ストレスチェック義務化されたけれど、「従業員に適当にチェックされてしまって、無意味なものではないか?」と疑問に感じている方もいるのではないでしょうか?
ストレスチェックは正しい方法でやると効果が得られるものです。そのため、ストレスチェックの手順を覚えましょう。今回は、厚生労働主が推奨するストレスチェックの手順をご紹介します。ぜひ、ストレスチェックを実施する予定の方は、この記事を参考にしてみてください。
目次
ストレスチェックとは
ストレスチェックとは、ストレスに関する質問票の回答を集計・分析して、従業員の心の状態を調べる検査です。質問は単一回答(1つの設問で複数の選択肢を提示し、その中から当てはまるものを選ぶ)形式で進めていきます。
ストレスチェックの義務化とは
2015年12月に労働安全衛生法が改正されて、対象事業者はストレスチェックが義務化されました。50人以上の従業員を雇用している事業場は、年1回ストレスチェックを実施しなければいけません。
また、ストレスチェックの報告書を作成して所轄の労働基準監督署に届ける必要があります。ストレスチェックを行わない事業に対しては、最大50万円の罰金を科せられるため注意してください。
[補足]ストレスチェックの受験は任意
ストレスチェックの対象事業場は実施義務がありますが、従業員がストレスチェックを受けるかは任意です。そのため、ストレスチェックを受けるか否かは本人の自由になっているため、事業場は強制はできません。しかし、ストレスチェックを拒否した従業員がメンタルヘルス不調に陥る恐れがあるため、説得するかフォローするようにしましょう。
ストレスチェックの実施状況
厚生労働省が発表している「ストレスチェック制度の実施状況(概要)」によると、実施義務対象事業場のうち、82.9%の事業場がストレスチェックを実施しています。ストレスチェックを受けた労働者の割合は78.0%、医師による面接診断を受けた労働者の割合は0.6%です。また、ストレスチェックを実施した事業場のうち、78.3%の事業場が集団分析を実施しています。
ストレスチェックの目的
ストレスチェックの目的は4つあります。
従業員の健康管理
従業員のストレスに気づいて対処しなければ、メンタルヘルス不調に陥る恐れがあります。
従業員が気づけない心の変化や、病気を発症する前の疲労などに気づけません。メンタルヘルスの不調に気づけなければ、過労死を引き起こしてしまう可能性もあります。このような問題が起きないように、ストレスチェックを実施するのです。
ストレスチェックを実施して、従業員の健康管理を徹底すれば、生き生きと働いてもらえるようになります。
労災防止
ストレスを抱えた従業員のフォローをし忘れると、過労死や自殺してしまう恐れがあります。労働災害防止計画では、過労死や自殺を防止するためにメンタルヘルス対策を実施する重要性が述べられています。
労災が発生したら「職場環境が良くない」「安全面に配慮していない」と思われて、世間的な企業のブランドイメージが低下してしまうかもしれません。このような問題が発生しないように、ストレスチェックを実施して労災を防止しましょう。
離職防止
ストレスを抱えてメンタル不調に陥ると、鬱病などの病気で働けなくなります。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査結果では、鬱病などのメンタルヘルス不調により会社を休職した社員の42.3%が、休職制度を利用していると述べられています。
この調査結果から分かるように、休職や退職する人の約半数がメンタルヘルス不調に陥っているのです。そのため、ストレスチェックを実施して、メンタルヘルス不調に陥る可能性のある従業員をケアすることで離職防止できます。
職場環境の改善
ストレスチェックを実施すると、働きにくさを感じる要因を発見できます。要因を特定して環境を整えていけば、職場環境の改善が行えます。
例えば、人間関係で悩んでいる方に対しては部署異動や勤務地変更を命じることで問題が解決できるでしょう。また、業務過多で悩んでいる方は業務負担を軽減させれば悩みが解決できます。このように、ストレスチェックの結果を活かせば、職場環境の改善ができます。
ストレスチェックの方法
ストレスチェックは以下の流れで行います。
1.実施体制を整備する
2.質問票を配布する
3.質問票を回収する
4.診断結果を通知する
5.面談指導を受けさせる
6.就業上の措置をとる
ここでは、各手順について詳しく解説します。
1.実施体制を整備する
まずは、ストレスチェックを行うためのルールと実施体制を整備します。
