少子高齢化で労働人口が減少してきており、求人を掲載しても優秀な人材が採用しづらくなっています。また転職が当たり前の時代となり、既存社員の離職防止や引き止めが欠かせなくなってきました。
離職防止をするためには、退職者から退職理由を聞き出して働きやすい職場をつくる必要があります。
しかし、退職理由の本音はなかなか引き出せません。なぜなら、退職者は建前を言うためです。一体、どうすれば本音を引き出せるのでしょうか?
今回は、退職理由の本音を引き出す方法をご紹介します。退職面談を見直したい方はぜひ参考にしてみてください。
目次
◆ 10人中7人が退職理由の本音を話さない
引用:『en人事のミカタ 退職理由のホンネと建前[2022年版]』
弊社が退職者302名に独自調査した結果でも、10人中7人が退職理由に建前を話していることがわかりました。心理的安全性が確保されていないため、本音は話せないと感じている退職者が多い結果となりました。
しかし、退職者から本音を引き出して、退職因子を発見し職場環境を改善しなければ続々と人材が流出してしまう恐れがあります。そして、人材不足に悩まされてしまいかねません。そのため、退職理由(退職因子)を聞き出しましょう。
◆ 退職理由の本音ランキング
弊社が退職者302名に独自調査した結果、退職理由の本音ランキングは以下のようになりました。
退職理由の本音
- 1位:安定性と将来の不安
- 2位:職場環境と人間関係
- 3位:キャリアと専門性の発展
- 4位:労働条件と報酬
- 5位:経営戦略と実態が違う
近年、大企業に就職しても生涯保障されるわけではありません。また、物価上昇の影響で将来不安に感じている方も増えてきました。このような時代背景もあり、勤務先の安定性と将来性を重視する方が増えてきています。
◆ 退職理由の建前ランキング
弊社が退職者302名に独自調査した結果、退職理由の建前は本音と大きく異なる結果となりました。
退職理由の建前
- 1位:家庭の都合
- 2位:健康上の都合
- 3位:給与・待遇が悪い
- 3位:労働環境を見直したい
- 5位:キャリアアップの機会を得たい
8割近くの方が、 家庭の都合や健康上の都合とやむを得ずに退職する旨を伝えています。
退職理由の本音・建前ランキングだけでなく、職場改善方法について知りたい方は、下記のお役立ち資料をダウンロードしてみてください。
◆ 退職理由の本音と建前の差が出る理由
退職理由には本音と建前の差があります。例えば、会社の将来性・安定性を不安に感じていても話さずに「他にやりたいことがある」と伝えて職場を去る人を見かけることもあるでしょう。なぜ、退職理由の本音を伝えないのでしょうか?弊社が独自調査したところ、6つの理由が判明しました。
・ 円満退職をしたい
社員は円満退職をしたいと思って建前を伝えています。円満退職をすれば転職活動もポジティブな気持ちで挑めます。
また、転職先企業の面接では、前職を辞めた経緯を質問されることが大半です。円満退職したことを説明すれば転職先からの評価も上昇するでしょう。このような理由により、退職者は円満退職したいと思っています。
・話しても理解されない
退職理由の本音を話しても理解されず「わがまま」「協調性がないからだ」と判断されてしまうのではないかと恐れて、建前を伝えてしまいます。
このような事態に陥るのは、職場への不信感です。
普段から一方的な価値観の押し付けをしていたり、聞く姿勢が欠如していたりすると、このような不信感を与えてしまいます。
・ 会社批判に(罪悪感がある)
社員は会社に不満を抱えていても、大半が職場にはお世話になったと感謝をしているものです。また、人に気を遣う人もいるでしょう。
このような人が職場の人間関係や労働環境の悪さなど会社批判をすると罪悪感を抱いてしまいます。罪悪感を抱きたくがない故に、退職理由の本音を隠しているのです。
・ 建設的な話にならない(トラブルを防止)
社員は退職理由の本音を伝えてトラブルに発展することを懸念しています。職場の人間関係の悩みを打ち明けて、相手の気持ちを侵害させてトラブルに発展してしまうかもしれません。
人を経由して悪い噂が広まる恐れがあります。業界は狭いため、トラブルに発展しないように建前を伝えているのです。
・言う必要がない
