「新入社員が3年以内に退職する」と悩んでいませんか?新入社員を採用したにも関わらず、早期退職されてしまうと採用コストが無駄になります。採用コストを無駄にしないために、どのように離職率を下げていけば良いのでしょうか?
今回は、新入社員の離職率を下げる方法をご紹介します。この記事を読めば、「自社の離職率は平均より高いのか?」「どのような改善方法があるのか?」まで理解できるため、参考にしてみてください。
目次
◆ 離職率とは
離職率とは、「ある時点で働いていた人数のうち、一定期間後に退職した人の割合」をいいます。一般的に期首から期末までの1年間で退職した人の割合で使われます。
離職率の計算方法は「一定期間内の離職者数÷起算日の在籍者数×100%」です。対象者を新入社員に絞り込むことで、新入社員の離職率を計算できます。
◆ 新入社員の離職率
新入社員の離職率が計算できたら、平均値と比較しましょう。平均値と比較して離職率が高ければ、優秀な人材が離職する恐れがあるため対策を考えていかなければいけません。このような対策を練るためにも、新入社員の離職率が平均より高いか低いかを確認しておきましょう。ここでは、新入社員の離職率をご紹介します。
・ 離職率の推移
厚生労働省「学歴別就職後3年以内の離職率の推移」によると、約3割の新入社員が3年以内に離職しています。
学歴別における新入社員の離職率は以下の通りです。
10年前と比較すると離職率は下がっています。その理由は、新型コロナウイルス感染拡大による先行き不透明な経済を背景に転職を控える人が増えているためです。日本経済が不況のときは新入社員の離職率は低下する傾向があります。
・ 業種別の離職率
厚生労働省「新規大学卒業就職者の産業別離職状況」によると、業種に応じて離職率は変動することが分かります。業種別における新入社員の離職率は以下の通りです。
・ 事業規模別の離職率
厚生労働省の報告書によると、事業規模別でも離職率が変動することが分かります。事業規模別の離職率は以下の通りです。
◆ 新入社員が離職する原因
自社の離職率が平均値より高い場合は、新入社員が離職してしまう原因を突き止めて改善していく必要があります。
その前に、どのような理由で新入社員が退職しているかを把握しておきましょう。なぜなら、新入社員が離職する原因を把握しておかなければ、対策を練っても離職防止に繋がりにくくなるためです。
人材紹介会社のアデコの調査報告書では、新入社員の離職する原因は以下の通りと述べられています。
ここでは、それぞれの離職の原因について詳しく解説していきます。
・ 業務内容のミスマッチ
新卒採用で業務内容のミスマッチが起こる原因は、新入社員・会社相互の理解不足にあります。また、新入社員のフォロー不足も早期退職の大きな原因となっています。
求人票で企業側が良い面だけを掲示しており、就活生が企業の悪い面を把握せずに入社したことが原因で起きる問題です。また、新入社員の適正を把握して人事配置できていないことも原因で起きます。
・ 待遇や福利厚生に対する不満
待遇や福利厚生に対する不満を募らせてしまうと、新入社員は退職してしまいます。その理由は、従業員を大切にしてくれない企業だと見切りをつけるためです。
最初から福利厚生を導入する予算がない場合は、新入社員からの納得を得られるかもしれません。しかし、会社に貢献して売上が伸びても、待遇が上がらなかったり福利厚生が充実しなかったりすると企業に対する不満が募ってしまうでしょう。このような不満も、新入社員の早期離職につながります。
・ キャリア形成が望めない
優秀な人材ほど「仕事に主体的に取り組んでキャリア形成したい」と考えている傾向があります。キャリアアップとは、仕事のスキルを磨くことではなく、職務全体の向上により給与や役職を目指すことをいいます。
仕事に意欲的に取り組んで貢献しても、職務の拡充がされなかったり昇進されなかったりすると「会社に貢献しても意味がない」と感じてしまうでしょう。このような企業に対する不信も、新入社員が早期離職してしまう原因です。
