社内で退職希望者が出てきたけれど、職場に問題があるのだろうかと悩んだら、調査をして職場改善をしましょう。そのためにも、離職率の計算方法、平均離職率も併せて覚えておきましょう。
今回は中小企業の離職率について解説します。この記事を読めば、どのように職場改善していけば、離職率を低下させていけるのかが理解できるようになるため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
[はじめに]離職率とは
離職率の定義は「常用労働者数に対する離職者数の割合」です。つまり、以下の式で計算できます。
離職率の計算式
離職率(%)=離職者数÷常用労働者数×100
離職率の平均値は「企業の規模」「業種」などで変わります。
離職率が高いと「経済的損失」「ノウハウの流出」「企業イメージの低下」などを招くため、自社の離職率を計算してみて、平均値より高い場合は職場改善していきましょう。
中小企業の離職率
自社の離職率が高いのか低いのか把握するためにも、中小企業の離職率について理解をしておきましょう。
平均離職率
中小企業の平均離職率は13%~20%となっています。
従業員数1,000人以上の大手企業の平均離職率は約14%です。その一方で、従業員数30~999人程度の中小企業の平均離職率は13%~20%の水準を辿っています。一般的に中小企業の方が離職率が高いと言われています。
業種別の離職率
業種によって、離職率は大きく異なるため、どの程度の差があるかを把握しておきましょう。
出典元:『令和3年雇用動向調査結果の概要』
中小企業の離職理由
従業員の離職理由は各自で異なりますが、以下のような理由で退職を決めることが多いです。
労働時間が長い
業務量が多くて残業しなければいけず、長時間労働が続くとストレスなどで健康障害のリスクが高まると言われています。
例えば、長時間労働で疲労が溜まると、集中力が低下して仕事中に事故を起こしてしまう恐れがあります。また、ストレスからメンタルヘルス不調に陥ってしまうかもしれません。このような健康障害により休職・退職する従業員が出てきてしまいます。
さらに、家族や友人との時間が持てないことに不満を抱き、退職してしまう人も現れるでしょう。
職場の人間関係に悩みがある
企業の規模問わず、職場の人間関係に悩んで退職してしまう人は多いです。内閣府『就労等に関する若者の意識』では、約4人に1人の若者が職場の人間関係に悩んで退職していると述べられています。悩みには、以下のようなものがあります。
[職場の人間関係の悩み]
- 上司の態度や働き方に対して不満がある
- 上司との反りが合わなくて、一緒に仕事をしているとストレスが溜まる
- 職場の雰囲気がギスギスしていて気持ちよく働けない
- 仕事をサボる人がいて、その分の業務を負担しなければいけない
- 上司からハラスメントを受けて悩んでいる
職場の人間関係の悩みを打ち明けられずに退職を決意する従業員も多いです。
待遇や福利厚生に不満がある
仕事に対する価値観は人それぞれですが、生活をしていくために、ある程度の収入を稼ぎたいという人は一定数います。近年では、ライフワークバランスを重視する人が増えて、家族や友人との時間を確保したいという方も増えました。
このような人は「望んでいる生活を実現できるほどの稼ぎが得られない」「有給休暇が取得しにくくて、希望するライフワークが送れない」という理由で退職をしてしまいます。
キャリアの選択肢が少ない
終身雇用制度や年功序列制度が終わりを迎えつつあり、将来に不安を抱える人が増えました。そのため、多くの人が能動的にキャリアを形成していきたいと考えるようになりました。それにも関わらず、「新たな業務を任せてもらえない」「ルーティンワークでスキルを磨けない」など、キャリアの選択肢が少ないと将来に不安を感じて、キャリア支援してくれる会社へ転職してしまいます。
中小企業が離職率を改善するための施策
各会社で取り組むべき施策は異なりますが、離職率を下げるための主な施策には以下のようなものがあります。
業務負担を減らす
業務量が多く、従業員に長時間労働をさせている場合は業務負担を減らすために、見直しをしていきましょう。業務効率化して業務量を減らすアイデアには、以下のようなものがあります。
[業務負担を減らすアイデア]
- 業務自体をなくす
