「経験のない仕事を任されたにも関わらず上司からフォローがない…」「2年目も同じような業務しか経験できずに成長を感じられない…」などの理由により従業員は退職してしまいます。
このような退職は、管理職の業務管理不足で起きるため注意が必要です。そこで、今回は業務管理方法について解説します。
目次
業務管理とは
業務管理とは、会社が目標達成できるように、管理職がタスクやリソースを管理することをいいます。つまり、業務の計画を立てて指示を出し評価や改善することです。
管理職が業務管理を適切に行えば「経験のない仕事を任せた部下のフォローをしよう」「2年目の従業員のスキルアップのために新しい業務を与えよう」など考えられるようになります。
どうすれば、各自がパフォーマンスを発揮できるようになるかを考えるためには業務管理が欠かせません。つまり、業務管理は業務効率化や生産性向上に紐づく取り組みです。
業務管理の内容
業務管理の内容は「従業員」「タスク」「時間(納期)」「顧客」「プロジェクト」「経営」を管理することです。ここでは、どのように管理すべきかを解説します。
従業員
- 全体目標と個人目標を立てて、定期的に振り返りを行う
- 部下の職務内容を明確にして、責任の範囲を定めて権限委譲する
- 会社への貢献度を客観的に評価して報酬を上げる
- 部下にスキルアップの機会を与える
- 定期的な面談を実施して、仕事における悩みがないかを確認する
- 部下の労働時間を管理してワークライフバランスを支援する
- 部下の健康管理に配慮してストレスチェックを実施する
- 部下とコミュニケーションをとる
従業員の居心地が良いと思う職場をつくりエンゲージメントを上げることが大切です。従業員が居心地良いと思える職場づくりには1on1面談によるヒアリングが欠かせません。1on1面談について詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『1on1ミーティングの目的とは?キャリア支援につながる正しい手順を紹介』
タスク
- 「何を」「いつまでに」「どのように行うか」を記述する
- タスクの重要度と緊急度に基づいて優先順位をつける
- タスクを一覧表にまとめて進捗状況を把握できるようにする
- チームメンバーと進捗状況を共有する
- 遅延しているタスクがあれば原因を分析して対策する
タスク管理は納期遅延が発生しないように、進捗状況を把握することが大切です。そのため、タスク管理ツールを活用して、各タスクの進捗状況を把握するようにしましょう。
時間
- 各タスクの優先順位を付ける
- 各タスクに必要な時間を見積もり、バッファー時間を設ける
- 各タスクの締め切り日を決めてスケジュールを作成する
- スケジュールをメンバーに共有する
トラブル発生時などを見据えて柔軟に調整できるように、スケジュールは余裕を持たせることが大切です。また、スケジュール遅延する場合の報告相手、連絡先を決めておきましょう。
顧客
- 顧客情報(基本情報、購買履歴、お問い合わせ履歴など)を管理する
- 顧客と定期的にコミュニケーションを取る
- 顧客1人1人のニーズに合わせた提案して、信頼関係を深める
- 顧客データを分析して、より効果的な施策を立案する
企業の成長には顧客管理は必要不可欠です。顧客と良好な関係を保つことで、自社の商品やサービスをリピート購入してもらえるようになります。そのため顧客管理を行いましょう。
プロジェクト
- プロジェクトに最適なリソースを充てる
- プロジェクトの潜在的なリスクを特定して対策を講じる
- プロジェクト目標と進捗状況の差を把握する
- プロジェクトに関わるメンバー間のコミュニケーションを円滑化にする
プロジェクトに関わるメンバー全員が、同じ目標に向かって取り組めるようコミュニケーションを密に行うことが大切です。また、プロジェクト終了時は反省会を開きナレッジを蓄積していきましょう。
経営
- 中長期的な視点で企業が目指す方向性を定める
- 社内の資源を効果的に配分する
- 企業が直面するリスクを特定して対策を講じる
- 各部門間の連携を強化して、組織全体の目標達成を実現する
- 組織全体のKGIとKPIを設定する
会社が目標達成できるように、経営の視点から業務管理することも大切です。
業務管理が重要な理由
業務管理が重要な理由は多岐にわたります。
業務を一元管理するため
業務を一元管理することで、組織全体で何がどのように行われているのかを可視化できます。これにより、無駄な作業の発見や、ボトルネックとなる部分の特定が容易になり、業務効率の向上に繋がります。