・ 長時間労働
長時間労働させると、精神的・肉体的に大きな負担となります。労働基準法第32条では、1日8時間、1週間40時間を超える労働を原則として禁止しています。しかし、この時間を守れずに長時間労働させている企業も存在するのです。
このような企業だと労働基準法を守らず、従業員に過重労働させる企業だと不信感を抱いて離職してしまいます。
・ 人間関係に関するストレス
新入社員も、職場の人間関係で悩む人は多く見受けられます。例えば、上司がメンバー同士を比較するタイプなら、新入社員は自分らしく働けなくなります。他人と比較されると自信を失ってしまうかもしれません。
また、上司に嫌われたくないと相手の意見ばかり優先してストレスを抱える人もいるでしょう。このような人間関係に関するストレスを抱え込むと、知らない間にメンタル不調を招くこともあるため気をつけましょう。
◆ 新入社員の離職で起きる問題
新入社員が離職する原因をご紹介しましたが、対策しないでいると、どのような問題が出てくるのでしょうか?次に、新入社員の離職で起きる問題をご紹介します。
・ 採用コストが無駄になる
新入社員を1人採用するには、採用コストがかかります。
採用コストをかけて新入社員を採用したにも関わらず、3年以内に離職されてしまうと費用が無駄になります。
就職みらい研究所「就職白書2020」によると、1人当たりの新入社員の採用コストは約93.6万円です。日本は少子・高齢化社会で売り手市場が続き、新入社員の採用コストは上昇していくとも予想されています。
・ 悪い口コミが書かれる恐れがある
早期退職した新入社員が、企業の悪い口コミを書く可能性もあります。とくに、「企業に貢献したにも関わらず、人事評価が納得できるものではなかった」「上司の好みで出世が決まる」などの理不尽な出来事に遭遇すると、怒りを吐き出したいという感情が働くため、悪い口コミが書かれてしまうのです。
転職サイトに悪い口コミが記載されると、人材採用がしづらくなります。近頃は、SNSの普及により情報が拡散されやすくなってきているため、悪い口コミが書かれないように注意してください。
・ 他の従業員の業務負担が重くなる
新入社員が離職すると、他の従業員の業務負担が重くなります。その理由は、新入社員が担当していた業務を他の従業員で行っていかなければいけないためです。
新入社員の代わりの人材を見つけても、業務を覚えてもらうまでに一定の期間が必要です。この期間中、他の従業員が不満を持たないようにフォローする必要があります。
◆ 新入社員の離職率を下げる方法
新入社員の離職を防止して、離職率を下げていく必要性は理解して頂けたと思います。一体、どのように新入社員の離職率を下げていけば良いのでしょうか?ここでは、新入社員の離職率を下げる方法をご紹介します。
・ 退職理由を聞き出す
新入社員の離職率に悩んでいる場合は、退職者から理由を聞き出しましょう。その理由は、退職理由を聞き出して職場改善していけば、離職防止ができるためです。
新入社員が早期離職する原因を憶測して、離職防止対策を打っても効果は見込めません。離職防止対策の費用対効果が見込めずに、対策は失敗に終わってしまうでしょう。そのため、どのような理由で新入社員が退職するのか理由を聞き出した上で、職場を改善するための対策を打ちましょう。
新入社員に退職理由を聞き出す方法について詳しく知りたい方は、下記の記事を読んでみてください。
関連記事:『退職理由の3つの調査方法!本音を聞くためにどの調査方法を選ぶ?』
・ データ分析して改善箇所の優先順位を立てる
新入社員の退職理由を調査できたら、情報を一元管理しましょう。Google Spreadsheetで一元管理しておくと、どのような理由で新入社員が退職しているか把握できます。データ分析をして、職場の改善箇所の優先順位を立てれば、より高い離職防止の効果が見込めます。
・ 離職率を下げるための対策を打つ
