働き方の多様化を実現して従業員満足度を上げたいと考えた際に、どのような雇用形態や雇用制度があるのだろうかと悩むものです。このような悩みを解決するために多様な働き方の種類を一覧にしてご紹介します。この記事を読めば、多様な働き方(雇用形態・雇用制度・その他)が分かるようになるため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
◆ 多様な働き方とは
多様な働き方とは、個々の事情に応じた多様な働き方が選択できる社会を実現することをいいます。現代はライフスタイルが多様化しており、地方で暮らしながら仕事したり育児や介護と仕事を両立したりと、働き方の選択肢が広がっています。
社員に人生の中で実現したいことを追求しながら働いてもらうために、企業は各社員の事情を加味した上で受け入れ体制を整備することが求められてきているのです。
・ 多様な働き方が求められる背景
多様な働き方が求められる背景には、労働者のライフタイルの多様化があげられます。
企業は各社員の事情を加味した受け入れ態勢を整備することで、優秀な人材を確保していく必要があります。また、ライフスタイルを叶えられる職場を実現すれば、労働者の意欲も高まり生産性を上げていけます。
日本は少子高齢化で労働不足は深刻な問題となっているため、多様な働き方を受け入れて、労働者を確保していかなければいけません。このような背景により、多様な働き方の受け入れ態勢を整備する企業が増えてきました。
・ 多様な働き方のメリット
多様な働き方の受け入れ体制を整備すると、次のようなメリットがあります。
- 勤怠管理が煩雑して手続きが難しくなる
- 仕事の振り分けや人事制度に不公平感が出ないように気をつける
- 各自が自律心を保てないと多様な働き方が失敗してしまう
- 職務限定正社員:担当職務が限定されている正社員
- 勤務地限定正社員:転居を伴う転勤がない正社員
- 短時間正社員:1週間の所定労働時間が短い
- 週休3日制度:育児、介護、病気治療と両立できる正社員
- 在宅勤務:各自の自宅で連絡を取り合いながら仕事する
- モバイルワーク:オフィス以外で仕事する
- サテライトオフィス:本社、本部から離れた場所で働く
- ワーケーション:リゾートで仕事する
・ 多様な働き方のデメリット
多様な働き方の受け入れ体制を整備すると、次のようなデメリットがあります。
◆ 多様な働き方の種類
多様な働き方の種類は「雇用形態別」「制度別」「その他」の3つに大きく分けられ、さらに細分化できます。
◆ 雇用形態別の多様な働き方
雇用形態別の多様な働き方は「正社員」「嘱託社員」「契約社員」「派遣社員」「パート」「アルバイト」に分類できます。
・ 正社員
正社員とは企業と直接雇用を結ぶ正規社員をいいます。雇用期限がなく、企業と労働者が合意するのであれば定年まで働けます。長期的に働けて役職に就けたり給与が上がったりするため、安定志向の労働者から人気を集める雇用形態です。
企業側も人材育成に時間がかけられて、優秀な人材を確保できます。詳しくは後述しますが、以下のような多様な正社員が増えてきています。
[多様な正社員]
・ 嘱託社員
嘱託(しょくたく)社員とは、定年退職後に引き続き雇用する従業員をいいます。非正規雇用のため雇用期限が定められており賞与が出ません。しかし、定年退職後も働きたい高齢者の望みを叶えられます。
企業側のメリットは、社内の状況や業務を熟知している人材を確保できることです。通年で繁忙期がない職場であれば心強い戦力となります。
・ 契約社員
契約社員とは有期労働契約を締結した社員をいいます。有期労働契約の期間は原則として最長3年と労働基準法で定められていますが、1年の労働契約を締結して毎年更新するのが一般的です。契約社員は正社員と基本給で差を付けてはいけません。
契約社員を雇用するメリットは、会社の業績に合わせて社員数をコントロールできることです。
また、正社員登用制度を活用すれば条件を満たす契約社員を正社員にすることもできます。一定期間、キャリアをつけて転職したい労働者やどのような働き方が良いか模索している労働者から支持されている雇用形態です。
・ 派遣社員
派遣社員とは、派遣会社と雇用契約を締結している社員をいいます。就業中のフォロー、社会保険や雇用保険、給与計算は派遣会社が行うため、雇用手続きのコスト削減ができます。
また、繁忙期に合わせて派遣の雇い入れができることもメリットです。しかし、将来的には育てた派遣社員を手放さなければいけません。キャリア形成より勤務地や勤務時間など働き方の条件を優先したい方に支持されている雇用形態です。
・ パート・アルバイト