- 業務を統合して1度に行うようにする
- デジタルツールを活用して業務を自動化する
- 業務マニュアルを作成して、誰でもできるようにする
- 外部の企業に業務代行をお任せする
- 新たなメンバーを増やして1人当たりの業務量を減らす
職場の心理的安全性を高める
職場の人間関係を良くするためには、心理的安全性を高めることが大切です。心理的安全性とは、誰もが安心して発言や行動できる職場環境を指します。Google社は職場の心理的安全性は生産性に比例するとも発表しているため、以下のような取り組みで心理的安全性を高めていきましょう。
[心理的安全性を高めるコツ]
- お互いの存在を尊重する
- 相手への感謝、受け入れる姿勢を示す
- 話しやすい雰囲気を作る
- 発言する機会を均等に持てるようにする
- 建設的な話ができるように意識する
- 上司などが弱みを見せる
人事評価制度を見直す
従業員が給与・昇給などの待遇に不満を抱かないような、公平で透明性のある人事評価制度を作ることが大切です。そのため、人事評価の基準、方法を決めて従業員の公開するようにしましょう。また、人事評価を行う場合は、相手を有利、不利に扱うことなく、公平に評価することが大切です。
実際に評価結果を伝える場合は、根拠を示すなど相手に納得してもらえるように話すと不満を抱かれることはありません。このように、従業員が納得できる人事評価を行うようにしましょう。
福利厚生を充実させる
仕事とプライベートの両立を大切にしたい従業員にとって、福利厚生が充実しているかどうかは非常に大切です。とくに、休暇制度が充実していれば、ライフバランスが保ちやすいです。
また、福利厚生が充実している会社は、従業員思いの会社だと思ってもらえるようになり、離職防止効果が見込めます。そのため、福利厚生を充実させていきましょう。
キャリア支援を行う
終身雇用制度や年功序列制度が崩壊しており、能動的にキャリアを形成していきたいと考える従業員が増えてきたため、キャリア支援を行うようにしましょう。キャリア支援をするときは、「従業員がやりたいこと」「会社の方針や求めているスキル」をすり合わせしていくと、双方が満足できるようになります。
多様な働き方を提案する
働くことに対する価値観は人それぞれです。そのため、各自が望む働き方ができる、以下のような職場を実現しましょう。
多様な働き方を実現したい方は、下記の記事を参考にしてみてください。
関連記事:『多様な働き方の種類を一覧表でまとめて紹介[雇用制度や雇用形態]』
中小企業が離職率を改善するための手順
大切なことは、自社に必要な施策を行うことです。そのため、中小企業が離職率を改善するための手順を覚えておきましょう。
従業員アンケート調査を行う
まずは、従業員アンケート調査を実施して職場の不満点を確認していきます。この場合は、従業員サーベイツールを活用するようにしましょう。なぜなら、アンケートの回答データを収集、分析して、職場の傾向を把握できるようになるためです。もし、従業員サーベイをお探しの方は「エグジットインタビューいっと」を利用してみてください。
職場の課題を洗い出す
従業員アンケート結果から職場の課題を洗い出したら、どの問題を優先的に解決していくかを考えていきましょう。また、どのような方法で職場改善を進めていくかを考えましょう。
- 経営層主導型:経営者が主導で職場を改善していくため、工数が少なくて済む
- 管理監督者主導型:管理監督者が主導のため、部署別の課題を解決できる
- 従業員参加型:従業員全員で職場の問題を解決していく
職場の課題を改善する
職場改善の優先度と方法が決まったら、実行していきます。その後に職場改善の施策で効果があったかを確認していきましょう。
職場改善の施策が効果的だったかは、施策を実行する前後の離職率で判断できます。
まとめ
今回は中小企業の離職率と職場改善の手順をご紹介しました。近年は、求人広告や人材紹介サービスを利用しても人材が採用しづらくなってきました。そのため、既存社員に長く働いてもらうことが欠かせません。
「職場の離職率を下げたい」「従業員に長く働いてもらいたい」という方は、この記事を参考にして職場改善をしてみてください。
その際に、従業員アンケート調査を実施するためのサーベイツールを探している方は、ぜひ「エグジットインタビューいっと」を利用してみてください。