職場改善の優先順位を立てたら、対策を打ちます。職場改善の対策を打ったら、効果測定を行いましょう。定期的に離職率を計算すると、職場改善の対策が効果的だったか判断できるようになります。職場改善の対策の効果が見込めなかった場合は、他の対策に予算をかけましょう。
◆ 新入社員の離職率を下げるための対策
新入社員の離職率を下げる方法をご紹介しましたが、どのような対策を打てば良いのでしょうか?さまざまな方法がありますが、ここでは、新入社員の離職原因の対策をご紹介します。
・ 求人票にメリット・デメリットを記載する
求人票に企業の良い面だけを記載すると、業務内容のミスマッチが起きます。その理由は、新入社員・会社の相互理解が不足するためです。このような問題が起きないように、求人票にメリットだけでなく、デメリットを記載しましょう。
求人票の情報が詳しく書いてあるほど、業務内容のミスマッチが起きにくくなります。求人票に書ききれない場合は、会社説明や面談時に伝えるように工夫をしてみてください。
・ 人事評価を見直す
新入社員の待遇や福利厚生に対する不満は、人事評価を見直すことで解消できます。なぜなら、待遇に対する不満は「企業に貢献したにも関わらず、待遇が上がらない」という気持ちが起因しているためです。
そのため、HRテックなどを活用して従業員の貢献度を可視化して、相手が納得できる人事評価をしましょう。企業に貢献した従業員を正当に評価すれば納得してもらえて、離職防止につなげられます。
・ ジョブローテーションを行う
新入社員は学生から社会人になる段階のため、自分に向いている部署や職種が分からないケースも多く見受けられます。そのため、新入社員の適任の業務を見つけるために、ジョブローテーションを行いましょう。
ジョブローテーションとは、社員の能力向上を目的に一定期間で戦略的に異動させることをいいます。さまざまな部署や職種を体験させて、適任な場所に配置させれば、新入社員も働きやすさを感じられます。
・ 勤怠管理を強化する
労働基準法に沿って勤怠管理を行っている企業は多いですが、勤怠管理システムの押し忘れなど、シッカリと運用されていないケースも多く見受けられます。また、過重労働の信号をキャッチしなければいけません。このような勤怠管理の問題は、システム導入で解決しましょう。
近頃は、人感センサー付きの勤怠管理システムや、PCの起動で勤怠管理できるシステムなどが登場してきています。このような勤怠管理システムを活用して、勤怠管理を強化するようにしましょう。
・ 悩みを相談できる窓口を設置する
会社で信頼関係が構築できていなければ、新入社員は1人で悩みを抱え込みます。悩みを打ち明けても職場で噂が広まるのではないかと不安に陥ってしまうためです。
このように、1人で悩みを抱えるとメンタル不調を招いてしまうかもしれません。そのため、産業医と連携するなど、職場の悩みを打ち合けられるような窓口を設けておきましょう。多くの企業では、メンター制度を設けて、新入社員が悩みを抱えないようにケアしています。
◆ まとめ
今回は、新入社員の離職率を下げる方法をご紹介しました。新入社員が会社を退職する理由は、さまざまです。大切なことは、新入社員に退職理由を聞いて、どこに問題があるかを把握して改善することです。この手順を押さえておくと、職場環境の改善をしていく上で費用対効果が感じられるでしょう。ぜひ、これを機会に新入社員の離職防止に取り組んでみてください。
退職理由には「ホンネとタテマエ」があります。
特に新入社員にとって、まだ関係性が構築できていない職場の上司や人事担当者へホンネを伝えることは難しく、聞く側にとってもホンネとタテマエの見極めは容易ではありません。
退職者本人も気付いていない、新入社員ならではの”隠れた退職理由”を引き出し、本質的な改善策を選定することが、新入社員の定着率を上げるポイントです。
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