■ストレスチェックのルール
・ いつストレスチェックを実施するのか
・ どのようなストレスチェックシートで実施するのか
・ どのような基準でストレスの高い人を選ぶのか
・ 面接指導の申出は誰にするべきか
・ 手段分析はどんな方法で行うか
・ ストレスチェックシートは、どのような方法で保存するか
■実施体制の例
※上記をアウトソーシングすることも可能です。
2.質問票を配布する
次にストレスチェックの質問票を配布します。
質問票の項目に以下が含まれていれば、基本的に形式は自由です。
[質問票の項目]
・ ストレスの原因に関する質問項目
・ ストレスによる心身の自覚症状に関する質問項目
・ 労働者に対する周囲のサポートに関する質問項目
どのようなストレスチェックの質問票を作成すればいいか分からない場合は、厚生労働省の
「ストレスチェックシート」を利用すると良いでしょう。また、厚生労働省の「ストレスチェックプログラム」を利用する方法もあります。ストレスチェックプログラムを利用すれば、チェックの結果を分析できます。
3.質問票を回収する
質問票に回答してもらったら、実施者または従事者が質問票を回収します。
質問票の回答が見えないように、質問票を裏返したり折ったりすると、個人情報が漏洩せずに済みます。ストレスチェックの回答はセンシティブな内容のため、医師などの実施者のみが閲覧できるようにしてください。
4.診断結果を通知する
質問票を回収したら、医師などの実施者がストレスの程度を評価して、高ストレスを抱えている人に対して医師の面談指導を行います。
高ストレスに該当者には、自覚症状で悩んでいる方や周囲のサポートが受けられずストレス環境にさらされている方が選ばれることが多いです。ストレスチェックの診断結果は、医師などの実施者から従業員に通知します。
5.産業医の面談指導を受けさせる
高ストレスに該当する人には、医師による面談指導を受けさせます。面接指導の結果に基づき、必要に応じて就業上の措置を講じます。
◆ ストレスチェックを行う場合のポイント
ストレスチェックの実施は、該当する事業場の義務です。しかし、厚生労働省の指示に従って、ストレスチェックを行うだけでは無意味なものになってしまいます。そのため、効果を見込むためにも、ストレスチェックを行う場合のポイントを押さえておきましょう。
結果を職場環境の改善に役立てる
ストレスチェックの結果を収集・分析して結果を出したら、職場環境の改善に役立てましょう。
例えば、「非常にたくさんの仕事をしなければならない」「時間内に仕事が処理しきれない」という回答者が多い場合は、業務効率化や人員補充を検討する必要があります。
このように、ストレスチェックの結果を職場環境の改善に役立てることで、従業員も納得してストレスチェックに協力してくれるようになります。
職場環境の改善方法については、下記の記事にまとめられているため参考にしてみてください。
関連記事:『職場環境の改善方法を手順に沿って解説!問題が起きる原因まで紹介』
ストレスチェックの目的を周知する
ストレスチェックを実施する前に、「メンタルヘルス不良の未然防止」や「職場環境」のために実施すると周知しましょう。その理由は、従業員は業務を止めて、ストレスチェックを受けるためです。
ストレスチェックの目的を理解しないまま受けてしまうと、業務時間が割かれることに不満を抱いてしまいかねません。従業員に納得してストレスチェックを受けてもらうために、目的を周知させることが大切です。
ストレスチェックシートの保管方法を考える
ストレスチェックシートは、以下の内容をまとめて5年間は保存する必要があります。
[チェックシートの内容]
・ 実施年月日
・ 労働者の氏名
・ 面接指導を行った医師の氏名
・ 労働者の勤務状況
・ 就業上の措置に関する医師の意見
チェックシートの内容はデリケートのため、第三者が閲覧できない場所に保管しておきましょう。
まとめ
2015年12月に労働安全衛生法が改正されて、50名以上の従業員がいる事業場は年1回ストレスチェックを行わなければいけなくなりました。
このストレスチェックの結果は「離職防止」や「職場改善」に役立てられます。そのため、正しい方法を押さえておき、意味のあるストレスチェックを行いましょう。
今回は、ストレスチェックの正しい手順を解説しました。ぜひ、これを機会にストレスチェックの手順に沿って実施してみてください。
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