さらに、業務の進捗状況をリアルタイムで把握することで、トラブルの早期発見や、適切な対応が可能となります。
「誰が」「いつ」「どのような業務を行っているのか」が明確になることで、責任の所在が明確になり情報共有も円滑に進みます。
的確に経営判断するため
的確な経営判断を行うために、業務管理は欠かせません。
業務管理によって、企業は各部門の業務状況を詳細に把握することができます。売上高や利益率、生産性といった数値だけでなく、プロジェクトの進捗状況や課題、従業員の働き方など、多岐にわたる情報を収集して分析することが可能になります。
これらのデータを基に、経営者は企業全体の現状を正確に把握し、問題点や改善点を見つけることができます。
データに基づいた客観的な判断が可能になるため、感情的な判断や根拠のない推測を排除することができます。これにより、経営者はより迅速かつ的確な意思決定を行うことができるようになります。
従業員に働きやすさを感じてもらうため
従業員にとって働きやすい環境を作り出すためにも業務管理は重要です。
業務管理によって、従業員は自分の業務内容や目標を明確に把握することができます。漠然とした指示ではなく、具体的な目標と達成するためのステップが示されることで、従業員は自身の仕事に対する理解を深めてモチベーションを高めることができます。
また、進捗状況を定期的に確認することで、従業員は自分の成長を実感し、さらなる目標達成に向けて努力することができます。
業務管理の進め方
業務管理の進め方は以下の通りです。
- 業務プロセスを可視化する
- 評価基準を決める
- 業務の分析・評価を行う
ここでは、各手順について詳しく解説します。
業務プロセスを可視化する
業務プロセスを可視化することは、業務管理の第一歩です。それぞれの業務がどのように連携し、最終的にどのような成果を生み出すのかを図やフローチャートなどで可視化することで、業務の流れを把握して改善点を見つけやすくなります。
異なる部署間の連携不足や、情報共有の不足といった課題も明確になり、よりスムーズな連携体制を構築することができます。
評価基準を決める
評価基準を明確にすることは、従業員のモチベーション向上と組織全体の目標達成に不可欠なステップです。
まず、評価基準を定めることで、従業員は自分の仕事が組織全体の目標達成にどのように貢献しているのかを具体的に理解することができます。これにより、従業員は単に指示された仕事をこなすだけでなく、自らの行動が組織全体にどのような影響を与えるのかを意識し、より主体的に仕事に取り組むようになるでしょう。
また、評価基準を明確にすることで、従業員は目標達成に向けて何をすべきかが明確になります。従業員が目標達成に向けて一丸となって取り組めるようになります。
業務の分析・評価を行う
業務の分析・評価を行うことで、業務のボトルネックや非効率な部分、改善が必要な点を具体的に把握することができます。例えば、ある業務に時間がかかりすぎている、あるいは、ある部署の生産性が低いといった問題点が見つかるかもしれません。これらの問題点を特定することで、より効果的な改善策を検討することができます。
過去のデータや実績を分析することで、何がうまくいき、何がうまくいかなかったのかを客観的に評価することができます。この分析結果を今後の業務改善に活かすことで、組織全体の学習能力を高め、より良い成果を上げることができます。
業務管理で働きやすい職場を実現した事例
数十名の従業員が退職した会社では、指導不足、コミュニケーション不足で仕事の連携が取れていませんでした。役割を明確にしていなかったため、従業員が目の前の仕事ばかり行うようになりました。その結果「3年目だけど1年目と同じ仕事をしている…」「仕事に対してやりがいを感じない…」と、多くの従業員が退職してしまったのです。
このような現状を変えるために、管理者の選定、管理者教育を実施しました。360度評価で誰が管理職にふさわしいかを把握して、適任者を管理職へと教育したのです。このような取り組みで、業務指示が細かく出せるようになりました。風通しの良い職場になり、従業員が定着し始めました。
まとめ
業務管理とは、会社が目標達成できるように管理職がタスクやリソースを管理することをいいます。
業務を一元管理するだけでなく、働きやすい職場作りにも業務管理が欠かせません。この記事では、業務管理の進め方をご紹介しましたが管理職の教育が重要です。業務管理が行えていないと従業員が不満を抱き退職してしまうため、しっかりと行うようにしましょう。
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