Exit interviewエグジットインタビュー

2023.1.31

従業員エンゲージメントとは?組織に見込める効果と高め方を解説

人事の専門用語として「従業員エンゲージメント」という言葉を聞くようになりましたが、どのような意味を持つのでしょうか?従業員エンゲージメントを高めると、どのような効果が見込めるのでしょうか?人事戦略として従業員エンゲージメントの基本知識を身に付けたい人事担当者は多くいることでしょう。

そこで、今回は従業員エンゲージメントについて詳しく解説します。この記事を読めば、従業員エンゲージメントの意味から、高め方まで分かるようになるはずです。ぜひ、従業員が生き生きと働ける職場をつくりたい方は、この記事を参考にしてみてください。

◆ 従業員エンゲージメントとは


従業員エンゲージメントとは、従業員の仕事に対する意欲を意味します。愛社精神とも呼ばれます。

1990年頃から、米国で従業員エンゲージメントに関する研究が行われてきました。ボストン大学心理学教授ウィリアム・カーン氏が発表した論文では「社員が仕事に対して肉体的にも、心理的にも、感情的に打ち込むこと」と定義されています。他にも、研究論文はありますが「仕事の意欲」「愛社精神」「貢献心」などで利用される専門用語です。

従業員エンゲージメントを高めれば、従業員のモチベーションが上がるだけでなく、組織活性化などの効果が見込めます。

◆ 従業員エンゲージメント向上で見込める効果


従業員エンゲージメントを向上させると、どのような効果が見込めるのでしょうか?次に従業員エンゲージメント向上で見込める効果をご紹介します。

・ 従業員のモチベーションが向上する

従業員エンゲージメントを向上させれば、各自が仕事に対して意欲的に働けるようになります。各自が意欲的に仕事に取り組み、「目標を達成するにはどうすればよいのか」「他部署と上手く連携を取るためにはどうすればよいのか」など前向きに物事を考えるようになります。

このように、各従業員が高いモチベーションで仕事に打ち込めば、生産性向上が見込めるのです。生産性向上が見込めれば、業績への好影響も期待できます。

・ 離職率が下がる

従業員エンゲージメントを向上させれば、愛社精神を高められます。愛社精神を持っている従業員は「仕事が楽しい」「職場の居心地が良い」と感じていることが大半です。仕事が大変な状況でも、退職を考えるようなことはなく、問題を解決しようとしてくれます。

新入社員や中途採用の従業員を育成したのに転職されてしまえば、会社として大きな損害を受けることになります。しかし、愛社精神を持っている従業員を増やせれば、転職されてしまう心配も必要ありません。

・ 企業イメージが上がる

従業員エンゲージメントを向上させれば、各従業員が前向きな姿勢で業務に取り組んでくれます。その結果、お客様や取引先から「あの会社の従業員は意欲的に働いていて、良い提案をしてくれた」など良い評判を集められるようになるのです。良い評判が増えて、企業イメージが上がれば対外交渉が上手くいきやすくなります。

◆ 従業員エンゲージメントの高め方


従業員エンゲージメントを向上させれば、さまざまな効果が見込めます。しかし、どのように従業員エンゲージメントの数値を測定すれば良いのでしょうか?次に、従業員エンゲージメントの調査方法をご紹介します。

1.従業員に調査への協力を依頼する

最初に、従業員エンゲージメントの調査への協力を依頼しましょう。従業員に依頼をする場合は、従業員エンゲージメント調査の目的を説明して納得してもらうことが大切です。その理由は、各自の業務を止めて調査に協力してもらうためです。

なぜなら、従業員エンゲージメント調査を行うのかを理解できれば、従業員も不満を持ちにくくなります。それだけでなく、職場改善に役立てられるなら本音を伝えようと思ってもらえるようになります。

2.従業員エンゲージメントを調査する

従業員エンゲージメントはeNPSで調査します。下記のような質問内容を用意して、批判者(0~6点)、中立者(7~8点)、推奨者(9~10点)に分類してください。

推奨者の割合から批判者の割合を差し引いた数値がeNPSのスコアです。

例えば、推奨者の割合が100%で批判者が0%だった場合は、100%-0%=100となります。

[eNPS調査 質問項目の参考例]

  • Q.友人があなたの会社で働きたいと思ったら、どれぐらい推薦できますか?
  • Q.仕事を効率的に行うための環境は提供されていますか?
  • Q.自分の得意分野を活かしながら働けていますか?
  • Q.1週間以内に上司から仕事ぶりを評価されましたか?
  • Q.自分のキャリア形成を実現できていますか?
  • Q.自分の意見が尊重されていると思いますか?
  • Q.上司や同僚は仕事を協力してくれますか?
  • Q.職場に親友がいますか?
  • Q.現在の待遇に満足していますか?
  • Q.正当な人事評価がされていますか?
  • 3.結果を参考にして職場を改善する