退職理由の本音を伝えないのは、「言う必要がない」と感じるためです。スムーズに退職を進めるため、建前を伝えます。退職する段階ではすでに気持ちが離れており、改善を求める必要もないため、「余計な説明をする必要はない」と思っているのです。
・引き止められたくない
退職理由の本音を隠して建前を使うのは、引き止められたくないからです。退職の意思をスムーズに受け入れてもらい、余計な交渉や説得を避けたいと思っています。本人に退職の強い意思がある場合は、引き止めが負担になります。
例えば「業務量が多くて体力的に限界」と伝えて「業務量を減らすから残ってほしい」と言われれば断りにくくなるでしょう。断る際に気を遣いストレスになるため、最初から引き止め余地のない理由を提示するのです。
◆ 退職理由の本音を引き出す方法
退職者の大半が退職理由の本音を話さないと説明しましたが、本音を引き出せないと職場環境の改善ができなくなります。どうすれば退職理由の本音を引き出せるのでしょうか?ここでは、退職理由の本音を引き出す方法をご紹介します。
・ 事前準備を入念にする
退職面談で従業員から本音を聞き出すためには、事前準備を入念に行うことが大切です。例えば、どのような原因で退職に至ったのか、第三者から話を聞いて予想しておくけだけでも、ヒアリングの質が変わります。
また、面談時間や面談場所を工夫することも大切です。例えば、貸会議室で退職面談すれば、重要性に気付いてもらえて情報提供してもらいやすくなります。
・ 感謝の言葉を伝える
これまで会社に貢献してくれたことに関して感謝の言葉を伝えて、退職面談を始めましょう。会社にどのように貢献してくれたのかを具体的に伝えて、そのような人材の離職を今後を食い止めるのが退職面談の目的であると説明すれば、情報提供に協力してもらえるようになります。
・ 時系列に沿って質問する
退職する際には複数の退職理由が複雑に絡まっていることが大半です。そのため、時系列に沿って質問することが大切となります。
例えば、退職理由が給料・待遇の不満だった場合でも、時系列でヒアリングしていくと「上司との関係が悪かった」「人事評価の際に適切な評価が受けられなかった」などの退職理由が聞き出せることがあります。
このように、複数の退職理由が複雑に絡まっていることが大半のため、時系に沿って質問するようにしましょう。
・ 第三者から話を聞く
退職者が退職理由の本音を伝えない理由は「理解してもらえない」「トラブルに発展させたくない」などの考えがあるためです。
しかし、退職を決意するまでに葛藤はしており、誰かに話を聞いてもらいたいと多くの人が思います。そのような場合は、職場で仲が良かった上司や同僚などに悩み相談をしているものです。そのため、退職者が仲良くしていた相手がいれば、その人に本音を聞き出すことに協力してもらうと良いでしょう。
・ 退職面談代行サービスを利用する
退職面談をしても本音を引き出せそうもない場合は退職面談代行サービスを利用する方法もあります。
退職面談代行サービスを利用すれば、プロのキャリアコンサルタントが退職者のキャリア支援をしつつ、退職理由をヒアリングします。第三者の立場でプロのインタビュアーが聞き出すため、退職理由の本音が引き出しやすくなります。
また、第三者の立場であれば、退職者が認めたくないホンネを聞き出すことが可能です。例えば、退職理由がハラスメントの場合ハラスメント対策を打とうと考えがちです。しかし、退職者本人の態度に非がある場合もあります。
プロにお任せすれば、本人に非があるのかないのかまで特定することが可能です。そのため、離職対策したいと思っている方は、退職面談代行サービス『エグジットインタビューいっと』をご利用ください。
◆ まとめ
職場を離職する際、10人中7人が退職理由の本音を話していません。その背景には「円満退職をしたい」「話しても理解されない」「会社批判になる」などがあります。
しかし、退職理由の本音を引き出せなければ、職場環境を改善できません。職場環境の問題を放置してしまうと、続々と社員が退職してしまうでしょう。この記事では、退職理由の本音を引き出す方法をご紹介しました。ぜひ、自社でできることから取り組んでみてください。
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