企業と直接、非正規雇用契約を結んだ従業員をいいます。勤務時間の応じて時給が発生するため、プライベートの都合に合わせて自由な働き方ができます。
企業側のメリットは、必要な時期に必要な人材を募集できたり、低コストで人材確保できることです。しかし、パートやアルバイトは短期間で入れ替わることが大半のため、単純作業しかお任せできません。正社員のような長期的な人材育成には向いていません。
・ 業務委託
業務委託とはフリーランスに仕事を依頼することです。企業は繁忙期など必要なタイミングに必要な人材を確保できます。また、キャリアを築いたフリーランスに業務委託すれば即戦力として活躍してもらえます。
しかし、さまざまなフリーランスがいるため依頼先を選ぶことが大変です。業務委託で働くフリーランスは場所や時間に捉われずに働いており、自由な働き方をしたい人に選ばれている働き方です。
◆ 制度別の多様な働き方
制度別の多様な働き方には「短時間正社員制度」「時差出勤制度」「週休3日制度」「フレックスタイム制度」「ジョブ型雇用制度」があります。自社に見合う制度を整備して従業員満足度を高めましょう。
・ 短時間正社員制度
短時間正社員制度とは、正社員と比較して所定労働時間が短い労働者をいいます。正社員と同じように、期間の定めがなく昇給や賞与もあります。
2009年に育児・介護休業法が成立して、短時間正社員制度の導入が推奨されました。育児や介護などで就業時間に制約がある人を雇用できることがメリットです。そのため、ライフステージに応じた働き方を提供したい企業におすすめの制度です。
・ 時差出勤制度
時差出勤制度とは、労働者が自分の意思で始業時間や就業時間を決められる制度をいいます。労働者の都合に合わせた出退勤を可能にし、ワーク・ライフ・バランスを向上させられます。
新型コロナウイルス感染防止で三密防止が推奨されましたが、時差出勤制度を導入すれば、鉄道やバスなどの通勤ラッシュを避けることが可能です。感染リスクの低減のため、時差出勤制度を導入する企業も増えています。
・ 週休3日制度
週休3日制度とは、定休日を増やして週3日を休日とする制度です。休日を増やすことで育児や介護と仕事の両立を可能とし、ライフステージでの離職を防止できます。
また、柔軟な働き方を推進している企業と対外的にアピールすることも可能です。取引先が週休2日制の場合、取引先とのコミュニケーション不足によりビジネス上の機会損失を招くリスクが考えられるため注意してください。
・ フレックスタイム制度
フレックスタイム制度は、始業時間や就業時間、1日の労働時間を自由に決められる制度です。
必ず勤務しながければいけない時間帯のコアタイムが定められているのが一般的ですが、時差出勤制度よりもワーク・ライフ・バランスが実現できます。コアタイムに働き、成果を出せば良いため長時間労働を防ぐことができる制度です。
・ ジョブ型雇用制度
ジョブ型雇用制度とは、仕事に対して人材を割り当てる雇用制度です。仕事内容や報酬を明確に定めて雇用契約を締結します。
どのような成果を出せば、どのぐらいの報酬がもらえるかが可視化されるため、働く人のモチベーションを高めやすいです。そのため、外資系企業で導入されています。しかし、業務プロセスの評価が浸透している日本企業では浸透しにくいです。
◆ その他の多様な働き方
その他の多様な働き方には「テレワーク」「副業」があります。これらを導入して従業員満足度を高めることもできるため検討してみましょう。
・ テレワーク
テレワークとは、オフィスから離れた場所で以下のような働き方をいいます。
テレワークを導入すれば、多様な人材を雇用できます。また、新型コロナウイルスなどの突然の事態でオフィス出社ができなくなった場合でも営業を継続できます。それだけでなく、育児や介護と仕事が両立しやすくなると労働者から支持を集めることも可能です。
・ 副業
副業とは、雇用されている企業以外で仕事をすることをいいます。副業を解禁すれば、副業先でスキルや知識、経験を得るなど労働者のスキルを高められます。
また、副業で得た情報や人脈を活用して、ビジネスチャンスの拡大につなげることも可能です。労働者は副業すれば収入が得られるため、収入面での不満がもたれにくくなります。
◆ まとめ
今回は多様な働き方を実現するために把握しておきたい、雇用形態や制度についてご紹介しました。自社に見合う制度を導入してワーク・ライフ・バランスが取りやすい職場にすると、従業員満足度が上がりイキイキと働いてもらえるようになるはずです。この記事を読んで、ぜひ、多様な働き方を実現してみてください。
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