    次に自社と他社のeNPSを比較して、どこに課題があるかを把握していきます。eNPSの数値に関しては、業界別の平均値を参考にすることをおすすめします。課題を解決すれば、従業員エンゲージメントが高められます。
    ■業界別のeNPS

    ◆ 従業員エンゲージメントを高める施策


    従業員エンゲージメントを高めるための手順を紹介しましたが、どのような施策をすれば良いのでしょうか?次に、従業員エンゲージメントを高める施策をご紹介します。

    ・ コミュニケーションを活性化する

    従業員エンゲージメントを高めるためには、「組織は何を目指しているのか?」「何のために仕事をするのか?」など情報をオープンしてコミュニケーションを活性化させましょう。その理由は、情報をオープンにして各自の目標を設定すれば、高いモチベーションで仕事をしてもらえるようになるためです。

    月次や四半期ごとに経営戦略や目標達成の進捗度などの情報を公開することで、組織が一体となり目標達成を目指していけます。

    ・ 仕事のやりがいの創出する

    組織の目標を共有した上で、従業員1人1人に目標を設定すると同時に裁量権を拡大して、仕事のやりがいを創出しましょう。裁量権を与えると、社員自らの意思で業務に関する意思決定ができ、業務スピードが上がります。

    それだけに留まらず、裁量で仕事して成果を出せたときは成功体験となり自信につなげられるのです。成功体系を積み上げれば、高いモチベーションで仕事してもらえるようになります。

    しかし、裁量権が大きいと、それだけで責任が重くなります。そのため、裁量権を与えた相手をフォローすることも忘れないようにしてください。

    ・ 職場環境を改善する

    従業員が働く環境を改善すれば、従業員エンゲージメントを高められます。なぜなら、従業員が働きやすい職場にすれば「従業員のことを考えて環境整備をしてくれる会社だ」と信頼関係を構築できるためです。

    従業員が働きやすい職場環境にしたい場合は「有給取得がしやすい職場にする」「勤務場所や勤務時間が選べるようにする」など施策を打ちましょう。従業員がストレスなく働ける職場にすることが大切です。

    職場環境を改善する方法について詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。

    関連記事:『働きやすい職場づくりを実現するための流れ!施策まで徹底解説!

    ・ 人事評価制度を整える

    公平性の高い人事評価制度を整えると、従業員エンゲージメントが高められます。

    人事評価は給与や賞与の査定にもつながる重要なものです。そのため、人事評価は公平で透明性高くしなければいけません。従業員が納得できる人事評価を行えば、高い評価を得るために仕事を頑張ろうとモチベーションが上がるでしょう。

    ◆ 従業員エンゲージメント向上の取り組み

    次に、従業員エンゲージメント向上に取り組んでいる企業をご紹介します。

    ・ スターバックス


    出典元:『スターバックス公式ホームページ
    スターバックスでは、従業員が働き甲斐を持って仕事できるように、ダイバーシティマネジメントされています。各ストアマネージャーが「パフォーマンスゴール」と呼ばれる1年後に達成すべき目標を設定します。各自が与えられた目標を達成すれば評価が得られる評価制度を採用しているのです。

    また、ギャラリーウォークアクティビティ制度で「私はお客様に対して、このようなサービスができそうだ」と意見が述べられる場も提供されています。このような人事制度を採用して、各自が生き生きと働ける職場を実現しています。

    ・ リクルートホールディングス


    出典元:『リクルートホールディングス公式ホームページ
    リクルートホールディングスでは「自分の持ち味を活かし合えるチームをつくる」の目標を達成するために、半年に1回、全職場に対してエンゲージメントサーベイを実施しています。エンゲージメントサーベイを起点にした対話も行われており、普段の業務では話しにくいお互いの本音をぶつける場を設けています。

    エンゲージメントサーベイの回答率は94%で、職場フィードバック実施率は47%。半数の意見が職場環境に反映されています。このような定期的な職場環境の見直しをすることで、1人1人が働きやすい職場を実現しています。

    ・ ソニー


    出典元:『ソニー公式ホームページ
    ソニーは社員11万人を抱えている総合電機メーカーです。同社では職場環境の改善だけでなく、各組織と対話する機会をつくるためにエンゲージメントサーベイが行われています。

    海外にも拠点を持つソニーがエンゲージメントサーベイを実施した結果、各地域で調査結果の数値が異なりました。この結果を踏まえた、地域に合わせた満足度の高い職場環境つくりに成功しています。同社は各メンバーに対するパーソナル化した施策を打てるような仕組みを大切にしていきたいと考えているようです。

    ◆ まとめ

    従業員エンゲージメントを高めれば、各メンバーが生き生きと働けるだけでなく、リファラル採用がしやすくなるなど多くのメリットがあります。従業員エンゲージメントを調査する方法は簡単です。この記事では調査の流れから、職場改善に反映する方法まで紹介しました。

    従業員が働きやすい職場をつくるために、これを機会に従業員エンゲージメントを高めるための取り組みを始めてみてください。

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