定着率の高い会社には、共通した特徴があるようです。この記事では、定着率について解説します。まず、定着率の定義について説明。そして、定着率の高い会社にはどのようなメリットがあるか具体的にみていきます。
次に定着率の高い会社に共通してみられる特徴を分析。最後に定着率の高い会社の特徴から、自社の定着率を上げる方法について解説します。ぜひ、最後までご覧ください。
目次
◆ 定着率とは
定着率とは、入社した社員がどれくらいの割合で会社に残ったかを示すものです。計測の方法は会社でさまざまですが、年度初めの4月1日の在籍人員で計算することが一般的です。計測する期間は目的により設定します。入社して1年後の定着率を調べたい、10年後の定着率を調べたいなど。調査の目的に応じて計測期間を設定します。
・ 定着率の計算方法
定着率の計算方法は以下の通りです。
定着率(%)=(入社人数-離職者数)÷入社人数×100
定着率は、採用サイトなどで企業のアピールポイントとして使われています。
・ 離職率との違い
定着率と似た言葉に「離職率」があります。厚生労働省の定義によれば、離職率は「常用労働者数に対する離職者数の割合」のことです。雇用動態調査では以下の式で計算されます。
離職率(%)=離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100
◆ 定着率の高い会社のメリット
定着率の高い会社には、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的にみていきましょう。
・ 離職者を減らせる
社員が定着することで、離職者を減らせます。離職者が多いとデメリットも多くなり、常に人員不足の状態になって、採用や育成のためのコストが必要になります。また、社員が離職することで、ノウハウなどが競合他社に流出する恐れもあるのです。
・優秀な人材を確保できる
優秀な社員ほど離職しやすい傾向があります。それは優秀な社員ほど、転職が容易であることも一因にあるようです。定着率が高まると、優秀な社員も会社に残ります。優秀な社員を自社に残すほど、自社の業績も高くなります。
・ 人材育成のコストを減らせる
社員が離職すると、その社員の採用コストや育成コストがムダになります。また、その社員に関わってきた上司などの時間も、間接的に失われることになるのです。
さらに離職者に対応して新しく社員を採用するのであれば、採用にかかる会場のコストや人件費が必要になります。また、採用後はその社員を育成する費用も必要です。
定着率が高ければ、離職者も少ないので、このようなコストが不要になります。
◆定着率の高い会社に共通する特徴
定着率の高い会社には、共通する特徴があります。これから紹介する特徴を自社に当てはめていくことで定着率の高い会社にできます。
・ 給与が高い
給与が高いことは、定着率を左右する大きな要因です。しかし、給与は業界や職種に応じて大きな違いがあります。定着率の高い会社は、同業他社の中で給与水準が高い傾向にあります。
・ 福利厚生が充実している
定着率の高い会社は、有給休暇や育児休暇などの福利厚生が充実しています。福利厚生が充実している会社の社員は、満足度が高くなります。
・ 職場の人間関係がよい
職場の風通しがよく人間関係もよい点も、定着率の高い職場の特徴です。悩み事を相談できる人が職場にいることが、離職防止につながっています。
・ 社員教育が充実している
採用してからの社員教育が充実しています。採用してから実際に業務を始めるまでには、教育が必要です。採用してからの教育が不足していて、知識や技能が不足したままで業務を始めると不慣れなため、社員は強いストレスを感じます。そのため、早期離職につながります。
・ 社員の適性に応じた業務を与えている
定着率の高い会社では、社員の適性をみて業務を与えたり、配置をしたりしています。また、定期的な面談の中で社員の希望を聞き、業務の分担に反映させています。
・ 採用面接でミスマッチを減らしている
定着率の高い会社は、ミスマッチを減らすための工夫をしています。採用面接の際に、自社のよい点だけでなく、悪い点も伝えるなど。また、入社前に現場社員との交流会を設ける会社もあります。
・ 評価制度が整っている
定着率の高い会社は、評価制度が整備されています。客観的で明確な評価基準があり、社員は公正に評価されていると感じ、モチベーションを維持できます。
・ 会社の将来性を感じられる
社員に対し、会社の将来性が感じられるような経営をしています。また、経営者から社員へ効果的なメッセージを送るなどの工夫もしています。
◆ 定着率の高い会社になるための方法
定着率の高い会社になるためのヒントは、前述の「定着率の高い会社に共通する特徴」にあります。しかし、すぐに取り組めるものもあれば、時間を必要とするものもあるでしょう。ここでは比較的早く取り組めそうなもので、効果性の高いものを紹介します。
・ 福利厚生を充実させる
給料にならんで福利厚生は、社員にとって重要な関心事です。最近では社員だけでなく、社員の家族も利用できる福利厚生サービスを導入している会社もあります。
住宅関係では「借り上げ社宅の提供」「住宅ローンの補助」など。医療関係では「人間ドック」「メンタルヘルス相談窓口」など。育児・介護関係では「育児休業」「時短勤務制度」などがあります。
・ 公平で透明性のある評価基準を整備する
評価基準は給与や昇格につながるため、社員の関心が高いものです。そのため、自身が正当に評価されていないと感じると強い不満になります。評価基準は客観的で透明性のある公平なものにしましょう。公平に評価されていると感じると、社員のモチベーションも高まります。
・ 心理的安全性の高い職場にする
2015年にGoogle社が「心理的安全性は成功するチームの構築に最も重要なものである」と発表しました。そして、多くの会社が心理的安全性の高い職場を作ろうとしています。心理的安全性を簡単にいえば、「意見を言っても批判されることなく、皆に受け入れてもらえる雰囲気」になるでしょうか。
心理的安全性を高めるには、さまざまなアプローチがあります。また、職場風土にも関係しており、すぐに心理的安全性の高い職場を作ることは、簡単ではないでしょう。しかし、少しずつでも話しやすい雰囲気作りをしていくことが重要です。
・ 社員の適正に応じた配置にする
人それぞれ適性があります。また、何にやりがいを感じるかも、人それぞれです。社員の配置や業務分担を考えるときに、社員の適性を考慮した人事配置にすると、業務効率もよく、社員の満足度も高くなります。また、社員と定期的に面談し、業務に対する希望を聞くことも重要です。
◆ まとめ
この記事では、定着率の高い会社に共通する特徴を紹介し、定着率の高い会社になるための施策を説明しました。
定着率の高い会社になれば、離職率が下がります。また、人材が流出しないので社内に優秀な社員を確保可能です。離職者がでるとそれまでにかけてきた採用コストや教育コストがムダになるばかりか、新しい人を採用・教育するコストもかかるようになります。この点が定着率の高い会社の大きなメリットといえるでしょう。
また、定着率の高い会社の特徴を紹介しました。その特徴のうち、自社に当てはめられるものがあれば、それで定着率が改善できるでしょう。最後に定着率の高い会社になるため、比較的早く取り組めそうなもので、効果性の高いものを紹介しました。現在の会社の状況もあると思いますので、効果が大きく、すぐに取り組めそうなところから改善してください。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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