリットが得られます。

    その一方で、企業側は働きやすい職場づくりができて企業イメージが上げられます。早期に取り組んで、男性の育児休暇の取得率を上げれば、優秀な人材を採用しやすくなるでしょう。

    今回は男性社員が育児休暇を取得するための流れまで解説しました。ぜひ、これを機会に男性の育児休暇の取得を推進してみてください。

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    #具体的な施策 #育休